15 / 46
第二章
5.モトチチ、現れる
しおりを挟む
結局、尾根山くんは、あの後百家くんの家に泊まり(神社の敷地の並びに立派な住居がある)、霊符を作ってもらったらしい。家用と自分用に作ってもらい。自分用のはお守りに入れて肌身離さずもっているみたい。
家用の霊符は貼り付ける場所があるらしく、百家くんが次の日に一緒にまた家に行き、貼り付けたそうだ。
その後、幽霊は出てないらしく、カリカリというラップ音も聞こえないそうだ。
時々、百家くんからそんなメールが来る。どうでもいいんだけど、『良かったね』とか『そうなんだ』位は返しておいた。
『反応、うっす』とかきてた。
それにしても、今日は塾が無いので、涼しい内に朝勉強して、お母さんが仕事に行った後、お祖父ちゃんはシルバーで依頼されている公園の管理の仕事の打ち合わせで出て行ったので、一人でお昼を食べていた時の事だ。
一応、田舎とはいえ空き巣被害や、老人を狙った押し売りなんかが横行しているので、玄関の引き戸にも錠をかけていたのだが、ガタガタいわせて声がする。
「どちら様ですか―?」
「麻美か?お父さんだ!開けてくれ!」
「・・・私には父はおりません」
「何言ってるんだ?お父さんだぞ」
「父は死にました」
「・・・いや、お父さんだから」
何言ってんだか、縁切ったオジサンと縁を戻すつもりはナイ。どうせ落ちぶれて、生活出来なくなって、お母さんを頼って来たに違いない。面倒事を家に入れるなんて御免だ。
因みに、父親の実家になんて行った事もない。ココよりももっと田舎の8人兄弟の七番目で、一番上の兄が継いだ家には戻って来るなと言われている関係だと、お母さんから聞いた事がある。
「お父さん、困ってるんだ。ちょっとここに泊めてくれないかな?」
「なんで?」
「何でって・・・お父さんじゃないか?」
「ここは、お母さんの家で、オジサンはもう他人でしょ?いい大人なのに分別ないの?」
「・・・でも、他に頼る所が無いんだ・・・」
「勝手すぎるとおもうよ」
ズルズルと玄関の曇りガラスの引き戸の前に座り込む様子が見える。あー、駄目だこりゃ。
こんなお荷物、お母さんに会わせて、いやな思いさせたくない。せっかくシングル生活楽しんでるのに。
二階に上がって、お祖父ちゃんの携帯に電話した。
「あ?どうした麻美?」
「お祖父ちゃん、家に、元父(もとちち)が来て玄関前に居座っているんだよ。多分、生活できなくなって、ここで寝泊まりしようって魂胆だと思う。私、絶対嫌だから。お母さんにも会わせたくない。なんとかならないかな?」
「・・・ああん?なんじゃと、そんなん祖父ちゃんにまかせろ。ええこと思いついた!麻美はわしが家に帰るまで外に出るなよ、直ぐに帰るけ」
「うん、わかった」
お祖父ちゃんの頼もしい返事を聞き、待つ事30分。
お母さんの漬物を食べてお茶を飲んでいると、下のガレージに軽トラが入って来る音がした。
お祖父ちゃんが。帰って来たようだ。重ねて車の音がしたので、もう一台入ってきたのかも知れない。
そういえば、モトチチはタクシーに乗って来たのだろうか。足音がしてお祖父ちゃんの声がした。
「あんたあ、何用かの?わしの家になんか用か?」
座り込んでいた元父が立ち上がり、オタオタしている。お祖父ちゃんの事なんて頭に無かったのだろう。
「あ、あの、ご無沙汰しております。麻美の父です」
こんな時だけ父だって。笑える。
「じゃけ、なんな?うちの娘は確かにあんたと離婚したが、わしゃあその相手が此処に来るとは聞いてないがの」
「え、あ、すいません・・・」
「麻美も会いたくないゆうとるし、あんたあ、急に来てどうするつもりじゃ?それが当たり前じゃとおもうとるんかの?」
「・・・」
「わしゃあ、ヒモみたいな男はスカンけえな。あんたあ、娘と結婚させて下さいゆうて来た時は、儂になんていうたか覚えとるか?」
「・・・」
「娘さんを大切にしますから一緒にさせて下さい、そういうたんじゃ。ちっとも大切にしゃあせんといてな」
「・・・」
だんまりだ。本当の事を言われてる。だんまりしか出来ないモトチチは情なさすぎる。
「麻美に泊めてくれいうたらしいが、断る。泊まる所が無いんじゃったら、働くなら寮がある所がある。そこに行きんさい」
「・・・どこに、どこに、行ったらいいですか?」
なんか、観念したみたいで、初めてまともな言葉をモトチチが発した。
「よっさん、頼んでもええかの?」
「おう、ええで。寝るとこはあるけの。働くなら飯も食わせるしの。丁度、道の駅に野菜持って来とったけ良かったわ」
ああ、横山のおじさんだ。熊山牧場の。
野菜も作ってるから、道の駅に少し出してるって言ってた。
確か、農場の仕事がきつくて、直ぐに人が辞めるから困るって言ってたし。なるほど、お祖父ちゃんナイス。
根性叩き直してもらえるかもしれないよね。だけどあんなんじゃ、暫くは使い物にならないかもしれないけど。
牧場はここからまた車で50分位かかる所にある。車がなかったら勝手に出入り出来ない場所だ。
「まあ、落ち着いたら話を聞きに行くが、勝手に孫や娘に会おうなんてマネしたら、警察呼ぶようにいうとくけな。よう考えてくれ」
こっそり裏口から出て、垣根の隙間から見て見たら、めっちゃ無精ひげ生やして、ゲッソリ痩せて、仙人モードになっていた。別人級。
なんか、警察に連れて行かれる犯人みたいになってた。
横山のおじさんの軽トラに乗せられて連れていかれてた。
サヨウナラ出来ればもう会いたくないです。特にお母さんには会わないで下さい。心からそう願った。
家用の霊符は貼り付ける場所があるらしく、百家くんが次の日に一緒にまた家に行き、貼り付けたそうだ。
その後、幽霊は出てないらしく、カリカリというラップ音も聞こえないそうだ。
時々、百家くんからそんなメールが来る。どうでもいいんだけど、『良かったね』とか『そうなんだ』位は返しておいた。
『反応、うっす』とかきてた。
それにしても、今日は塾が無いので、涼しい内に朝勉強して、お母さんが仕事に行った後、お祖父ちゃんはシルバーで依頼されている公園の管理の仕事の打ち合わせで出て行ったので、一人でお昼を食べていた時の事だ。
一応、田舎とはいえ空き巣被害や、老人を狙った押し売りなんかが横行しているので、玄関の引き戸にも錠をかけていたのだが、ガタガタいわせて声がする。
「どちら様ですか―?」
「麻美か?お父さんだ!開けてくれ!」
「・・・私には父はおりません」
「何言ってるんだ?お父さんだぞ」
「父は死にました」
「・・・いや、お父さんだから」
何言ってんだか、縁切ったオジサンと縁を戻すつもりはナイ。どうせ落ちぶれて、生活出来なくなって、お母さんを頼って来たに違いない。面倒事を家に入れるなんて御免だ。
因みに、父親の実家になんて行った事もない。ココよりももっと田舎の8人兄弟の七番目で、一番上の兄が継いだ家には戻って来るなと言われている関係だと、お母さんから聞いた事がある。
「お父さん、困ってるんだ。ちょっとここに泊めてくれないかな?」
「なんで?」
「何でって・・・お父さんじゃないか?」
「ここは、お母さんの家で、オジサンはもう他人でしょ?いい大人なのに分別ないの?」
「・・・でも、他に頼る所が無いんだ・・・」
「勝手すぎるとおもうよ」
ズルズルと玄関の曇りガラスの引き戸の前に座り込む様子が見える。あー、駄目だこりゃ。
こんなお荷物、お母さんに会わせて、いやな思いさせたくない。せっかくシングル生活楽しんでるのに。
二階に上がって、お祖父ちゃんの携帯に電話した。
「あ?どうした麻美?」
「お祖父ちゃん、家に、元父(もとちち)が来て玄関前に居座っているんだよ。多分、生活できなくなって、ここで寝泊まりしようって魂胆だと思う。私、絶対嫌だから。お母さんにも会わせたくない。なんとかならないかな?」
「・・・ああん?なんじゃと、そんなん祖父ちゃんにまかせろ。ええこと思いついた!麻美はわしが家に帰るまで外に出るなよ、直ぐに帰るけ」
「うん、わかった」
お祖父ちゃんの頼もしい返事を聞き、待つ事30分。
お母さんの漬物を食べてお茶を飲んでいると、下のガレージに軽トラが入って来る音がした。
お祖父ちゃんが。帰って来たようだ。重ねて車の音がしたので、もう一台入ってきたのかも知れない。
そういえば、モトチチはタクシーに乗って来たのだろうか。足音がしてお祖父ちゃんの声がした。
「あんたあ、何用かの?わしの家になんか用か?」
座り込んでいた元父が立ち上がり、オタオタしている。お祖父ちゃんの事なんて頭に無かったのだろう。
「あ、あの、ご無沙汰しております。麻美の父です」
こんな時だけ父だって。笑える。
「じゃけ、なんな?うちの娘は確かにあんたと離婚したが、わしゃあその相手が此処に来るとは聞いてないがの」
「え、あ、すいません・・・」
「麻美も会いたくないゆうとるし、あんたあ、急に来てどうするつもりじゃ?それが当たり前じゃとおもうとるんかの?」
「・・・」
「わしゃあ、ヒモみたいな男はスカンけえな。あんたあ、娘と結婚させて下さいゆうて来た時は、儂になんていうたか覚えとるか?」
「・・・」
「娘さんを大切にしますから一緒にさせて下さい、そういうたんじゃ。ちっとも大切にしゃあせんといてな」
「・・・」
だんまりだ。本当の事を言われてる。だんまりしか出来ないモトチチは情なさすぎる。
「麻美に泊めてくれいうたらしいが、断る。泊まる所が無いんじゃったら、働くなら寮がある所がある。そこに行きんさい」
「・・・どこに、どこに、行ったらいいですか?」
なんか、観念したみたいで、初めてまともな言葉をモトチチが発した。
「よっさん、頼んでもええかの?」
「おう、ええで。寝るとこはあるけの。働くなら飯も食わせるしの。丁度、道の駅に野菜持って来とったけ良かったわ」
ああ、横山のおじさんだ。熊山牧場の。
野菜も作ってるから、道の駅に少し出してるって言ってた。
確か、農場の仕事がきつくて、直ぐに人が辞めるから困るって言ってたし。なるほど、お祖父ちゃんナイス。
根性叩き直してもらえるかもしれないよね。だけどあんなんじゃ、暫くは使い物にならないかもしれないけど。
牧場はここからまた車で50分位かかる所にある。車がなかったら勝手に出入り出来ない場所だ。
「まあ、落ち着いたら話を聞きに行くが、勝手に孫や娘に会おうなんてマネしたら、警察呼ぶようにいうとくけな。よう考えてくれ」
こっそり裏口から出て、垣根の隙間から見て見たら、めっちゃ無精ひげ生やして、ゲッソリ痩せて、仙人モードになっていた。別人級。
なんか、警察に連れて行かれる犯人みたいになってた。
横山のおじさんの軽トラに乗せられて連れていかれてた。
サヨウナラ出来ればもう会いたくないです。特にお母さんには会わないで下さい。心からそう願った。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる