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11.ラグール
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私たちを取り囲んだのは、五体の黒い獣の様なモノだった。どれも違う獣の形をしているけど、同じなのは腐りかけた身体から死臭がする事。
「これはラグールだ」
ミリーが言った。
ラグールっていうのは死んだ動物の身体に瘴気が入り込み、魔物になったモノの事をいう。生き物を殺してから屍肉を喰らうらしい。見た目と臭気が酷い。ゲロゲロ気持ち悪い、もうすでに及び腰。
「まだ集まって来るかもしれないですね。どこかに瘴気溜まりがあるのかもしれません」
スワンはそう言うと、なぜか腰に短棒を戻した。
「水を使うのか」
ミリーはそう言って視線をスワンに向けた。
「魔物相手ならばその方が楽ですから。卿はそのままソードで?」
「ラグール相手だとソードでどの程度なのか知りたいから試してみるさ」
二人の身体から青白い炎のようなものが揺らめきなが立ち上がったように見える。言葉で表すとしたら、たぶん聖なる力、神力なのかな?
間近で見る圧倒的な力、私の出番はなかった。スワンは水をまるで鞭の様に細長く伸ばし武器として自由自在に扱った。これは修道院ではまだ見た事がないスワンの水の使い方だった。
だって修道院では、農作物に雨の様に水を降らすとか、汚れた皆の手を洗い流してくれるとか、女神様の様な水の使い方しか見た事がない。それでもこんな事が出来るんだと感心したけど。
ラグールの身体を鋭い水の一撃が貫くと、腐った身体は崩れる灰のようにサラサラと地に戻った。同じように短棒に神力を纏わせて目にも止まらぬ速さで他の魔物を突き崩して行くミリー。二人とも360度どこにでも目が付いているんじゃないかと思う程の素早い反応だった。
「うわ、すごい、あっという間に倒したね」
「これもラムリースが傍にいるお蔭です。溢れるように力が湧いてきます」
スワンの言葉に私は首を傾げた。
「私は何もしてないよ。見ていただけ。守ってくれてありがとう」
「ラムリース、聖騎士が聖女の剣ならば、私達は盾なんだ。守るのは当たり前の事さ」
「当たり前の事じゃないよ、私そんな風には思えない。感謝してる」
服の上から胸の辺りを押さえる。ああ、早鐘の様に鼓動が打っている、怖かった。ヘタレな私健在。
「ついでに瘴気溜まりがないか見て来る。ラムリースとスワンはここにいてくれ」
タタタタッと軽い足取りで周りを見ながら獣道を走って茂みの中へと消えて行くミリーを目で追う。
「一人で大丈夫かな・・・」
「彼女の事は修道院ではミリーと呼ばせて頂いていましたが、現大神官の孫にあたり、その能力と神力の強さにより幼い頃から次期聖女様付に早くから選ばれた人物です。私など足元にも及ばない方です。安心なさってください」
「・・・」
思わず無言になってしまった。どうしてそんなすごい人が傍に?本当に私でいいの?間違いじゃないの?飲み下せない大きな塊を喉に詰めたように感じた。
「何も心配はいりません。神殿に着けば、ラムリースはきっと安心できますよ」
私の目を見つめてにっこりとスワンが笑うので、頷いてひきつった笑いを返すしかなかった。
その直後、ドォンという衝撃音と強い光が緑の隙間から漏れた。
「!!!」
私を背中にかばう様に前にスワンが前に出てその方角を伺う。ミリーが向かった方角だ。大丈夫だろうか?
「・・・どうやらセントミリー卿が瘴気溜まりを消した様です」
セントミリー卿ってミリーのこと?なんだろうなあ・・・。修道院から離れてだんだんスワンもなんか違う感じになってきた気がする・・・。
「これはラグールだ」
ミリーが言った。
ラグールっていうのは死んだ動物の身体に瘴気が入り込み、魔物になったモノの事をいう。生き物を殺してから屍肉を喰らうらしい。見た目と臭気が酷い。ゲロゲロ気持ち悪い、もうすでに及び腰。
「まだ集まって来るかもしれないですね。どこかに瘴気溜まりがあるのかもしれません」
スワンはそう言うと、なぜか腰に短棒を戻した。
「水を使うのか」
ミリーはそう言って視線をスワンに向けた。
「魔物相手ならばその方が楽ですから。卿はそのままソードで?」
「ラグール相手だとソードでどの程度なのか知りたいから試してみるさ」
二人の身体から青白い炎のようなものが揺らめきなが立ち上がったように見える。言葉で表すとしたら、たぶん聖なる力、神力なのかな?
間近で見る圧倒的な力、私の出番はなかった。スワンは水をまるで鞭の様に細長く伸ばし武器として自由自在に扱った。これは修道院ではまだ見た事がないスワンの水の使い方だった。
だって修道院では、農作物に雨の様に水を降らすとか、汚れた皆の手を洗い流してくれるとか、女神様の様な水の使い方しか見た事がない。それでもこんな事が出来るんだと感心したけど。
ラグールの身体を鋭い水の一撃が貫くと、腐った身体は崩れる灰のようにサラサラと地に戻った。同じように短棒に神力を纏わせて目にも止まらぬ速さで他の魔物を突き崩して行くミリー。二人とも360度どこにでも目が付いているんじゃないかと思う程の素早い反応だった。
「うわ、すごい、あっという間に倒したね」
「これもラムリースが傍にいるお蔭です。溢れるように力が湧いてきます」
スワンの言葉に私は首を傾げた。
「私は何もしてないよ。見ていただけ。守ってくれてありがとう」
「ラムリース、聖騎士が聖女の剣ならば、私達は盾なんだ。守るのは当たり前の事さ」
「当たり前の事じゃないよ、私そんな風には思えない。感謝してる」
服の上から胸の辺りを押さえる。ああ、早鐘の様に鼓動が打っている、怖かった。ヘタレな私健在。
「ついでに瘴気溜まりがないか見て来る。ラムリースとスワンはここにいてくれ」
タタタタッと軽い足取りで周りを見ながら獣道を走って茂みの中へと消えて行くミリーを目で追う。
「一人で大丈夫かな・・・」
「彼女の事は修道院ではミリーと呼ばせて頂いていましたが、現大神官の孫にあたり、その能力と神力の強さにより幼い頃から次期聖女様付に早くから選ばれた人物です。私など足元にも及ばない方です。安心なさってください」
「・・・」
思わず無言になってしまった。どうしてそんなすごい人が傍に?本当に私でいいの?間違いじゃないの?飲み下せない大きな塊を喉に詰めたように感じた。
「何も心配はいりません。神殿に着けば、ラムリースはきっと安心できますよ」
私の目を見つめてにっこりとスワンが笑うので、頷いてひきつった笑いを返すしかなかった。
その直後、ドォンという衝撃音と強い光が緑の隙間から漏れた。
「!!!」
私を背中にかばう様に前にスワンが前に出てその方角を伺う。ミリーが向かった方角だ。大丈夫だろうか?
「・・・どうやらセントミリー卿が瘴気溜まりを消した様です」
セントミリー卿ってミリーのこと?なんだろうなあ・・・。修道院から離れてだんだんスワンもなんか違う感じになってきた気がする・・・。
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