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一騎 魔女
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「またって言うなよ」
「まただからまた」
その女の子は、重量感ある黒い甲冑や銃やナイフや常闇の絶剣や……を装着しているグロウとは違い、普通の私服を着た女の子だった。
薄青色の髪の毛、可愛らしい顔。
どこにでもいそうな感じだ。
ただ、杖を持っているのだけは除いて。
「今日も休んでいってほしい」
「いや、ほしいって……」
「さみしい」
杖を両手で持って、素直にそう言った。
「お、おう」
グロウはなんだか恥ずかしくなり、返す言葉に迷う。
そして仕方なく
「休んで行くからさっさと開いてくれ」
と答えると
「……うん……」
女の子は何か嬉しそうにうなずいた。
顔を少し赤くした女の子は、暗い空へと杖をかざして
「開門」
と呟く。
すると
スウィィィィン……
女の子の目の前に直径3mくらいの魔法陣が描かれる。
その魔法陣の中にはさらに魔法陣が、そしてその魔法陣の中にもさらにもう一つの魔法陣がある。
しかも一つ一つの魔法陣は、全てが異なった文字で刻まれている。
魔術。
たった今、女の子が呟いた言葉だ。
この世界では、身体運動エネルギーと精神運動エネルギーを様々な比率で錬ることで魔力を生み出し、その魔力を使うことを魔術という。
そして、その魔術にはさらに二つの種類がある。
彼女が今唱えたような呪文や回復系の呪文を総じて白魔法といい、攻撃的な呪文を総じて黒魔法という。
ちなみにグロウの目の前にいる女の子は、白魔法に特化したタイプだ。
「行こう」
女の子は魔法陣の中へと入る。
「おうおう」
その女の子に続くようにグロウも魔法陣へ。
グロウが魔法陣の真ん中に両足を揃えると、
スウィィィィン……
音を出して消えた魔法陣は同時に、グロウと女の子を瞬間移動させた。
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「ついた」
現実時間で3秒、体感時間は一瞬で到着した。
そこは、ただひたすらに平野が広がっている。
今は暗くてよく見えないが、遠くには山があり、二人の近くには川がある。
しかし二人の目的はそれではない。
二人の目的は、目の前にある小屋で休むことだ。
「もう寝かせてくれ」
「うん」
時刻は0時。寝たいのも仕方ないだろう。
しかもグロウは一日に4回も兵士に追いかけ回されたときてる。
「おっし寝るぞ」「うん」
2人が小屋に入ると、
グギィ!
床の音が鳴る。
その小屋は、外見築百年中身築百年実際築百年という、とても古ぼけたものだ。
木造りの一階建てで、木材の間には少し苔が生えている。
まぁ、2人にとっては普通のことなのだが。
中に入ると、質素なベッド2つとキッチン、そして冷蔵庫とタンスがある。
ミシシィ……
そしてベッドも音が鳴る。
「おやすみ」
グロウは着替える事もせずベッドに飛び込む。
「うん、おやすみ」
女の子も着替える事もせずベッドに飛び込む。
一時間くらい経っただろうか
…………
「……」
女の子は起きていた。
顔を真っ赤に染めて、グロウの隣で。
「……」
真っ赤に染めて
続くといいな!
「まただからまた」
その女の子は、重量感ある黒い甲冑や銃やナイフや常闇の絶剣や……を装着しているグロウとは違い、普通の私服を着た女の子だった。
薄青色の髪の毛、可愛らしい顔。
どこにでもいそうな感じだ。
ただ、杖を持っているのだけは除いて。
「今日も休んでいってほしい」
「いや、ほしいって……」
「さみしい」
杖を両手で持って、素直にそう言った。
「お、おう」
グロウはなんだか恥ずかしくなり、返す言葉に迷う。
そして仕方なく
「休んで行くからさっさと開いてくれ」
と答えると
「……うん……」
女の子は何か嬉しそうにうなずいた。
顔を少し赤くした女の子は、暗い空へと杖をかざして
「開門」
と呟く。
すると
スウィィィィン……
女の子の目の前に直径3mくらいの魔法陣が描かれる。
その魔法陣の中にはさらに魔法陣が、そしてその魔法陣の中にもさらにもう一つの魔法陣がある。
しかも一つ一つの魔法陣は、全てが異なった文字で刻まれている。
魔術。
たった今、女の子が呟いた言葉だ。
この世界では、身体運動エネルギーと精神運動エネルギーを様々な比率で錬ることで魔力を生み出し、その魔力を使うことを魔術という。
そして、その魔術にはさらに二つの種類がある。
彼女が今唱えたような呪文や回復系の呪文を総じて白魔法といい、攻撃的な呪文を総じて黒魔法という。
ちなみにグロウの目の前にいる女の子は、白魔法に特化したタイプだ。
「行こう」
女の子は魔法陣の中へと入る。
「おうおう」
その女の子に続くようにグロウも魔法陣へ。
グロウが魔法陣の真ん中に両足を揃えると、
スウィィィィン……
音を出して消えた魔法陣は同時に、グロウと女の子を瞬間移動させた。
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「ついた」
現実時間で3秒、体感時間は一瞬で到着した。
そこは、ただひたすらに平野が広がっている。
今は暗くてよく見えないが、遠くには山があり、二人の近くには川がある。
しかし二人の目的はそれではない。
二人の目的は、目の前にある小屋で休むことだ。
「もう寝かせてくれ」
「うん」
時刻は0時。寝たいのも仕方ないだろう。
しかもグロウは一日に4回も兵士に追いかけ回されたときてる。
「おっし寝るぞ」「うん」
2人が小屋に入ると、
グギィ!
床の音が鳴る。
その小屋は、外見築百年中身築百年実際築百年という、とても古ぼけたものだ。
木造りの一階建てで、木材の間には少し苔が生えている。
まぁ、2人にとっては普通のことなのだが。
中に入ると、質素なベッド2つとキッチン、そして冷蔵庫とタンスがある。
ミシシィ……
そしてベッドも音が鳴る。
「おやすみ」
グロウは着替える事もせずベッドに飛び込む。
「うん、おやすみ」
女の子も着替える事もせずベッドに飛び込む。
一時間くらい経っただろうか
…………
「……」
女の子は起きていた。
顔を真っ赤に染めて、グロウの隣で。
「……」
真っ赤に染めて
続くといいな!
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