【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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初夏編:初夏のオヴェルニー学院

【315話】異国の贈り物

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ジュリアとウィルクは次々と贈り物を取り出した。見慣れない服、見慣れない武器、見慣れない髪飾りに見慣れないお菓子…。ひとつひとつに兄と姉から一言メモがくっつけられており、それを読んではクスっと笑ったり目を潤ませていた。

異国の物に興味を持った生徒たちがぞろぞろと彼らの周りに群がってくる。女子たちは華やかなキモノと可愛らしい干菓子に心を奪われ、男子たちはカタナに夢中になった。

「ねえ見てこれぇ!!かわいいー!!」

「ほんとだぁ!!どこで買えるのこれぇ?!」

「おい、このメモ見てみろよ!」

「なになに…?"僕たちジッピンの文化品を扱う画商になりました。ルアンに画廊を建てる予定だから、よかったら遊びに来てね"…」

「え!!ルアンでこういうの買えるってこと?!」

「そういうことだよな!?」

「やだ!ママにお願いしてルアン連れて行ってもらお!」

「ルアンっつったらリーノがいるよな?」

「長期休暇にルアン行って画廊行ってリーノに会いに行こうぜ!!」

「そうしよう!」

生徒たちが盛り上がっている中、ジュリアが小さい声で呟いた。

「そう…。アーサー様とモニカ様はジッピンに行ってらっしゃったのね」

「ジッピン…。あの鎖国していた島国ですね。なぜまたそのような辺鄙な国に」

「さあ。あの方たちのすることは分からないわ」

「そうですね。それよりお姉さま見てください!この剣、とてもかっこいいです!」

「ええ、素敵ね。でも扱いが難しそうだわ」

「使いこなして見せます!よし、今日の授業はこれでやってみよう!」

「カーティス先生に怒られても知らないわよ。私はこの髪飾りが気に入ったわ。この国のものと違ってゴテゴテしていないのにゴージャスなのが好き」

「ええ。とても芸術的です」

「あら、あなたに芸術が分かるの?」

「失礼ですよお姉さま!これでもありとあらゆる教育を受けていますから!!」

「へぇ?つまり頭でっかちってことね」

「意地悪はおやめください!」

「ふふ、ごめんなさい。つい」

姉に意地悪を言われてぷんぷんと頬を膨らませながら、ウィルクは贈り物の最後のふたつを取り出した。それは小さな絵画だった。1枚はまるで適当に絵具をぶちまけたようにとりとめのないもの。もう1枚は大波と山が描かれた版画だった。

「…これは?」

ジュリアのアイテムボックスにも同じような絵画が入っていた。それを見た彼女は苦々しく笑っている。

「…あの画家たちと面識があるのは知っていたけれど…。実物を見るとまた…ひどいものね」

「あの画家?有名な画家なのでしょうか」

「ええ、ある意味有名よ。なんでも彼らの展覧会に行けば吐き気をもよおすって」

「悪い意味で有名なんじゃないですか…」

「でももう1枚の版画は素敵だわ。これもジッピンのものね。美しいわ」

「そうでしょうか…。僕には良さがさっぱり…」

「ふふ。だからあなたはだめなのよ。この良さが分からないなんてまだまだお子さまね」

「むぅ…!僕はどちらかというと油絵の方が好きですね!色彩がきれいではありませんか!」

「あらあら、悪趣味」

「ジュリアお姉さま!どちらの絵もモニカお姉さまとお兄さまが贈ってくださったものですよ!それを悪趣味なんてよく言えましたね!」

「む…。た、確かにそうだわ…。私ったら失言を…」

「きっとどちらの絵にも魅力があるに違いありません!それが分からないのは、僕たちが至らないからです」

「まさかウィルクにこんなことを言われる日が来るなんてね。ふふ、そうね。今日からこの油絵の画家について調べてみることにするわ。もしかしたら意図的にこのような絵を描いているのかもしれない。この目も当てられない絵でなにかを表現しようとしているのかもしれないですものね」

「僕もこの版画について調べてみます。ジッピンの情報なんてほとんどないでしょうが…」

「私もなにか分かったら共有するわ。…ねえウィルク」

「はい、お姉さま」

「いつか、ルアンの画廊へ行ってみたいわね」

「!行ってみたいです!!」

「誰にも内緒でこっそり行ってみましょうか」

いたずらっぽく笑うジュリアに、コクコクとウィルクが頷く。正しいことしかしようとしないジュリアがまさかこのような提案をするとは思いもしなかった。それほどまでにアーサーとモニカに会いたいんだろうな、とウィルクはクスクス笑った。姉がボソッと呟いた言葉は、ウィルクの耳には届かなかった。

「…助けて…」
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