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最終編:反乱編:北部アウス軍
怒りの魔女
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敵軍を震撼させる快進撃で一夜にしてバンスティン大公軍を制圧したモリア軍。
一方、アウス軍の旗色は悪かった。
「くそっ……! 人間より魔物の数の方が多いんじゃねえか……!?」
「ぎゃはは! さっすが闇オークション常連者が組んだ連合軍だぜ!」
「ふふ、適当に打っても何かしらには命中するわァ。ある意味楽ねェ」
先陣を切って戦う、アーサー、カミーユ、リアーナ、カトリナ、そしてシチュリアは、倒しても倒しても湧いてくる魔物に立ち向かっていた。
敵の連合軍は闇オークションで買いあさった魔物を総動員で引き連れてきた。こちらも敵味方関係なくヒトを襲うので、カミーユたちは敵兵をも守りながら戦っている。
魔物と戦える人間は、アーサーの近衛兵として戦うカミーユパーティとシチュリアだけ。彼ら以外の兵は、戦地から魔物が逃げ込まないよう、周囲の町を守るくらいしかできなかった。
しかし連合軍も、思いの外善戦しているアーサーたちに舌打ちを打っていた。
高みの見物をしていた敵兵のフォクト家が、とっておきの魔物を外に放つ。
「ふふふ。白金貨千枚で買った魔女の魂魄……とうとう使う時が来たな。おい、そこらへんに闇オークションで買ってきた成人女性はいるか?」
「はい! すぐお持ちいたします!」
◇◇◇
その数時間後、アーサーたちの元に突如現れた黒髪の女性。彼女は雄たけびを上げながら彼らに襲いかかった。
「うああああああ! 腹が立つ! 腹が立つぅぅぅぅ!! 何百年と小瓶の中に閉じ込めやがってクソがぁぁぁ!」
「うわっ!」
突風に吹き飛ばされたアーサーは、くるりと宙返りして着地した。女性は大声で叫びながら手あたり次第に攻撃している。
「な、なんかいやな予感がする! このひとつの感情に憑りつかれてる感じの……黒髪の不健康そうな女の人……」
それに答えたのはリアーナだ。
「ああ! アーサー、お前の勘は大当たりだ!! こいつ、魔女だ!」
「ひぃいぃぃん! 魔女ぉぉぉぉっ……!」
「この感じ、〝怒りの魔女〟だな!」
「だよねぇ! ずっと怒ってるもんねぇ!」
「さて、どうすっかなー!」
怒りの魔女は咆哮して魔法を打ち続けている。アーサーは小さく頷き、指を鳴らした。
「みんなに反魔法かけたよ! もう魔女の魔法は怖くない……はず! たぶん!」
「おお、アーサーお手柄だぜ。助かる!」
すると、魔女がアーサーの元に飛んできた。
「ひぃぃぃっ……!」
「あぁん!? なんだお前、ヒトなのか魔物なのかどっちだ!」
「ヒ、ヒトです!」
「なんだとぉぉ!? あたしの仲間じゃねえのかよ! うざ! むかつくー! ダル! じゃあさっさと死ねよ!」
魔女の鋭い爪がアーサーに襲いかかる。しかし今のアーサーにとって、魔女の攻撃を受け止めることは造作もないことだった。アーサーは魔女の腕を掴み、睨みつける。
「死なないよ。死ぬのは君でしょ」
「っ……」
威圧する眼光。今にも腕を握りつぶしそうな握力。冷たい声。
怒りの魔女を震え上がらせるには充分だった。
魔女が怯んだすきに、アーサーがシチュリアに呼びかける。
「シチュリア! 聖魔法を!」
「ええ!」
シチュリアがアーサーの剣に聖魔法をかけたあと、魔女の首をはねた。同時にアーサーが魔女の心臓に剣を貫く。
「んぎぃぃいぃぁぁ!! クソッがあぁぁぁ……!」
魔女をあっさりと倒したアーサーとシチュリアに、カミーユパーティは目配せをした。
「俺らの出る幕なかったじゃねえか、オイ」
「そろそろ世代交代かあ?」
「そうねェ。ふふ、頼もしいわァ」
一方、アウス軍の旗色は悪かった。
「くそっ……! 人間より魔物の数の方が多いんじゃねえか……!?」
「ぎゃはは! さっすが闇オークション常連者が組んだ連合軍だぜ!」
「ふふ、適当に打っても何かしらには命中するわァ。ある意味楽ねェ」
先陣を切って戦う、アーサー、カミーユ、リアーナ、カトリナ、そしてシチュリアは、倒しても倒しても湧いてくる魔物に立ち向かっていた。
敵の連合軍は闇オークションで買いあさった魔物を総動員で引き連れてきた。こちらも敵味方関係なくヒトを襲うので、カミーユたちは敵兵をも守りながら戦っている。
魔物と戦える人間は、アーサーの近衛兵として戦うカミーユパーティとシチュリアだけ。彼ら以外の兵は、戦地から魔物が逃げ込まないよう、周囲の町を守るくらいしかできなかった。
しかし連合軍も、思いの外善戦しているアーサーたちに舌打ちを打っていた。
高みの見物をしていた敵兵のフォクト家が、とっておきの魔物を外に放つ。
「ふふふ。白金貨千枚で買った魔女の魂魄……とうとう使う時が来たな。おい、そこらへんに闇オークションで買ってきた成人女性はいるか?」
「はい! すぐお持ちいたします!」
◇◇◇
その数時間後、アーサーたちの元に突如現れた黒髪の女性。彼女は雄たけびを上げながら彼らに襲いかかった。
「うああああああ! 腹が立つ! 腹が立つぅぅぅぅ!! 何百年と小瓶の中に閉じ込めやがってクソがぁぁぁ!」
「うわっ!」
突風に吹き飛ばされたアーサーは、くるりと宙返りして着地した。女性は大声で叫びながら手あたり次第に攻撃している。
「な、なんかいやな予感がする! このひとつの感情に憑りつかれてる感じの……黒髪の不健康そうな女の人……」
それに答えたのはリアーナだ。
「ああ! アーサー、お前の勘は大当たりだ!! こいつ、魔女だ!」
「ひぃいぃぃん! 魔女ぉぉぉぉっ……!」
「この感じ、〝怒りの魔女〟だな!」
「だよねぇ! ずっと怒ってるもんねぇ!」
「さて、どうすっかなー!」
怒りの魔女は咆哮して魔法を打ち続けている。アーサーは小さく頷き、指を鳴らした。
「みんなに反魔法かけたよ! もう魔女の魔法は怖くない……はず! たぶん!」
「おお、アーサーお手柄だぜ。助かる!」
すると、魔女がアーサーの元に飛んできた。
「ひぃぃぃっ……!」
「あぁん!? なんだお前、ヒトなのか魔物なのかどっちだ!」
「ヒ、ヒトです!」
「なんだとぉぉ!? あたしの仲間じゃねえのかよ! うざ! むかつくー! ダル! じゃあさっさと死ねよ!」
魔女の鋭い爪がアーサーに襲いかかる。しかし今のアーサーにとって、魔女の攻撃を受け止めることは造作もないことだった。アーサーは魔女の腕を掴み、睨みつける。
「死なないよ。死ぬのは君でしょ」
「っ……」
威圧する眼光。今にも腕を握りつぶしそうな握力。冷たい声。
怒りの魔女を震え上がらせるには充分だった。
魔女が怯んだすきに、アーサーがシチュリアに呼びかける。
「シチュリア! 聖魔法を!」
「ええ!」
シチュリアがアーサーの剣に聖魔法をかけたあと、魔女の首をはねた。同時にアーサーが魔女の心臓に剣を貫く。
「んぎぃぃいぃぁぁ!! クソッがあぁぁぁ……!」
魔女をあっさりと倒したアーサーとシチュリアに、カミーユパーティは目配せをした。
「俺らの出る幕なかったじゃねえか、オイ」
「そろそろ世代交代かあ?」
「そうねェ。ふふ、頼もしいわァ」
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