カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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United Japanese tea varieties of Iratsuko(7)

旅立ち(4)

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「で、俺たちはどうする?」

「……ソレが本題だわ」

ジュディがホログラムを操作し、“キョート”の全体像に表示を戻した。

「まとめると、私たちの出発は天候不順により遅れている。状況や行動の意図がわからない国も不気味だけれど、“旅”の様子が最も明確な南山城国にもハッキリと、遅れを取っているわ」

「南山城国があの村を抜けれるとしてだがな」

ムサシの表情が陰る。“あの村”とやらに何か因縁があるらしい様子だ。
アサヒは聞いてみたかったがコレ以上、話が逸れてもと考え、思いとどまった。

「どの国にも“旅”の困難はあるだろうけれど、私たちにとって悪い方向で考えて行動するべきよ」

「ソレは勿論だ。確かに、南山城国が村を抜ければ、いち早く目的地である山脈の麓に到達するだろう」

「対してだ」

フランシスが口を開き、初めてホログラムに手を伸ばした。
U.J.Iをズームアップする。

「何故、我が国は山脈に行くまでに、別の山脈が何本もある立地なんだ?」

U.J.Iの東に位置する“暗黒山脈”までには、ミルフィーユのように山脈が連なっていた。
しかもその南北に伸びる山脈群は、北は廃都“キャピタル・キョート・シティ”、南はバクエット・ド・パクスで途切れていた。
つまり、まさにU.J.Iだけを邪魔するかのように山脈群はそそり立っている。

「その通り。だから、どっちかと言うと我々は先に出発してもハンデがあるぐらいの立地よ」

ジュディに悪気はなく、ただ事実を述べているだけだが、アサヒにとってはやはり申し訳ない気持ちが先立ってしまう。
それでもアサヒは、年齢不相応に成熟してしまった精神を持ち合わせていたので、同年代の心優しい少年などに比べると、心へのダメージを受け流すコトができていた。

むしろ、フランシスがそのような心中をやや重めに、慮っていた。
フランシスの頭脳は機械なため、人のように他者に共感する脳細胞であるミラーニューロンはない。
にも関わらずそのゴーストは、“ミラーのゴースト”さえ生みだしつつあった。

「アサヒ、ちょっと操作してみるか」

「いいんですか?」

「もうホログラムを見て話すコトは終わったよ」

フランシスはアサヒに前に出るよう促し、ホログラムに触れさせた。
ソレをちらりと見やり、ジュディとムサシは話を続けた。

「で、どうする? 良い考えはあるのか?」

「会議の場で相談するのは生産性が悪いわ。もちろん、私の考えは持ってきた。ただ、良いかどうかは視点によって大きく異なるわね」

「というと?」

「“廃都”を抜けようと思う」
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