【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり

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52 ナディオの断罪

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 クラリスと楽しく過ごすには金がいる。
 帳簿を付け、王都屋敷の執事に提出しないと次の金を渡さないなんて酷くないか?
 貴族の癖にケチ臭い。俺が欲しい物は買うべきだ。

 仕方なく、クラーラを呼びつける。
 だがコイツが鈍臭い役立たずの陰気な女なのだ。

 帳簿一つ満足に付けられない。
 適当に埋めてさっさと渡せばいいものを、延々と何かと比べやがる。

 クラリスの事にも口を挟む。
 本当にうんざりする。

 クラーラの夜会デビューも最悪だった。
 怯えた目をしやがって、誰がこんな奴と踊るかよ。
 会場までエスコートしてやったんだから、もういいだろう。
 もうクラーラなど見るのもうんざりだ。

 そんな頃王太子主催の招待状が届いた。
 招待状が来ていないと、クラリスが不機嫌になった。
 今では将来の事を話し、実質クラリスが婚約者なのに、城の奴ら仕事しろよ。

 内心怒りを感じたが、王城でもこんなミスをするんだなと、濁して一緒に行く事にした。

 クラリスと会場へ向うが、何度も警備の者に止められた。
 その度に、ヒラヒラと招待状を見せ退けた。

「確認します、お待ちください」

 警備が場を離れるから、俺達は気にせず会場へ向かった。
 同じ奴が追いかけて来て、会場の扉の前でうるさく言うのには困ったがな。


 会場に入っても、またうるさく言う奴らがいた。
 せっかくクラリスと楽しむ夜会が台無しではないか。

 そんな中でクラーラの顔を見ると、もう我慢できなかった。
 俺の前から消えろ。
 俺に不愉快な思いをさせ続けたクラーラに、当たり前の事をクラリスがした。

 そして俺は婚約破棄を言い渡したんだ。
 これだけ証人がいるんだ。
 認められると思っていたのだが……

 何故だ、何がいけなかった。
 クラーラを庇う奴など、同じ出来が悪い奴ではないのか。
 クラリスがした事は正しく賢い事なのに、誰もそう思っていないのか。

 俺は父から聞いた事を言ったが、何故認めないんだ。


 俺達は会場から引きずり出され、クラリスと離れ薄暗い牢屋に放り込まれた。

「何故俺がこの様な場所にいなくてはならないんだ。早くここから出せ。こら、そこの男聞いてるのか」

 誰も応えてくれなかった。
 どれだけ喚いても叫んでも無視され続けた。

 水だけ与えられどれ位たったのか、久々に人の声を聞いたのは「出ろ」と言う冷たい看守の声だった。

 両手両足に錠をかけられ、頑丈な馬車に乗せられた。
 その後から悪臭のする汚らしい屈強な男達が乗りこみ、馬車は満杯になった。
 小さな窓はこもった臭いを入れ替えず、鼻が曲がるかと思った。

 移動中男達はニヤニヤと俺を見た。
 一体なんなのだ、気持ち悪い。



 今は昼慣れない力仕事でクタクタになる。
 夜は屈強な男達に囲まれ、寝る暇などなく朦朧とした日々を過ごしている。



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