【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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異国編:ジッピン前編:出会い

【248話】朝食

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「◎◇▼×~。ゴハン ゴハン」

翌朝、ノリスケが客室に朝食を運んでくれた。まだ寝ていたアーサーとモニカは目をこすりながら上体を起こす。そんな双子の様子を見て、ノリスケはまた「●◎※□~!!」と漏らしている。

(●◎※□…えっと、カ、ワ、イ、イ…かわいいって言ってくれてるんだ。よし!僕もさっそく話してみるぞ)

アーサーは意気込んでノリスケに近づいた。深呼吸をしてから覚えたばかりのジッピンの言葉で挨拶をする。

「ノ、ノリスケ、オアヨウ、ゴアン アリガオ!」

「!!」

拙いながらもジッピンの言葉を話したアーサーにノリスケは目を見開いた。口をぱくぱくさせながら、アーサーを指さしている。

「えっ?君、ジッピンの言葉話せたのかい?」

「スコシ ベンキョ シア!ボク チャント アナセエル?」

「うんうん!話せてるよ!バンスティン訛りだけど聞き取れるよ。すごいねー!」

「アリガオ!」

ノリスケに褒められてアーサーは嬉しそうに照れ笑いした。そんなアーサーにモニカが「アーサーすごいー!!」と拍手している。

「なんて言ってるのー?!」

「ごはんありがとうって言ってみた!ちゃんと通じたみたい~!!うーん…でもやっぱり「た行」と「は行」がうまく発音できないなあ…」

「それでも通じたんだからすごいわ!!ねえねえ、私もノリスケさんとお話したい!!アーサー、なにか言葉を教えて!!」

「いいよ!じゃあジッピンの朝の挨拶を教えてあげる!僕もうまく発音できないんだけどね…」

「教えて教えて!!」

「オアヨウだよ!うう…本当はちがうんだけど…僕にはこれが限界…」

「オアオ?」

「オアヨウ」

「オアヨオ?」

「うんうん。それで通じるんじゃない?」

「ノリスケ、オアヨオ!!」

「おー!おはようおはよう!!うわぁかわいいー…」

「ねえアーサー、ノリスケさんなんて言ってるの?」

「かわいいって言ってくれてるよ!!モニカ、アリガオって言ってみて!」

「アイガオ?」

「ア・リ・ガ・オ」

「ノリスケ、エリガオ!!」

「か…かわいい~…めっちゃ訛ってる…かわいい…」

「??」

「かわいいって言ってくれてるよ!」

「エリガオ!!」

「ふふふ。どういたしまして。えーっと…君たちの名前は確か…」

「ボク アーサー!コッチ イモウオ モニカ!」

「アーサーとモニカ?よろしくね」

「ヨロシク!!モニカ、ヨロシクって言って!」

「ヨオシク?」

「うんうん!よろしくって意味だよ!」

「ヨオシク ノリスケ!!」

「よろしく~」

がんばってジッピンの言葉を話している兄妹にデレデレしながら、ノリスケは持ってきた朝食をテーブルに並べた。焼き魚、白いほかほかしたもの、黄土色の半透明のスープ、黄色くて四角いもの…。焼き魚以外はどれも見たことがない料理ばかりだった。それに、二人の前に置かれたのはフォークとナイフではなく、細長い棒2本だけだった。アーサーとモニカは「…?」とテーブルを見て首を傾げた。

「アーサー、この白くてほかほかしたのなにかなあ?」

「分からない…。この黄色いのはたぶん卵料理だよね?黄土色のスープは…初めて見たなあ」

「それにフォークとナイフがないわ。もしかしてこの棒で食べるの?」

「たぶん…。でもどうやって…この棒で刺すのかな?」

「アーサー、ノリスケさんに聞いてみて!」

「分かった!…ノリスケ オシエエ」

「ん?なんだい?」

「コレ ナニ?」

「ああ、これは白米だよ。…ああ、バンスティンには米はないもんな。これ、ジッピンの主食なんだ。バンスティンでいうパンみたいなものだよ」

「アクマイ…シュショク…。ノリスケ、コレワ?」

「それは味噌汁。ヴァジーはこの見た目がダメで食べられないんだけど、君たちはどうかなあ?」

「ミソシル…コレワ…アマゴ?」

「そう。卵料理だよ。出し巻きって言うんだ」

「ダシマキ…!ノリスケ、コレ ドウヤッエ ウカウノ?」

「これはね、お箸っていうんだけど。利き手でこう持って…」

ノリスケは棒2本を指で持ち、器用にダシマキを掴んで見せた。双子は「おおおー!!」と歓声をあげ、真似をしてダシマキを掴もうと試みるが、ノリスケのように上手に使えない。掴めても口へ運ぶ前にポロっと落としてしまいなかなか食べることができずしょんぼりした。ノリスケは「難しいよね。慣れないうちはこうやってブスっと刺して食べたらいいよ」とダシマキに棒を刺してみせた。アーサーとモニカはしばらく意地になってどうにか掴もうと奮闘していたが、空腹の限界が近くなってきたので諦めて刺して食べることにした。

ダシマキを口に入れた双子は、目を見合わせて「ん~~~!!」と幸せそうな声をあげた。

「おいしい!!バンスティンではこんな味ないね!!」

「うん!!知らない味だわ!でもすっごくおいしい!!」

「同じ卵料理なのにねぇ。不思議だなあ」

「アーサー!次はこれを食べてみましょ!白いの!」

「アクマイって言うんだって!ジッピンの主食らしいよ」

「へえー!!」

モニカはぱくりとハクマイを食べてみた。もちゃもちゃしていて、少し甘い。初めて食べる触感だった。アーサーはそわそわした様子でモニカに感想を求める。

「どう?おいしい?」

「うーん、なんだか、不思議な触感…。味はあんまりしない…」

「え、おいしくなさそう…」

「おいしくなくはないよ!アーサーも食べてみて」

「うん!」

アーサーもハクマイを口に入れて咀嚼する。「んー?なんだこれ?」と呟きながらずっともちゃもちゃしている。

「あれ?噛んでたらどんどん甘くなってきたあ。おいしいかもこれ!」

「ほんとに?!わたしもいっぱい噛んでみよー」

ひたすらハクマイをもちゃもちゃしている兄妹に、ノリスケはミソシルを指さした。

「味噌汁飲んでみて。白米と合うんだよ」

「ワカッア!!モニカ、ミソシルとアクマイが合うから飲んでみてって」

「分かった!…でもスプーンないよ?どうやって飲むの?」

「ほんとだ…。ノリスケ、ドウヤッエ ノムノ?」

「え?そのまま飲むんだけど…」

「スプーン ナイ…ドウヤッエ…」

「あ、そうか。バンスティンはすぷうんとやらで汁物を飲むのか。こうやって、お椀を持って、お椀に口をつけて飲むんだよ」

「へえ!モニカ、このスープ皿に直接口を付けて飲むんだって!面白いね!」

「へー!!早速やってみましょ!」

アーサーとモニカがためらいなくミソシルを飲んだのを見て、ノリスケは驚いた顔をした。

「へえ。君たちは味噌汁平気なんだねえ」

「ウン!オイシイ!」

「嬉しいなあ。ヴァジーなんて味噌汁のことを…いや、やめとこう」

「ヴァジー ミソシル ニガテ?」

「うん。カユボティもそんなに好きそうじゃないね。だから君たちがそんなおいしそうに飲んでくれてびっくりしたよ」

「オイシイヨ?ねえモニカ、おいしいよね?」

「うん!おいしい!おいしいってどう言うの?」

「オイシイだよ!」

「ノリスケ、ミソシウ オイシ!!」

「良かった良かった」

ノリスケはそれからも双子がおいしそうにジッピンの料理を食べるところを嬉しそうに眺めていた。食事を終えたアーサーとモニカが服を着替えるのを待ち、身なりを整えた彼らをキヨハルの部屋へ連れて行く。そこにはすでに、キヨハルと楽しそうに談笑しているヴァジーとカユボティがいた。
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