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ラスト・コンテクスト Part1
大文字の夜に(26)
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「ソレの何が問題なんだ?」
「デル・ゾーネのツヅキさん……だっけか? 俺はヴェルメロスのアルマージュだが、その疑問には俺が答えるよ。“鍵”に書かれている揉み方は“針のような茶葉”を成形する揉み方なんだ。えーっと」
アルマージュがきょろきょろしたのを察し、オクルスがバッグから茶缶を取りだした。
アルマージュに投げて渡す。
「あざっす。ツヅキさん、受け取ってもらえるか?」
アルマージュが一度、振りかぶって投げる動作をする。
ツヅキは頷き、二度目の動作時には投げられた茶缶を、上手くキャッチした。
「開けて見てもらえればわかるんだが」
ツヅキが缶を開ける。
アサヒが近寄った。
「あ。私も見せてもらお」
カオルも駆け寄る。
ミサトも何とは言わず、しかししれっと近寄った。
缶の中には、何の変哲もない茶葉が見える。
アルマージュが言った。
「ソレは多分、ココにいる五ヶ国どの国でも“普通”っていう茶葉だ。でも針みたいじゃあないだろ?」
「ああ。言い方は悪いかもしれないが、縮れ伸びてるみたいな感じだな」
「針みたいに成形すると、形は綺麗になる。だが、味は苦味もでやすくなるし、何より二煎め三煎めと“煎を重ねる”コトがしにくくなる。よく揉まれてる分、一杯めで中身がでちまうからな。
針みたいじゃあないコト。ソレがキョート流の茶葉ってワケだ」
アルマージュの横で、レインスが驚いた顔をしている。
アルマージュはその顔に気づき、言った。
「何だよ」
「そんなに知的だったっけ?」
「うるせえ。こう見えて茶樹を憑代にしててな」
まじまじと茶葉を見ていたカオルが口を開いた。
「なんで針みたいに成形するコトが、南蛮への対抗策なの?」
「そりゃあお嬢さん、南蛮の方々はまだあまり私たちの茶について知らないからですよ♪」
カトリーヌが答える。
「私たちも、得体の知れない食べ物とかは見ためから判断しちゃうでしょ? ソレに、南蛮の方はお茶に混ぜ物するのがお好きって聞きますし、苦味が強い方がいいんでしょうねえ♪ ソレ自体はわかります」
うんうん、と頷くカトリーヌ。
ミサトだけが『私の元いた世界からすると、お前の姿とかが一番南蛮っぽいけどな』と思っていた。
いや、ツヅキらも少しはそう思っていたかもしれない。
「だが、経済的な対抗策としてはそうするしかないんじゃあないのか? 別になんつーか、武力的な戦争?をしたいワケでもないんだろ?」
「ソレはそうだけどツヅキくん、悪貨は良貨を駆逐するものよ。まあこの揉み方、製法が悪貨とまでは言わないけれど、今の製法を駆逐する可能性はかなり考えられるわ」
「でも、だからって“鍵”の破壊は理想主義すぎやしないか?」
「理想主義じゃあなかったら、わざわざこの旅の始まりの始まりに魔術回路に介入すると思う? 貴方の目の前のこの私は」
「うーん、違いないな」
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「ソレは多分、ココにいる五ヶ国どの国でも“普通”っていう茶葉だ。でも針みたいじゃあないだろ?」
「ああ。言い方は悪いかもしれないが、縮れ伸びてるみたいな感じだな」
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アルマージュはその顔に気づき、言った。
「何だよ」
「そんなに知的だったっけ?」
「うるせえ。こう見えて茶樹を憑代にしててな」
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「なんで針みたいに成形するコトが、南蛮への対抗策なの?」
「そりゃあお嬢さん、南蛮の方々はまだあまり私たちの茶について知らないからですよ♪」
カトリーヌが答える。
「私たちも、得体の知れない食べ物とかは見ためから判断しちゃうでしょ? ソレに、南蛮の方はお茶に混ぜ物するのがお好きって聞きますし、苦味が強い方がいいんでしょうねえ♪ ソレ自体はわかります」
うんうん、と頷くカトリーヌ。
ミサトだけが『私の元いた世界からすると、お前の姿とかが一番南蛮っぽいけどな』と思っていた。
いや、ツヅキらも少しはそう思っていたかもしれない。
「だが、経済的な対抗策としてはそうするしかないんじゃあないのか? 別になんつーか、武力的な戦争?をしたいワケでもないんだろ?」
「ソレはそうだけどツヅキくん、悪貨は良貨を駆逐するものよ。まあこの揉み方、製法が悪貨とまでは言わないけれど、今の製法を駆逐する可能性はかなり考えられるわ」
「でも、だからって“鍵”の破壊は理想主義すぎやしないか?」
「理想主義じゃあなかったら、わざわざこの旅の始まりの始まりに魔術回路に介入すると思う? 貴方の目の前のこの私は」
「うーん、違いないな」
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