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Mission1 前世を思い出せ!
41.メインキャラになれなかったモブ
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モブでもザコでもいいじゃないか、といいたいところだが……。
モブはモブでも、池で溺れてさっさと死んでしまうという、メインキャラになれなかったモブにあたしは転生してしまったのだ。
ゲームでは名前がなかったライースの『妹』は、フレーシア・アドルミデーラという名前がついていた。
フレーシア・アドルミデーラに転生したあたしは、真夏の静養地編のイベントが発生したとき、こっそり部屋を抜け出したのではなく、従者のカルティ・アザを連れて、別荘周辺を散策した。
ライースの『妹』は、四葉のクローバーを探した。
でも、フレーシア・アドルミデーラは、四葉のクローバーを探したい、とは思わなかった。
足元にあるクロバーなど、視界にも入らなかったほどだ。
ゲームには、木から降りることができなくなった子猫は登場していない。
ゲームでは、子猫を助けようと木に登ったあたしを見て、カルティ・アザが大騒ぎすることもなかった。
でも、フレーシア・アドルミデーラは、子猫を助けようと、無謀にも産まれて初めて木に登った。木の下では、カルティ・アザが派手に大騒ぎした。
だから、こうして生きている。
そう、ライースの幼い頃に亡くなった『妹』は、ここではしぶとく生きているのだ。
死ななかったのだ。
前世のあたしが大好きなキャラ。
今世のフレーシア・アドルミデーラが大好きなライース兄様。
ゲームとは少し違うライース兄様は、あたしに「生きていてくれて、ありがとう」と言った。
ライース兄様は幼い頃より、身の回りの死に触れてきた。
身内の死はとても身近なもので、心を痛めるできごとなのだろう。
あたしが池に溺れて死にかけたとき……幼い弟が亡くなってから半年ちょいで、妹もまた死んでしまうのか……と、ライース兄様は口にこそださなかったが、怖かったに違いない。
喜び、感謝、安堵、感激、愛情……そういった、ライース兄様の心が複雑にまじりあって、ひとつになり、「生きていてくれて、ありがとう」という言葉として発せられたのだ。
その言葉を思い出し、じわじわと温かなものが、体内のすみずみにまで広がっていく。
六歳の少女には難しいことかもしれないが、前世で『キミツバ』のヘビーユーザーだったあたしには、ライース兄様の『言葉の重さ』を理解することができた。
ゲームではライースの『妹』は簡単に死んでしまう。
ライースは『妹』の生命を救うことができなかった。
なので、そんなセリフはなかった。
護らなければ。
助けなければ。
と、あたしは強く想う。
フレーシア・アドルミデーラは生きている。
ライース兄様とカルティ・アザによって、あたしは生きている。
そして、ライース・アドルミデーラも、カルティ・アザもあたしと同じで、ちゃんと生きているのだ。
数奇な運命をたどるふたりとその周囲のひとたちのために、あたしは、前世の記憶を思い出して、こうして生きているのだろう。
そう思いたい。
そのためにここにいる。
ゲームの世界だけど、ここは、決して、ゲームだけの世界じゃない。
あたしの額に触れたカルティの手は、幻ではなかった。
抱きしめられたとき、ライース兄様の力強い鼓動が聞こえた……。
こんなに温かで、感情にあふれている世界が、プログラムで動くゲームであるはずがない。
みんな、感じて、考えている。
だから、ゲームとは違う展開になっているのだ。
護らなければ。
助けなければ。
小さな両手をぎゅっと握りしめると、鏡の中の少女に向かって、あたしは誓ったのだった。
モブはモブでも、池で溺れてさっさと死んでしまうという、メインキャラになれなかったモブにあたしは転生してしまったのだ。
ゲームでは名前がなかったライースの『妹』は、フレーシア・アドルミデーラという名前がついていた。
フレーシア・アドルミデーラに転生したあたしは、真夏の静養地編のイベントが発生したとき、こっそり部屋を抜け出したのではなく、従者のカルティ・アザを連れて、別荘周辺を散策した。
ライースの『妹』は、四葉のクローバーを探した。
でも、フレーシア・アドルミデーラは、四葉のクローバーを探したい、とは思わなかった。
足元にあるクロバーなど、視界にも入らなかったほどだ。
ゲームには、木から降りることができなくなった子猫は登場していない。
ゲームでは、子猫を助けようと木に登ったあたしを見て、カルティ・アザが大騒ぎすることもなかった。
でも、フレーシア・アドルミデーラは、子猫を助けようと、無謀にも産まれて初めて木に登った。木の下では、カルティ・アザが派手に大騒ぎした。
だから、こうして生きている。
そう、ライースの幼い頃に亡くなった『妹』は、ここではしぶとく生きているのだ。
死ななかったのだ。
前世のあたしが大好きなキャラ。
今世のフレーシア・アドルミデーラが大好きなライース兄様。
ゲームとは少し違うライース兄様は、あたしに「生きていてくれて、ありがとう」と言った。
ライース兄様は幼い頃より、身の回りの死に触れてきた。
身内の死はとても身近なもので、心を痛めるできごとなのだろう。
あたしが池に溺れて死にかけたとき……幼い弟が亡くなってから半年ちょいで、妹もまた死んでしまうのか……と、ライース兄様は口にこそださなかったが、怖かったに違いない。
喜び、感謝、安堵、感激、愛情……そういった、ライース兄様の心が複雑にまじりあって、ひとつになり、「生きていてくれて、ありがとう」という言葉として発せられたのだ。
その言葉を思い出し、じわじわと温かなものが、体内のすみずみにまで広がっていく。
六歳の少女には難しいことかもしれないが、前世で『キミツバ』のヘビーユーザーだったあたしには、ライース兄様の『言葉の重さ』を理解することができた。
ゲームではライースの『妹』は簡単に死んでしまう。
ライースは『妹』の生命を救うことができなかった。
なので、そんなセリフはなかった。
護らなければ。
助けなければ。
と、あたしは強く想う。
フレーシア・アドルミデーラは生きている。
ライース兄様とカルティ・アザによって、あたしは生きている。
そして、ライース・アドルミデーラも、カルティ・アザもあたしと同じで、ちゃんと生きているのだ。
数奇な運命をたどるふたりとその周囲のひとたちのために、あたしは、前世の記憶を思い出して、こうして生きているのだろう。
そう思いたい。
そのためにここにいる。
ゲームの世界だけど、ここは、決して、ゲームだけの世界じゃない。
あたしの額に触れたカルティの手は、幻ではなかった。
抱きしめられたとき、ライース兄様の力強い鼓動が聞こえた……。
こんなに温かで、感情にあふれている世界が、プログラムで動くゲームであるはずがない。
みんな、感じて、考えている。
だから、ゲームとは違う展開になっているのだ。
護らなければ。
助けなければ。
小さな両手をぎゅっと握りしめると、鏡の中の少女に向かって、あたしは誓ったのだった。
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