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決戦編:裏S級との戦い
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冒険者たちはサロンに案内された。各々がソファに腰かけるが、アーサーとモニカでさえはしゃぐ様子はない。
彼らの重い表情と変わり果てた姿に察することがあった侯爵は、冒険者たちが口を開くのを静かに待った。
カミーユは、出された紅茶を一口だけ飲んで報告した。
「おやっさん……。おやっさんに、いくつか報告しなきゃいけねえことがある」
「そうだろうね。ゆっくりでいいから聞かせてくれ」
「ああ……。俺たちは……ヴィクス王子からの指定依頼で半年間バンスティンダンジョンに潜っていた」
「バンスティンダンジョンだと……!? よく……生きて帰ってこられたな」
「ああ……。これから出た犠牲の話をする。まず、カトリナが失明した。すまない……」
深く頭を下げるカミーユに、侯爵は首を横に振る。
「断念だが……仕方ない。これだけで済んだことを幸せに思うことにする」
「それと……おやっさんの領地に拠点を置いていたS級冒険者パーティ、クルドパーティのうち、クルド、ブルギー、ミントが死亡した」
「……そうか……。クルドが……。それに、ブルギー、ミントまで……」
侯爵は項垂れ、彼らに思いを馳せた。
「クルドパーティ……。我がヴィラバンデ地区の誇りだった」
「俺らが生き残れたのは、ブルギーがパラディンとして俺らを守ってくれたからだ。ミントが回復魔法で俺らの怪我を治してくれたからだ。そして……クルドが命と引き換えに、最強の魔物の心臓をひとつ潰してくれたからだ……」
「そうか……」
指で涙を拭い、侯爵はサンプソンとマデリアに尋ねる。
「パーティリーダーを失った君たちは、これからどうするつもりだい?」
それに答えたのはサンプソン。
「遠い未来のことはまだ考えていませんが、しばらくはカミーユパーティと共に行動しようと考えています」
「ふむ……正直に言うと気にくわないが……まあ、仕方ないだろうな。それに、私はS級冒険者としての君のことは認めている。バンスティンダンジョンでもよく戦ってくれたんだろう。……サンプソン、マデリア。ご苦労だった」
サンプソンとマデリアは小さく首を横に振った。まるで自分たちはなんの役にも立てなかったと思っているような思いつめた表情をしている。
侯爵は小さくため息を吐き、二人の肩に手を乗せた。
「クルドパーティを失って一番辛いのは君たちだろう。しばらくは……心の休息をとってくれ」
「……お心遣い、感謝します」
「生き残ったからといって、亡くなった者たちより貢献できなかったと思ってはいけないぞ。サンプソン、マデリア。生きて帰ってきてくれてありがとう」
「「……はい……」」
侯爵の言葉にサンプソンとマデリアは顔を両手で覆った。肩を震わせる彼らをそっとしておき、侯爵はカミーユに視線を戻す。
「そしてカミーユは左腕を失ったのか」
「ああ。油断したすきにスパッとな」
「……もう大剣は持てないか」
「なに、体力があるときは持てるさ。そうじゃないときだって剣は持てる。俺はまだまだ戦えるぜ」
「……そうだな。……リアーナは耳が尖ったな」
リアーナは「おう!」と元気に返事をして、ニカッと笑い牙を見せた。
「牙だって生えたぜ! それに、目も見て見ろおやっさん!」
「おお……。これまた……まるで……」
「おう! あたし、魔物になっちまったー!! ぎゃはは!」
ゲラゲラと笑うリアーナに、侯爵は苦笑いにも涙ぐんでいるようにも見える表情を向けた。
しばらく大声で笑っていたリアーナが、ふと不安げに侯爵を窺う。
「……こっから出て行った方がいいか……?」
「どうして?」
「あたし、魔物になっちまったから……。怖えだろ……?」
「どうして?」
「どうしてって……だから、あたし魔物になっちまったから……」
「出ていかなくていいし、怖くもない。どうして君の耳が尖ったからといって追い出す必要がある?」
「おやっさん……」
「それに、尖った耳の方がエルフのようで美しいじゃないか。牙のおかげで君の大好きな肉もしっかり噛み切れるしね。瞳だって痣だって、個性的な君に似合っている。今も君は素敵なままだ。だから出ていかなくていい」
「おやっさぁぁぁん……!」
リアーナはぶわっと涙を溢れさせ、侯爵に抱きついた。リアーナの力が今まで以上に強くなっていたので侯爵は抱き潰されそうになったが、窒息しながらも彼女の頭を撫でてやった。
侯爵はそのまま双子に声をかける。
「君たちは……見たところ変わりなさそうだ」
それにモニカがコクコク頷く。
「うん。私は何もないわ。アーサーはね、ちょっと魔物になっちゃった」
「そうか、アーサーも……」
「でもね! アーサーは今までどおり最高のお兄ちゃんだから!!」
モニカに勢いよく腕に抱きつかれたアーサーは体を強張らせた。アーサーの表情がかたく、侯爵ともうまく目を合わせられないようだ。
侯爵はアーサーをじっと見つめたあと、モニカに笑いかけた。
「そうだろうね。分かるよ」
彼らの重い表情と変わり果てた姿に察することがあった侯爵は、冒険者たちが口を開くのを静かに待った。
カミーユは、出された紅茶を一口だけ飲んで報告した。
「おやっさん……。おやっさんに、いくつか報告しなきゃいけねえことがある」
「そうだろうね。ゆっくりでいいから聞かせてくれ」
「ああ……。俺たちは……ヴィクス王子からの指定依頼で半年間バンスティンダンジョンに潜っていた」
「バンスティンダンジョンだと……!? よく……生きて帰ってこられたな」
「ああ……。これから出た犠牲の話をする。まず、カトリナが失明した。すまない……」
深く頭を下げるカミーユに、侯爵は首を横に振る。
「断念だが……仕方ない。これだけで済んだことを幸せに思うことにする」
「それと……おやっさんの領地に拠点を置いていたS級冒険者パーティ、クルドパーティのうち、クルド、ブルギー、ミントが死亡した」
「……そうか……。クルドが……。それに、ブルギー、ミントまで……」
侯爵は項垂れ、彼らに思いを馳せた。
「クルドパーティ……。我がヴィラバンデ地区の誇りだった」
「俺らが生き残れたのは、ブルギーがパラディンとして俺らを守ってくれたからだ。ミントが回復魔法で俺らの怪我を治してくれたからだ。そして……クルドが命と引き換えに、最強の魔物の心臓をひとつ潰してくれたからだ……」
「そうか……」
指で涙を拭い、侯爵はサンプソンとマデリアに尋ねる。
「パーティリーダーを失った君たちは、これからどうするつもりだい?」
それに答えたのはサンプソン。
「遠い未来のことはまだ考えていませんが、しばらくはカミーユパーティと共に行動しようと考えています」
「ふむ……正直に言うと気にくわないが……まあ、仕方ないだろうな。それに、私はS級冒険者としての君のことは認めている。バンスティンダンジョンでもよく戦ってくれたんだろう。……サンプソン、マデリア。ご苦労だった」
サンプソンとマデリアは小さく首を横に振った。まるで自分たちはなんの役にも立てなかったと思っているような思いつめた表情をしている。
侯爵は小さくため息を吐き、二人の肩に手を乗せた。
「クルドパーティを失って一番辛いのは君たちだろう。しばらくは……心の休息をとってくれ」
「……お心遣い、感謝します」
「生き残ったからといって、亡くなった者たちより貢献できなかったと思ってはいけないぞ。サンプソン、マデリア。生きて帰ってきてくれてありがとう」
「「……はい……」」
侯爵の言葉にサンプソンとマデリアは顔を両手で覆った。肩を震わせる彼らをそっとしておき、侯爵はカミーユに視線を戻す。
「そしてカミーユは左腕を失ったのか」
「ああ。油断したすきにスパッとな」
「……もう大剣は持てないか」
「なに、体力があるときは持てるさ。そうじゃないときだって剣は持てる。俺はまだまだ戦えるぜ」
「……そうだな。……リアーナは耳が尖ったな」
リアーナは「おう!」と元気に返事をして、ニカッと笑い牙を見せた。
「牙だって生えたぜ! それに、目も見て見ろおやっさん!」
「おお……。これまた……まるで……」
「おう! あたし、魔物になっちまったー!! ぎゃはは!」
ゲラゲラと笑うリアーナに、侯爵は苦笑いにも涙ぐんでいるようにも見える表情を向けた。
しばらく大声で笑っていたリアーナが、ふと不安げに侯爵を窺う。
「……こっから出て行った方がいいか……?」
「どうして?」
「あたし、魔物になっちまったから……。怖えだろ……?」
「どうして?」
「どうしてって……だから、あたし魔物になっちまったから……」
「出ていかなくていいし、怖くもない。どうして君の耳が尖ったからといって追い出す必要がある?」
「おやっさん……」
「それに、尖った耳の方がエルフのようで美しいじゃないか。牙のおかげで君の大好きな肉もしっかり噛み切れるしね。瞳だって痣だって、個性的な君に似合っている。今も君は素敵なままだ。だから出ていかなくていい」
「おやっさぁぁぁん……!」
リアーナはぶわっと涙を溢れさせ、侯爵に抱きついた。リアーナの力が今まで以上に強くなっていたので侯爵は抱き潰されそうになったが、窒息しながらも彼女の頭を撫でてやった。
侯爵はそのまま双子に声をかける。
「君たちは……見たところ変わりなさそうだ」
それにモニカがコクコク頷く。
「うん。私は何もないわ。アーサーはね、ちょっと魔物になっちゃった」
「そうか、アーサーも……」
「でもね! アーサーは今までどおり最高のお兄ちゃんだから!!」
モニカに勢いよく腕に抱きつかれたアーサーは体を強張らせた。アーサーの表情がかたく、侯爵ともうまく目を合わせられないようだ。
侯爵はアーサーをじっと見つめたあと、モニカに笑いかけた。
「そうだろうね。分かるよ」
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