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異国編:ジッピン後編:別れ
【280話】モニカがいると心強いなあ
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アーサーとモニカは桜並木を手を繋いで歩いた。いまだに違和感をいだいているモニカだったが、それでもピンク色のトンネルに胸が躍っているようだった。
「あはは!アーサー、頭と肩に花びらが乗ってるよ!」
「モニカもだよ~!かわいい~!」
「カワイイー!」
「わ!ジッピンのことばだね!」
「うん!ノリスケがそればっかり言うから覚えちゃった!」
「確かにノリスケそればっかりだもんねえ!」
「このまま帰ったらまたノリスケにかわいいって言ってもらえるかなあ?」
「言うに決まってるよ!だってほんとうにかわいいもん」
兄にかわいいと言ってもらえて嬉しくなったモニカは、アーサーの腕にぎゅっと抱きついてお礼を言った。
「えへへ、ありがとうアーサー!」
「どういたしまして!サクラの花びら、モニカの髪の色によく合ってるよ!すごくかわいい!」
「……」
「モニカ?」
「アーサー、それ前にも言ったことある?」
「え?ううん」
「ほんと?なんだか聞き覚えがあるような…」
「ないよ。だって僕たち、サクラを見るのはじめてじゃないか」
「あ、そっか…」
「?」
モニカはアーサーの腕に抱きついたまま「うーん…」と考え込んだ。アーサーも「うーん」と唸りモニカを見つめる。二人とも考え事をしながら、サクラの花びらを手のひらに乗せたり、ぼーっと上を見上げたりしながら桜並木を歩いた。あっと言う間に並木道が終わり、二人は出口からずらりと並んでいるサクラを眺める。
「…変な感じがするのモニカ?」
「うん…」
「どうしてだろう」
「どうしてかな。わかんない」
「そっかあ」
「でもサクラ、きれいだった!」
「ほんと?気に入らなかったかなあって不安になっちゃった」
不安げにそう言ったアーサーに、モニカはハッとしてぶんぶんと大きく首を振った。
「ううん!!すっごくきれいだったよ!わたしサクラすき!」
「ほんとにほんと?」
「ほんと!!変な態度とってごめんね!ほんとにすてきだったよ!」
「よかったあ」
ホッとしたアーサーはニコっと笑い妹の手を握った。モニカもその手を握り返し、桜並木をあとにした。
◇◇◇
「だれかぁぁぁ!!あ!!刀さしてる!!ちょっ!!そこの!!そこのきみたち!!変わった髪色の!!」
「ん?」
二人でおしゃべりしながら町へ戻っていると、後ろから大声で叫びながら走ってくる男性に呼び止められた。男性は振り返ったアーサーの肩を掴み、汗をだらだら流しながら騒ぎ立てる。
「きみ!!刀をさしてるってことは狩怪組の人だよね!!助けてくれ!!物の怪が出た!!」
「モノノケ?!」
「アーサー、この男の人なんて言ってるの?声が大きくてこわいよぉ…」
「モノノケが出たんだって!ドコデスカ?!」
「あっちの森だぁ…っ!木の実採ってたら突然あらわれた!!物の怪の巣があるなんて知らなかった!!」
「イキマス!モニカ、助けに行っていいよね?!」
「もちろん!行きましょう!」
「助かる!!森にはまだ俺の仲間が残ってるんだぁ!!一人が足食われちまって動けねえんだぁっ…!」
「アッチノ モリ デスネ?!」
「ああ!一本だけ背の高い杉の木がある!そのあたりに仲間たちがいるはずだ!…生きてたら…」
「ワカッタ! アナタ ヨロズヤ マッテテ クダサイ!ナカマ ツレテキマス!」
「ありがとう…ありがとう…!!あいつらには家族がいるんだ…!」
アーサーはモニカの手を引いて森へ向かって全速力で走り出した。アーサーの全力の走りについて行けず、モニカは足が絡まり転んでしまう。
「むぎゅっ!」
「モニカごめん!大丈夫!?」
「ごめんアーサー…キモノ走りづらくて…」
「ううん!でもまた転んじゃダメだからだっこするね!」
「えっ」
有無を言わさず、うずくまっているモニカの膝裏と背中に手をまわしひょいと抱き上げた。同じ背丈の妹を抱きかかえているのに、アーサーは顔色ひとつ変えず、むしろ目があったモニカにニコっと笑って見せた。アーサーはまた全速力で走り出し、モニカは振り落とされないように兄の首にしがみつく。
「モニカ!森が見えたよ!」
「ほんとだ!」
「背の高い木…あれだ!あっちに向かおう!」
「うん!」
森に足を踏み入れたとたん、鬼がふたりに襲い掛かってきた。アーサーはすぐに鬼に気が付いたが、手が塞がっているため攻撃できない。そのまま突っ切ろうと足を速めた。モニカが気付いたのはそのすぐあとだった。
「わっ、きゃーーーー!!なにあれ気持ちわるいぃぃぃぃ!!こっちこないでぇぇっ!!!」
「ギェァァァ……」
「ひぇっ…」
醜い生き物に驚きすぎて、無意識に火魔法が発動してしまったようだ。鬼は特大の炎に包まれて一瞬にして灰となった。過度な攻撃にアーサーの喉からかすれた高い声が漏れた。
それからもモニカはきゃーきゃー騒ぎながら襲い掛かってくる物ノ怪を一匹残らず焼き払っていった。聴覚が優れているアーサーは、ずっと耳元で叫ばれて耳が壊れてしまいそうだった。
それは置いといて、やはりモニカの魔法は心強い。モニカなしでダンジョンを潜ったときに、彼女の優れた魔法のありがたみをしみじみと感じていた。モニカがいなければ、目的地にたどり着くまで二時間はかかっていただろう。それがものの半時間で辿り着けたのだ。少しばかり耳がおかしくなっても文句はない。
「モニカ!いたよ!3人がモノノケに囲まれてる!…あれ、自分の声聞こえない!あー、あー、モニカ聞こえるー?」
「聞こえてる!アーサー耳どうかしたの?!」
「えっなにか言った?!」
「アーサー!耳!どうかしたの?!」
「あ、聞こえた!耳はね!すぐ治るから大丈夫!」
「そっかあ!よかったー!でもどうしてだろうね!」
「どうしてだろうねー…」
「とりあえず人を囲んでるモノノケを倒すね!」
「お願い!」
モニカは物ノ怪に杖を向けて歌を歌った。透き通った優しい歌声で放つ火魔法は、地獄の業火のように恐ろしかった。
「あはは!アーサー、頭と肩に花びらが乗ってるよ!」
「モニカもだよ~!かわいい~!」
「カワイイー!」
「わ!ジッピンのことばだね!」
「うん!ノリスケがそればっかり言うから覚えちゃった!」
「確かにノリスケそればっかりだもんねえ!」
「このまま帰ったらまたノリスケにかわいいって言ってもらえるかなあ?」
「言うに決まってるよ!だってほんとうにかわいいもん」
兄にかわいいと言ってもらえて嬉しくなったモニカは、アーサーの腕にぎゅっと抱きついてお礼を言った。
「えへへ、ありがとうアーサー!」
「どういたしまして!サクラの花びら、モニカの髪の色によく合ってるよ!すごくかわいい!」
「……」
「モニカ?」
「アーサー、それ前にも言ったことある?」
「え?ううん」
「ほんと?なんだか聞き覚えがあるような…」
「ないよ。だって僕たち、サクラを見るのはじめてじゃないか」
「あ、そっか…」
「?」
モニカはアーサーの腕に抱きついたまま「うーん…」と考え込んだ。アーサーも「うーん」と唸りモニカを見つめる。二人とも考え事をしながら、サクラの花びらを手のひらに乗せたり、ぼーっと上を見上げたりしながら桜並木を歩いた。あっと言う間に並木道が終わり、二人は出口からずらりと並んでいるサクラを眺める。
「…変な感じがするのモニカ?」
「うん…」
「どうしてだろう」
「どうしてかな。わかんない」
「そっかあ」
「でもサクラ、きれいだった!」
「ほんと?気に入らなかったかなあって不安になっちゃった」
不安げにそう言ったアーサーに、モニカはハッとしてぶんぶんと大きく首を振った。
「ううん!!すっごくきれいだったよ!わたしサクラすき!」
「ほんとにほんと?」
「ほんと!!変な態度とってごめんね!ほんとにすてきだったよ!」
「よかったあ」
ホッとしたアーサーはニコっと笑い妹の手を握った。モニカもその手を握り返し、桜並木をあとにした。
◇◇◇
「だれかぁぁぁ!!あ!!刀さしてる!!ちょっ!!そこの!!そこのきみたち!!変わった髪色の!!」
「ん?」
二人でおしゃべりしながら町へ戻っていると、後ろから大声で叫びながら走ってくる男性に呼び止められた。男性は振り返ったアーサーの肩を掴み、汗をだらだら流しながら騒ぎ立てる。
「きみ!!刀をさしてるってことは狩怪組の人だよね!!助けてくれ!!物の怪が出た!!」
「モノノケ?!」
「アーサー、この男の人なんて言ってるの?声が大きくてこわいよぉ…」
「モノノケが出たんだって!ドコデスカ?!」
「あっちの森だぁ…っ!木の実採ってたら突然あらわれた!!物の怪の巣があるなんて知らなかった!!」
「イキマス!モニカ、助けに行っていいよね?!」
「もちろん!行きましょう!」
「助かる!!森にはまだ俺の仲間が残ってるんだぁ!!一人が足食われちまって動けねえんだぁっ…!」
「アッチノ モリ デスネ?!」
「ああ!一本だけ背の高い杉の木がある!そのあたりに仲間たちがいるはずだ!…生きてたら…」
「ワカッタ! アナタ ヨロズヤ マッテテ クダサイ!ナカマ ツレテキマス!」
「ありがとう…ありがとう…!!あいつらには家族がいるんだ…!」
アーサーはモニカの手を引いて森へ向かって全速力で走り出した。アーサーの全力の走りについて行けず、モニカは足が絡まり転んでしまう。
「むぎゅっ!」
「モニカごめん!大丈夫!?」
「ごめんアーサー…キモノ走りづらくて…」
「ううん!でもまた転んじゃダメだからだっこするね!」
「えっ」
有無を言わさず、うずくまっているモニカの膝裏と背中に手をまわしひょいと抱き上げた。同じ背丈の妹を抱きかかえているのに、アーサーは顔色ひとつ変えず、むしろ目があったモニカにニコっと笑って見せた。アーサーはまた全速力で走り出し、モニカは振り落とされないように兄の首にしがみつく。
「モニカ!森が見えたよ!」
「ほんとだ!」
「背の高い木…あれだ!あっちに向かおう!」
「うん!」
森に足を踏み入れたとたん、鬼がふたりに襲い掛かってきた。アーサーはすぐに鬼に気が付いたが、手が塞がっているため攻撃できない。そのまま突っ切ろうと足を速めた。モニカが気付いたのはそのすぐあとだった。
「わっ、きゃーーーー!!なにあれ気持ちわるいぃぃぃぃ!!こっちこないでぇぇっ!!!」
「ギェァァァ……」
「ひぇっ…」
醜い生き物に驚きすぎて、無意識に火魔法が発動してしまったようだ。鬼は特大の炎に包まれて一瞬にして灰となった。過度な攻撃にアーサーの喉からかすれた高い声が漏れた。
それからもモニカはきゃーきゃー騒ぎながら襲い掛かってくる物ノ怪を一匹残らず焼き払っていった。聴覚が優れているアーサーは、ずっと耳元で叫ばれて耳が壊れてしまいそうだった。
それは置いといて、やはりモニカの魔法は心強い。モニカなしでダンジョンを潜ったときに、彼女の優れた魔法のありがたみをしみじみと感じていた。モニカがいなければ、目的地にたどり着くまで二時間はかかっていただろう。それがものの半時間で辿り着けたのだ。少しばかり耳がおかしくなっても文句はない。
「モニカ!いたよ!3人がモノノケに囲まれてる!…あれ、自分の声聞こえない!あー、あー、モニカ聞こえるー?」
「聞こえてる!アーサー耳どうかしたの?!」
「えっなにか言った?!」
「アーサー!耳!どうかしたの?!」
「あ、聞こえた!耳はね!すぐ治るから大丈夫!」
「そっかあ!よかったー!でもどうしてだろうね!」
「どうしてだろうねー…」
「とりあえず人を囲んでるモノノケを倒すね!」
「お願い!」
モニカは物ノ怪に杖を向けて歌を歌った。透き通った優しい歌声で放つ火魔法は、地獄の業火のように恐ろしかった。
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