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異国編:ジッピン後編:別れ
【281話】物の怪の群れ
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「ダイジョウブ デスカ!!」
人を囲んでいた物の怪を焼き尽くし、アーサーとモニカが駆け寄った。木にもたれかかっている男性は右足を欠損している。彼を介抱していた女性と、木の枝で物の怪を追い払おうとしていた男性は、突然物の怪が火に包まれて唖然としていた。
「い、いまのなんだぁ…?」
「わっかんね…。火がぼぉーってなったべ…」
「物の怪が一瞬で灰になった…」
茫然としている二人を置いて、モニカが欠損している男性にいそいで回復魔法をかける。アーサーは四人の前に立ち刀を抜いた。森の奥からぞろぞろと物ノ怪が現れ彼らを狙っている。
「モニカ!男の人の状態は?!」
「血を流しすぎてるわ…!それに残りの二人もけがをしてる。私ひとりじゃ時間がかかりすぎる!」
「増血薬とエリクサーを飲んでもらおう!二人ともけがは浅くないけど、エリクサーで治る範囲だと思うから!」
「お願い!」
「分かった!スミマセン オネエサン!オニイサン!」
「え、お姉さん?あたしのこと?」
「お兄さん?へへ、おれぁそんな年じゃないんだがなあ。照れるやぃ」
「コノ クスリヲ ノンデクダサイ! ケガシテル ヒトニモ ノマセテ クダサイ!」
アーサーはそう言いながらアイテムボックスから薬を取り出し女性に向けて放り投げた。女性と男性は言われるがまま増血薬とエリクサーを飲み、そのあと回復魔法をかけているモニカをぽかんと眺めてながら、怪我人に薬を飲ませた。重症男性の傷がみるみるうちに塞がっていくのに驚き、女性がモニカに尋ねる。
「あんたその年でミコなのかい?」
「? ジッピン コオバ ワカナナイ ゴメナサイ」
「ん?!よく見りゃ異国の人じゃないか!」
「よく見なくても異国の人だろうがや!髪色で気付けっ!」
「あんた見てよ!この子札も使わずに術使ってるよ!」
「のんきなこと言ってねえでお前も介抱しろ!」
「わ、分かってるよ!」
「アーサー!この人、足は治らないけど…助かりそう!足以外の傷は完治したわ!あとは足をどうにかしないといけないけど…。とりあえず血を止める!」
「ありがとうモニカ!応急処置が終わったらはやく森を出よう。このモノノケの数…特訓した山を思い出すよ」
森の奥から湧いてきた物ノ怪がゆっくりと5人を取り囲む。二足歩行でゆらゆらと近寄ってくる物の怪もいれば、四足歩行で地面を這うように近づいてくる物の怪もいる。どの物ノ怪も不気味な形相をしており、やせ細ったしわしわの手足がより嫌悪感を掻き立てる。バンスティンの魔物よりもずっと気持ち悪かった。アーサーは物ノ怪の姿をまじまじと見て「うげぇー」と顔をしかめた。
「うひぃぃ…ジッピンのモノノケきもちわるいよぉぉ…」
「キェァ…アギャ…」
「ハラ…ヘッタ…」
「えっ」
「クワ…セロ…」
「ひぃぃぃっ!喋ってるよぉぉぉっ!!!」
「アーサー!怖がってないではやく倒してよ!どんどん増えてきてるじゃない!」
「わっ、分かったよぉ…。うぅぅ…気持ち悪いよぉ~…」
物ノ怪の気味悪さにアーサーが叫んだり弱々しい声をあげていると、ジッピン人の女性と男性が不安げに目を見合わせた。
「なあ…あの子大丈夫なんかぁ…?」
「刀持ってるけど…本当に狩怪組かねぇ…?すっごい弱そうだべ…」
「あたしらのこと置いて逃げるんじゃないの…?」
「ま、まああの子が逃げてもこの女の子がどうにかしてくれるべ…。この子、すっごい術使えるみたいだし…」
ジッピン人がコソコソと耳打ちしている中、アーサーは「もぉ~…。モノノケってこんな気持ち悪かったのぉ…?聞いてないよぉ…」と一人ぼやいている。大きなため息をついてから、アーサーが物ノ怪に向かいゆっくりと歩きだした。
「えへへ。でも刀振ってみたかったんだよねえ。普通の剣と切れ味違うのかなあ?ちょっと楽しみかも」
「グエッ…グァェッ」
「ウマソウ…ニオイ…クワセロ…」
「うーん、二足歩行のモノノケは首を狙えばいいのかな?いや心臓かな?それとも同時かな」
「ウマソ…クウ…」
「ギェァッ…グフッ…」
「ま、とりあえず首を斬ってみようか。細いし」
てくてくと物ノ怪に向かって歩いていくアーサー。…が、まるでそこに何もいないかのように物ノ怪の間を通り過ぎた。物の怪は変わらずモニカたちに近づいてくる。知らん顔をして歩き続けるアーサーに、ジッピン人たちは怒りをはらんだ叫び声をあげた。
「あ!あいつやっぱ逃げる気だぞ!!」
「戦うふりして逃げたよあのガキ!!」
「わ、すごーい!斬った感触なかった!カタナすごいなー!!」
「おい!俺たちを置いていくなー!!」
「ぎゃーーー!!物の怪がこっち来るぅぅ!助けてぇ!嬢ちゃん助けてよぉぉ!!」
「?」
ジッピン人が治癒しているモニカにしがみついた。モニカは不思議そうな顔で彼らを見る。
「なんでこの人たち死んでるモノノケを怖がってるんだろう?」
「こっち来んなこっち来んなぁぁぁっ!!」
ジッピン人が騒いでも、物ノ怪は気味の悪い声をあげながらじわじわと距離を詰めた。物の怪とジッピン人との距離が1メートルをきったとき、ジッピン人が死を覚悟して目を瞑る。その瞬間、ジッピン人の顔に生暖かい液体が大量にかかった。
「…え?」
ゆっくりと目を開けると、目の前で物ノ怪の首がぽとりと落ちた。どす黒い血を噴き出しながらまだ歩いている。後方を歩いている物ノ怪の首も、ボトリ、ボトリと落ちていく。しばらく動いていたそれらは、突然スイッチが切れたかのように地面に倒れ動かなくなった。
「ど…どういう…?」
「おい、見ろ…。あの男の子が歩いた道筋の物ノ怪…全部首ぶっとんでる…」
男が離れた場所を歩いているアーサーを指さした。足跡のように首を撥ねられた物ノ怪が倒れている。
「な…。じゃ、じゃあ、この物の怪、ぜんぶあの子がやったって言うのかい…?」
「まさか…。だってあの子、歩いてるだけじゃ…」
「刀を振ってる素振りなんていっこも…」
「で…でも…あの子の刀、血で真っ赤に染まってる…」
「…ほんとだ…」
「大人の狩怪組でもあんな数の物の怪相手するには骨が折れるってのに…」
「それを大根みたいにサクサク斬ってるってのか…?」
「まさかあの子…」
「ものすごく強いんじゃ…」
その後もアーサーは木の周りを歩き、物ノ怪の首を次々とはねていった。刀の切れ味の良さに興奮を隠しきれないようだ。
「わぁ…!すごいよこのカタナ!すーって引くだけで斬れちゃう!モノノケの首もやわらかいし倒しやすい。動きもゆっくりだし、ゴブリンレベルだね」
人を囲んでいた物の怪を焼き尽くし、アーサーとモニカが駆け寄った。木にもたれかかっている男性は右足を欠損している。彼を介抱していた女性と、木の枝で物の怪を追い払おうとしていた男性は、突然物の怪が火に包まれて唖然としていた。
「い、いまのなんだぁ…?」
「わっかんね…。火がぼぉーってなったべ…」
「物の怪が一瞬で灰になった…」
茫然としている二人を置いて、モニカが欠損している男性にいそいで回復魔法をかける。アーサーは四人の前に立ち刀を抜いた。森の奥からぞろぞろと物ノ怪が現れ彼らを狙っている。
「モニカ!男の人の状態は?!」
「血を流しすぎてるわ…!それに残りの二人もけがをしてる。私ひとりじゃ時間がかかりすぎる!」
「増血薬とエリクサーを飲んでもらおう!二人ともけがは浅くないけど、エリクサーで治る範囲だと思うから!」
「お願い!」
「分かった!スミマセン オネエサン!オニイサン!」
「え、お姉さん?あたしのこと?」
「お兄さん?へへ、おれぁそんな年じゃないんだがなあ。照れるやぃ」
「コノ クスリヲ ノンデクダサイ! ケガシテル ヒトニモ ノマセテ クダサイ!」
アーサーはそう言いながらアイテムボックスから薬を取り出し女性に向けて放り投げた。女性と男性は言われるがまま増血薬とエリクサーを飲み、そのあと回復魔法をかけているモニカをぽかんと眺めてながら、怪我人に薬を飲ませた。重症男性の傷がみるみるうちに塞がっていくのに驚き、女性がモニカに尋ねる。
「あんたその年でミコなのかい?」
「? ジッピン コオバ ワカナナイ ゴメナサイ」
「ん?!よく見りゃ異国の人じゃないか!」
「よく見なくても異国の人だろうがや!髪色で気付けっ!」
「あんた見てよ!この子札も使わずに術使ってるよ!」
「のんきなこと言ってねえでお前も介抱しろ!」
「わ、分かってるよ!」
「アーサー!この人、足は治らないけど…助かりそう!足以外の傷は完治したわ!あとは足をどうにかしないといけないけど…。とりあえず血を止める!」
「ありがとうモニカ!応急処置が終わったらはやく森を出よう。このモノノケの数…特訓した山を思い出すよ」
森の奥から湧いてきた物ノ怪がゆっくりと5人を取り囲む。二足歩行でゆらゆらと近寄ってくる物の怪もいれば、四足歩行で地面を這うように近づいてくる物の怪もいる。どの物ノ怪も不気味な形相をしており、やせ細ったしわしわの手足がより嫌悪感を掻き立てる。バンスティンの魔物よりもずっと気持ち悪かった。アーサーは物ノ怪の姿をまじまじと見て「うげぇー」と顔をしかめた。
「うひぃぃ…ジッピンのモノノケきもちわるいよぉぉ…」
「キェァ…アギャ…」
「ハラ…ヘッタ…」
「えっ」
「クワ…セロ…」
「ひぃぃぃっ!喋ってるよぉぉぉっ!!!」
「アーサー!怖がってないではやく倒してよ!どんどん増えてきてるじゃない!」
「わっ、分かったよぉ…。うぅぅ…気持ち悪いよぉ~…」
物ノ怪の気味悪さにアーサーが叫んだり弱々しい声をあげていると、ジッピン人の女性と男性が不安げに目を見合わせた。
「なあ…あの子大丈夫なんかぁ…?」
「刀持ってるけど…本当に狩怪組かねぇ…?すっごい弱そうだべ…」
「あたしらのこと置いて逃げるんじゃないの…?」
「ま、まああの子が逃げてもこの女の子がどうにかしてくれるべ…。この子、すっごい術使えるみたいだし…」
ジッピン人がコソコソと耳打ちしている中、アーサーは「もぉ~…。モノノケってこんな気持ち悪かったのぉ…?聞いてないよぉ…」と一人ぼやいている。大きなため息をついてから、アーサーが物ノ怪に向かいゆっくりと歩きだした。
「えへへ。でも刀振ってみたかったんだよねえ。普通の剣と切れ味違うのかなあ?ちょっと楽しみかも」
「グエッ…グァェッ」
「ウマソウ…ニオイ…クワセロ…」
「うーん、二足歩行のモノノケは首を狙えばいいのかな?いや心臓かな?それとも同時かな」
「ウマソ…クウ…」
「ギェァッ…グフッ…」
「ま、とりあえず首を斬ってみようか。細いし」
てくてくと物ノ怪に向かって歩いていくアーサー。…が、まるでそこに何もいないかのように物ノ怪の間を通り過ぎた。物の怪は変わらずモニカたちに近づいてくる。知らん顔をして歩き続けるアーサーに、ジッピン人たちは怒りをはらんだ叫び声をあげた。
「あ!あいつやっぱ逃げる気だぞ!!」
「戦うふりして逃げたよあのガキ!!」
「わ、すごーい!斬った感触なかった!カタナすごいなー!!」
「おい!俺たちを置いていくなー!!」
「ぎゃーーー!!物の怪がこっち来るぅぅ!助けてぇ!嬢ちゃん助けてよぉぉ!!」
「?」
ジッピン人が治癒しているモニカにしがみついた。モニカは不思議そうな顔で彼らを見る。
「なんでこの人たち死んでるモノノケを怖がってるんだろう?」
「こっち来んなこっち来んなぁぁぁっ!!」
ジッピン人が騒いでも、物ノ怪は気味の悪い声をあげながらじわじわと距離を詰めた。物の怪とジッピン人との距離が1メートルをきったとき、ジッピン人が死を覚悟して目を瞑る。その瞬間、ジッピン人の顔に生暖かい液体が大量にかかった。
「…え?」
ゆっくりと目を開けると、目の前で物ノ怪の首がぽとりと落ちた。どす黒い血を噴き出しながらまだ歩いている。後方を歩いている物ノ怪の首も、ボトリ、ボトリと落ちていく。しばらく動いていたそれらは、突然スイッチが切れたかのように地面に倒れ動かなくなった。
「ど…どういう…?」
「おい、見ろ…。あの男の子が歩いた道筋の物ノ怪…全部首ぶっとんでる…」
男が離れた場所を歩いているアーサーを指さした。足跡のように首を撥ねられた物ノ怪が倒れている。
「な…。じゃ、じゃあ、この物の怪、ぜんぶあの子がやったって言うのかい…?」
「まさか…。だってあの子、歩いてるだけじゃ…」
「刀を振ってる素振りなんていっこも…」
「で…でも…あの子の刀、血で真っ赤に染まってる…」
「…ほんとだ…」
「大人の狩怪組でもあんな数の物の怪相手するには骨が折れるってのに…」
「それを大根みたいにサクサク斬ってるってのか…?」
「まさかあの子…」
「ものすごく強いんじゃ…」
その後もアーサーは木の周りを歩き、物ノ怪の首を次々とはねていった。刀の切れ味の良さに興奮を隠しきれないようだ。
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