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「ジョエル、私に番を見つける能力がないと言った教育係は、あなたの家の息がかかっていたようね」
私の言葉に、ジョエルが一瞬目を見開いて、すぐに動揺を隠すと、目を細める。
「何を言い出すかと思えば……下らない」
「あら、証拠はあるのよ?」
「そうね」
パメラが楽しそうに声を弾ませる。私も同意して頷く。
ジョエルの言葉が怪しいと、私の不安な心を具現化してくれたのは、パメラだった。
「ど、どこにそんな証拠が?! そんなものありはしないだろう!」
余裕な態度の私とパメラに、ジョエルが少しうろたえる。
「それがね、あるんだよ」
ピエルパオロが、うんうんと頷いている。
証拠を集めるのに力を貸してくれたのは、パメラと同じくジョエルに疑いを持ったピエルパオロだった。
ジョエルが、ギリギリと奥歯を噛み締めている。
ジョエルは、身分が公爵家である自分より下の、でも自分より私に信頼されているピエルパオロのことを、昔から敵視していた。
ジョエルもピエルパオロも同じく私にとっては従兄だと言うのに、私が幼い頃から信頼しているのはピエルパオロの方だったし、それは20才になっても変わりそうもなかった。
ピエルパオロは公正な目を持つけれど、ジョエルは自分を褒める相手の言うことしか耳に入れようとしないとよく知っているから。
今日の行動だけで、侮蔑するには十分だ。
「証拠があると言うのなら、出してもらおう!」
それでも尊大な態度のジョエルに、私は本気でため息をつく。
「ええ。かまわないわ」
私は魔法で、私に欠陥があると告げた教育係のエンマを呼び出した。
唐突に現れたエンマに、会場がざわめく。
召喚の魔法など、普通は使えないからだ。瞳を変える魔法と同じで。
だけど、私は次期妖精王なのだ。
ジョエルもコラソンも、驚きで目を見開いている。
パメラもピエルパオロも、この魔法の存在を知っているから、驚いてはいない。テオ様は私がやろうとしていることを理解したのか、楽しそうに目を細めた。
呼び出された当のエンマは、突然の出来事に狼狽えている。
いつも、私を冷たく見ていた様子とは、全然違う。
「エンマ、ご機嫌よう」
私の声に、エンマがハッとする。
「フィオーレ様、この趣味の悪い催しに、一体なぜいらっしゃっているのです!」
我に返ったらしいエンマが、いつものように私を叱責する。
いつもいつも、エンマは私を怒りのエネルギーで操作しようとしていた。この15年もの間。
それは、自分の思い通りに私を動かしたかったからだと、今ならわかるのだけど。
わずかに感謝できるところがあるとすれば、怒りのコントロールを、彼女のおかげで身につけられた、ってところぐらいだろうか。わずかに、だけど!
「そうね。言うならば、エンマの言うとおりにならないため、かしら? そうそう、エンマ。私の番が見つかったのよ」
「フィオーレ様! 一体何を言い出すのです!」
「私に番を見つける能力がないと、よくもぬけぬけと言えたものね。私にも、番を見分ける能力はきちんとあったわ」
私はテオ様の体に頭を寄せると、エンマに微笑んで見せる。
「フィオーレ様! フィオーレ様の番は、ジョエル様ではありませんか!」
「流石、グエッラ公爵家の犬。ぶれないわね」
パメラの言葉に、エンマが顔を真っ赤にする。
「私は、犬などではありません!」
「でも、約束の石のペンダントは、グエッラ家の犬になるように約束がかけられていたようだけど? でも、この石がなくても、グエッラ家に忠実なんだから、犬で間違ってはなさそうだけどね」
ピエルパオロが懐から透明な石のついたペンダントを取り出す。
エンマが奥歯をぎりぎりと鳴らして、フルフルと震えだす。
「私は私の意思で動いているのです! 誰かに飼われる犬などではありません!」
「だけど、この石には、グエッラ家の……魔力の痕跡があったんだよ?」
ピエルパオロの言葉に、グエッラ家であるジョエルがピクリと反応する。
私の言葉に、ジョエルが一瞬目を見開いて、すぐに動揺を隠すと、目を細める。
「何を言い出すかと思えば……下らない」
「あら、証拠はあるのよ?」
「そうね」
パメラが楽しそうに声を弾ませる。私も同意して頷く。
ジョエルの言葉が怪しいと、私の不安な心を具現化してくれたのは、パメラだった。
「ど、どこにそんな証拠が?! そんなものありはしないだろう!」
余裕な態度の私とパメラに、ジョエルが少しうろたえる。
「それがね、あるんだよ」
ピエルパオロが、うんうんと頷いている。
証拠を集めるのに力を貸してくれたのは、パメラと同じくジョエルに疑いを持ったピエルパオロだった。
ジョエルが、ギリギリと奥歯を噛み締めている。
ジョエルは、身分が公爵家である自分より下の、でも自分より私に信頼されているピエルパオロのことを、昔から敵視していた。
ジョエルもピエルパオロも同じく私にとっては従兄だと言うのに、私が幼い頃から信頼しているのはピエルパオロの方だったし、それは20才になっても変わりそうもなかった。
ピエルパオロは公正な目を持つけれど、ジョエルは自分を褒める相手の言うことしか耳に入れようとしないとよく知っているから。
今日の行動だけで、侮蔑するには十分だ。
「証拠があると言うのなら、出してもらおう!」
それでも尊大な態度のジョエルに、私は本気でため息をつく。
「ええ。かまわないわ」
私は魔法で、私に欠陥があると告げた教育係のエンマを呼び出した。
唐突に現れたエンマに、会場がざわめく。
召喚の魔法など、普通は使えないからだ。瞳を変える魔法と同じで。
だけど、私は次期妖精王なのだ。
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パメラもピエルパオロも、この魔法の存在を知っているから、驚いてはいない。テオ様は私がやろうとしていることを理解したのか、楽しそうに目を細めた。
呼び出された当のエンマは、突然の出来事に狼狽えている。
いつも、私を冷たく見ていた様子とは、全然違う。
「エンマ、ご機嫌よう」
私の声に、エンマがハッとする。
「フィオーレ様、この趣味の悪い催しに、一体なぜいらっしゃっているのです!」
我に返ったらしいエンマが、いつものように私を叱責する。
いつもいつも、エンマは私を怒りのエネルギーで操作しようとしていた。この15年もの間。
それは、自分の思い通りに私を動かしたかったからだと、今ならわかるのだけど。
わずかに感謝できるところがあるとすれば、怒りのコントロールを、彼女のおかげで身につけられた、ってところぐらいだろうか。わずかに、だけど!
「そうね。言うならば、エンマの言うとおりにならないため、かしら? そうそう、エンマ。私の番が見つかったのよ」
「フィオーレ様! 一体何を言い出すのです!」
「私に番を見つける能力がないと、よくもぬけぬけと言えたものね。私にも、番を見分ける能力はきちんとあったわ」
私はテオ様の体に頭を寄せると、エンマに微笑んで見せる。
「フィオーレ様! フィオーレ様の番は、ジョエル様ではありませんか!」
「流石、グエッラ公爵家の犬。ぶれないわね」
パメラの言葉に、エンマが顔を真っ赤にする。
「私は、犬などではありません!」
「でも、約束の石のペンダントは、グエッラ家の犬になるように約束がかけられていたようだけど? でも、この石がなくても、グエッラ家に忠実なんだから、犬で間違ってはなさそうだけどね」
ピエルパオロが懐から透明な石のついたペンダントを取り出す。
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「私は私の意思で動いているのです! 誰かに飼われる犬などではありません!」
「だけど、この石には、グエッラ家の……魔力の痕跡があったんだよ?」
ピエルパオロの言葉に、グエッラ家であるジョエルがピクリと反応する。
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