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第2章:Drug & Monsters Party
10.操心の魔女 3話
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ダーマ神殿から這い出たため、更新再開します💀
≪前回のあらすじ≫
カイルは、コーヒーをすすりながら、
【Fenrir】本部の応接室にて物思いにふけっていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「やあ、カイル。久しぶりだね」
重厚な扉の向こうで彼女は昔と変わらぬ様子で待ち構えていた。
茶器、どことなく憂いのある瞳、指を軽く組んでデスクに肘を置いている姿勢まで。
その傍らにはヴァンダイン、そして一人の女性。
こちらは記憶にない、新しい秘書官か?
「ガンマさん お久しぶりです。またここでお会いすることになるなんて思ってもいませんでした。その様子だと相変わらず無茶な働き方をされているんでしょう?」
「フフッ、貴重な研究パートナーが1人欠けてしまったからね。お陰で大忙しさ。そういう君は・・・少し雰囲気が変わったかな?」
カイルの目に移るガンマの姿は、記憶にある彼女の様子より若干痩せていおり、その顔には隠しきれていない疲労の色が見てとれる。
気持ち姿勢を前傾にし、カイルの様子を観察するガンマ。
その様子はまるで珍しい被検体サンプルを観察するかの様だ。
「イケメンぶりに磨きがかかったでしょう?えっ、あぁ違いますか。・・・そういえば他の皆はどうしています?」
「なんだ、気になるのかい。ふむ、君は彼等にさほど興味が無いと思っていたよ。そうだな、皆それぞれ元気にやっているさ」
カイルの言葉に意外そうな反応を示しつつ、ガンマは秘書官に視線を送る。
「それでは、僭越ながら私が代わりに各隊幹部の方々の直近の状況を簡単にご説明させていただきます」
秘書官はガンマの視線の意図を汲み取り、主の代わりにスラスラと説明を始めた。
「3番隊、ファントッシュ様は、ボディーのリプレイスの為、長期休暇中。その間、アーテ・ビスクドール様が隊長代理を務められております。
4番隊、カルラ・イェーガ様、ルー・ガルー様両名は共に遠征討伐任務に当たられています。
5番隊:ニアダーク様、自工房に籠られています。
6番隊:ケイオス・ブラッドレイジ様、新兵器の試験運用のため、生体兵器研究所にいらっしゃいます。
7番・・・・」
「ありがとう、もうそのへんでいいよ。つまり、一般兵を除いて今本部(ここ)にいるのは私達だけというわけさ。どうだい?殺(ヤ)り合うかい?今なら比較的簡単に私を始末できるかもしれないよ」
自分で振っておきながら、もう飽きたのだろう。
ガンマは秘書官の説明を打切り、ニコニコとらしくない笑顔を浮かべながらカイルに問うた。
「ハハハ、相変わらず冗談も怖いなー、ガンマさんは。俺が貴女と戦うわけ無いじゃないですか。それにほんの少しでも何かする素振りをみせれば、即座にヴァンダインが俺の首を刎ねるでしょうに」
対するカイルは、さもブラックジョークでしょという体で軽くガンマの言葉を流しつつ、チラリと視界の端でヴァンダインを捉える。
案の定、静かに力を練り、いつでも腰の物を抜き放てる用、臨戦態勢である。
一見ただ物言わぬ彫刻のように微動だにせず立っているだけのように見えるが、全く隙がない。
「なに、君の術式、いや能力ならきっと届くさ。【因果の選択】なんて芸当への対処は、流石の私でも相当に骨が折れる」
「またまたー、そんな持ち上げても何も出ませんよ?」
この反応、もしかして自分のコンディションのことは彼女の耳には入っていないのだろうか?
それならば好都合だ。
ここで事を起こす気は毛頭無いが、あまり力を行使出来ない状況であることは隠しておきたいところだ。
「さて、お巫山戯はこの辺にして、お帰りカイル。どんな狙いがあるにせよ、またこうして君と話ができることは素直に喜ばしい」
ほんの一瞬だがガンマの目に柔らかい光が差したようにカイルは感じた。
「ええ、俺も嬉しいです。そういえば、この前ガスパロと会ったんですけど・・・」
カイルも素直に自分の気持ちを伝える。
と同時に以前から気になっていた事を問いかけた。
先程の秘書官の報告の際、ガスパロの名前が上がる前ににガンマが説明を打ち切った事に意図的なものを感じとっていたからだ。
「ああ、その節は迷惑をかけたね。どうもあれは君のことになるといつも以上に冷静さを失う様だ。正直、あそこまでどうしようもない奴だとは私も思っていなかったよ。まぁ、全く分からなくも無いけどね、何せここ数年退屈だから。・・・アレを持ってきてくれ」
「畏まりました」
ガンマの指示を受け、秘書官はすぐさま金属製の箱の用なものを隣接する部屋から持って来た。
「これは最近新たに入手した遺物を解析して、作ったオモチャでね。離れた場所の様子を私のように大した魔力が無い者でも覗き見ることが出来る代物さ。元は電源や電池を利用して動かす物だったようだが、魔力理論と組み合わせ大気中のエネルギーを吸収、電気エネルギーに変換し利用出来るように設計してある。対となる装置の小型化も目下進めていて・・・」
ああ、この感じ、変わっていない。
無邪気な子供のような情熱を隠さず喜々として自分の発明について語るガンマの様子にカイルは懐かしさを感じる。
上機嫌で説明を続けながらガンマは、箱の上部に取りつけた幾つかのツマミを操作していく。
すると鏡のような光沢を放つ金属箱の前面に、波紋のような紋様が浮かび上がり、やがてある光景が浮かび上がってきた。
それは薄暗い部屋、数多の傷と汚れの染みついた金属壁を背に幾重もの鎖に繋がれ吊るされたボロボロのガスパロの姿であった。
「・・・・ガンマさん これはちょっとやりすぎなんじゃないかな?」
おそらく再生能力が阻害されているのだろう。
かつて見たこともない程、ズタズタの姿のガスパロにカイルは思わず眉をひそめた。
「そうかな。何せ私の命令を無視して勝手に君と遊んできたんだ。これぐらいのペナルティは軽いと考えるけどね。君もよく知っているだろう?Fenrir(ここ)がどういうところか。そして、Fenrir(ここ)に所属していなければ彼が今頃どういう末路を辿っていたか。そう、何百回死罪になっていてもおかしくない。ん?あぁ、まぁ放任していた私にも全く責任が無いとは言えないがね」
「お・・い、ウジ虫野郎ォオ。そこで、聞いてるんだろ・・・?またのこのこ俺の前に現れやがって、・・・・約束どおり、今からぶっ殺してやらぁあ!!」
何かを感じ取ったのだろうか、うなだれたままピクリとも動かなかったガスパロがゆっくり首を持ち上げ、焦点の定まらない目でモニター越しにカイルを睨みつけてきた。
「うん、やはりまだ反省していないようだね。あー、君達、「元」副長だからって遠慮しなくていい。容赦なくやっちゃってくれ」
「グォオオオオオゥッッ!!!!クソッタレェええええええええええええ!!ギィイイイイイイイイイイイィィィグゥウァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!」
ガンマの指示により、再びガスパロの全身を強力な電流が蹂躙する。
重たい金属製の枷と鎖が激しくぶつかる音と、猛獣のようなガスパロの叫び声を最後に金属箱には何も写らなくなった。
「・・・なんだか俺がいない間に随分と変わちゃったみたいだね」
「時代に合わせて、人も組織も変わるのものだよ。そろそろ本題に入ろうじゃないか。止めたいんだろ?今回の実験を」
自分の記憶にあるかつての彼女の姿と異なる今のガンマの様子にカイルは複雑な心境を抱く。
FPADの件といい、想像していたより状況は芳しくないのかもしれない。
そんなカイルの何かを噛み締める様な言葉とは対象的に、ガンマの返答は実に素っ気ないものだった。
「そう身構えなくても構わないさ。そうだね、君がある条件を飲んでくれるならすぐにでも終了しよう。なに、私と君の仲じゃないか」
改めてテーブル越しに対峙したガンマの目は、先ほどまでの様子が嘘だったかのように退屈の織り交ざった実験動物を眺めるものへと戻っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~登場人物紹介~
・カイル・ブルーフォード:【なんでも屋 BLITZ】を営む。
元【Fenrir】1番隊隊長。
・ガンマ・グレイブヤード:【Fenrir】を統括する鬼才。
科学者も兼ねており、自ら魔術、化学、工業を
掛け合わせた魔導兵器等数々の発明品を考案。
・ヴァンダイン:ガンマの副官。カイルが抜けた1番隊の隊長を兼任。
カイルとは剣の師弟関係。
≪前回のあらすじ≫
カイルは、コーヒーをすすりながら、
【Fenrir】本部の応接室にて物思いにふけっていた。
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「やあ、カイル。久しぶりだね」
重厚な扉の向こうで彼女は昔と変わらぬ様子で待ち構えていた。
茶器、どことなく憂いのある瞳、指を軽く組んでデスクに肘を置いている姿勢まで。
その傍らにはヴァンダイン、そして一人の女性。
こちらは記憶にない、新しい秘書官か?
「ガンマさん お久しぶりです。またここでお会いすることになるなんて思ってもいませんでした。その様子だと相変わらず無茶な働き方をされているんでしょう?」
「フフッ、貴重な研究パートナーが1人欠けてしまったからね。お陰で大忙しさ。そういう君は・・・少し雰囲気が変わったかな?」
カイルの目に移るガンマの姿は、記憶にある彼女の様子より若干痩せていおり、その顔には隠しきれていない疲労の色が見てとれる。
気持ち姿勢を前傾にし、カイルの様子を観察するガンマ。
その様子はまるで珍しい被検体サンプルを観察するかの様だ。
「イケメンぶりに磨きがかかったでしょう?えっ、あぁ違いますか。・・・そういえば他の皆はどうしています?」
「なんだ、気になるのかい。ふむ、君は彼等にさほど興味が無いと思っていたよ。そうだな、皆それぞれ元気にやっているさ」
カイルの言葉に意外そうな反応を示しつつ、ガンマは秘書官に視線を送る。
「それでは、僭越ながら私が代わりに各隊幹部の方々の直近の状況を簡単にご説明させていただきます」
秘書官はガンマの視線の意図を汲み取り、主の代わりにスラスラと説明を始めた。
「3番隊、ファントッシュ様は、ボディーのリプレイスの為、長期休暇中。その間、アーテ・ビスクドール様が隊長代理を務められております。
4番隊、カルラ・イェーガ様、ルー・ガルー様両名は共に遠征討伐任務に当たられています。
5番隊:ニアダーク様、自工房に籠られています。
6番隊:ケイオス・ブラッドレイジ様、新兵器の試験運用のため、生体兵器研究所にいらっしゃいます。
7番・・・・」
「ありがとう、もうそのへんでいいよ。つまり、一般兵を除いて今本部(ここ)にいるのは私達だけというわけさ。どうだい?殺(ヤ)り合うかい?今なら比較的簡単に私を始末できるかもしれないよ」
自分で振っておきながら、もう飽きたのだろう。
ガンマは秘書官の説明を打切り、ニコニコとらしくない笑顔を浮かべながらカイルに問うた。
「ハハハ、相変わらず冗談も怖いなー、ガンマさんは。俺が貴女と戦うわけ無いじゃないですか。それにほんの少しでも何かする素振りをみせれば、即座にヴァンダインが俺の首を刎ねるでしょうに」
対するカイルは、さもブラックジョークでしょという体で軽くガンマの言葉を流しつつ、チラリと視界の端でヴァンダインを捉える。
案の定、静かに力を練り、いつでも腰の物を抜き放てる用、臨戦態勢である。
一見ただ物言わぬ彫刻のように微動だにせず立っているだけのように見えるが、全く隙がない。
「なに、君の術式、いや能力ならきっと届くさ。【因果の選択】なんて芸当への対処は、流石の私でも相当に骨が折れる」
「またまたー、そんな持ち上げても何も出ませんよ?」
この反応、もしかして自分のコンディションのことは彼女の耳には入っていないのだろうか?
それならば好都合だ。
ここで事を起こす気は毛頭無いが、あまり力を行使出来ない状況であることは隠しておきたいところだ。
「さて、お巫山戯はこの辺にして、お帰りカイル。どんな狙いがあるにせよ、またこうして君と話ができることは素直に喜ばしい」
ほんの一瞬だがガンマの目に柔らかい光が差したようにカイルは感じた。
「ええ、俺も嬉しいです。そういえば、この前ガスパロと会ったんですけど・・・」
カイルも素直に自分の気持ちを伝える。
と同時に以前から気になっていた事を問いかけた。
先程の秘書官の報告の際、ガスパロの名前が上がる前ににガンマが説明を打ち切った事に意図的なものを感じとっていたからだ。
「ああ、その節は迷惑をかけたね。どうもあれは君のことになるといつも以上に冷静さを失う様だ。正直、あそこまでどうしようもない奴だとは私も思っていなかったよ。まぁ、全く分からなくも無いけどね、何せここ数年退屈だから。・・・アレを持ってきてくれ」
「畏まりました」
ガンマの指示を受け、秘書官はすぐさま金属製の箱の用なものを隣接する部屋から持って来た。
「これは最近新たに入手した遺物を解析して、作ったオモチャでね。離れた場所の様子を私のように大した魔力が無い者でも覗き見ることが出来る代物さ。元は電源や電池を利用して動かす物だったようだが、魔力理論と組み合わせ大気中のエネルギーを吸収、電気エネルギーに変換し利用出来るように設計してある。対となる装置の小型化も目下進めていて・・・」
ああ、この感じ、変わっていない。
無邪気な子供のような情熱を隠さず喜々として自分の発明について語るガンマの様子にカイルは懐かしさを感じる。
上機嫌で説明を続けながらガンマは、箱の上部に取りつけた幾つかのツマミを操作していく。
すると鏡のような光沢を放つ金属箱の前面に、波紋のような紋様が浮かび上がり、やがてある光景が浮かび上がってきた。
それは薄暗い部屋、数多の傷と汚れの染みついた金属壁を背に幾重もの鎖に繋がれ吊るされたボロボロのガスパロの姿であった。
「・・・・ガンマさん これはちょっとやりすぎなんじゃないかな?」
おそらく再生能力が阻害されているのだろう。
かつて見たこともない程、ズタズタの姿のガスパロにカイルは思わず眉をひそめた。
「そうかな。何せ私の命令を無視して勝手に君と遊んできたんだ。これぐらいのペナルティは軽いと考えるけどね。君もよく知っているだろう?Fenrir(ここ)がどういうところか。そして、Fenrir(ここ)に所属していなければ彼が今頃どういう末路を辿っていたか。そう、何百回死罪になっていてもおかしくない。ん?あぁ、まぁ放任していた私にも全く責任が無いとは言えないがね」
「お・・い、ウジ虫野郎ォオ。そこで、聞いてるんだろ・・・?またのこのこ俺の前に現れやがって、・・・・約束どおり、今からぶっ殺してやらぁあ!!」
何かを感じ取ったのだろうか、うなだれたままピクリとも動かなかったガスパロがゆっくり首を持ち上げ、焦点の定まらない目でモニター越しにカイルを睨みつけてきた。
「うん、やはりまだ反省していないようだね。あー、君達、「元」副長だからって遠慮しなくていい。容赦なくやっちゃってくれ」
「グォオオオオオゥッッ!!!!クソッタレェええええええええええええ!!ギィイイイイイイイイイイイィィィグゥウァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!」
ガンマの指示により、再びガスパロの全身を強力な電流が蹂躙する。
重たい金属製の枷と鎖が激しくぶつかる音と、猛獣のようなガスパロの叫び声を最後に金属箱には何も写らなくなった。
「・・・なんだか俺がいない間に随分と変わちゃったみたいだね」
「時代に合わせて、人も組織も変わるのものだよ。そろそろ本題に入ろうじゃないか。止めたいんだろ?今回の実験を」
自分の記憶にあるかつての彼女の姿と異なる今のガンマの様子にカイルは複雑な心境を抱く。
FPADの件といい、想像していたより状況は芳しくないのかもしれない。
そんなカイルの何かを噛み締める様な言葉とは対象的に、ガンマの返答は実に素っ気ないものだった。
「そう身構えなくても構わないさ。そうだね、君がある条件を飲んでくれるならすぐにでも終了しよう。なに、私と君の仲じゃないか」
改めてテーブル越しに対峙したガンマの目は、先ほどまでの様子が嘘だったかのように退屈の織り交ざった実験動物を眺めるものへと戻っていた。
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~登場人物紹介~
・カイル・ブルーフォード:【なんでも屋 BLITZ】を営む。
元【Fenrir】1番隊隊長。
・ガンマ・グレイブヤード:【Fenrir】を統括する鬼才。
科学者も兼ねており、自ら魔術、化学、工業を
掛け合わせた魔導兵器等数々の発明品を考案。
・ヴァンダイン:ガンマの副官。カイルが抜けた1番隊の隊長を兼任。
カイルとは剣の師弟関係。
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