異世界転移は定員オーバーらしいです

家具屋ふふみに

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第3章

楽しくご飯

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「ふふっ。おいで」

 そう言って恐る恐る出てきたのは、真っ白なリスみたいな魔物。目が赤色だから、地球でならアルビノっぽい。

「可愛い!」

 思わず大声を出したから、少しビクッてさせてしまった。

「ああ、ごめんね?」

 危ない危ない。リナさんみたいになるとこだったよ。
 ちょっと怯えながら少しづつ、私の方に近づいてきた。うぅー、可愛い過ぎる!!

「撫でて、いいかな?」

 そう言うと、まるで言葉を理解してるかのように頷いた。知能高くない?いや、魔物だからかな?

 怖がらせないように目線を合わせて、手を上からではなく下から近づける。
 そこから顎を優しく撫でる。もふもふ。

「ふぁー…柔らかい」

 毛が短めで密集してる感じだから、物凄い触り心地がいい。
 顎から頭、背中、そして尻尾へと手を動かしていく。すると赤い目を細めて、短くキュウと鳴いた。

「可愛い過ぎる…!」

 撫でていると少しづつ体が下がっていき、やがて地面にべたーっとうつ伏せで伸びてしまった。そ、そんなに気持ちよかったのかな?

「ふふっ。可愛いね」

 1匹が大丈夫だったからなのか、1匹、また1匹と同じ魔物が集まってきた。だけど、それぞれ色んな色をしていて、物凄いカラフルな感じになってしまった。

「え、みんなも?」

 そう言うと、ブンブンと首を縦にふった。いや君たちやっぱり知能高いな!?まぁ可愛いからいいか!
 順番に撫でていく。するとどんどんべたーって伸びる子たちが出てきて、中々カオスな光景に……いや、可愛いんだよ?ただ、小さな女の子の周りに大量の伸びた魔物がいるって、どんな光景よ。

「あ、ご飯!」

 すっかり忘れてた!
 私が大声を出しながら勢いよく立ち上がったせいで、何匹か起きてしまった。

「ああ、ごめんね。ちょっと待っててね」

 できる限りそれ以上起こさないように慎重に土鍋をかけたコンロまで向かう。

「うーん、本当はここで蒸らすのがいいんだけど、まぁ今はいっか」

 カパッと土鍋の蓋を開けると、ぶわっと湯気と共に懐かしい匂いがした。そして湯気の先には……真っ白なお米。

「やっと食べれる!」

 思わず大声を出しちゃって、慌てて後ろを見る。
 ……すると、

「な、なにこれ」

 さっきまで寝ていた子達はみんな起きていて、ていうか1列に並んでて物凄い可愛い。可愛いけど、これなに?!

「もしかして…欲しいの?」

 先頭の子に聞いてみると、ブンブンと頭を縦にふった。そ、そんなにか。

「うーん、別にいいんだけど、君たちは食べて平気なの?」

『基本魔物は雑食ですので、問題ありません』

 あらそう。

「ならまだちょっと待っててね」

 私がそう言うと全員?全匹?が、一斉に頷いた。いや、怖いな?!可愛いけど。

 手を少し濡らして、ご飯を手に乗せる。味なしはさすがに可哀想かなって思ったから、塩むすびにする。
 今の小さな手でできるおむすびは、かなり小さい。けど、これくらいがこの子達にはちょうどいいかもしれない。

「はい。出来たよ。何匹かで分けて食べてね」

 さすがに1匹には多いよね。何個かおむすびを皿に並べて、地面におく。てっきり群がるかなって思ったんだけど、ちゃんと律儀に順番通りに自分の分を取っていく。君たち元は実は人間じゃないか?

 私もいつまでも眺めていないで自分の分を準備する。

「あ、茶碗ない」

 今更そのことに気付いた。大急ぎで茶碗を土から創る。陶器をイメージしたからか、ツルツルの茶碗になった。ただ、色は茶色のままだけどね。そりゃ染料なんて地面にないものね。いや、宝石とかはあるのか?まぁいっか。

 創りたての茶碗に、これまた炊きたてのご飯をよそう。

「うぅー、これよ、これ!」

 無限収納庫インベントリからテーブルと椅子……いや、一緒に食べたいから、ゴザをだそう。あと作ってた野菜炒めも。

 ゴザを敷いて、ご飯を並べる。するとみんなが自分の分を持って集まってきた。

「一緒に食べてくれるの?」

 そう尋ねると、さも当然というふうに頷いた。あ、そうですか…

「あ、お箸もない」

 あー、もういっか。後でで。今はフォークで食べよう。

「いただきます」

 手を合わせて食べ始める。ご飯は…かなり良かった。でも、少しベチャッてしてる。水の分量は間違ってないはずだから、多分品種が違う影響かな。品種名分かんないけど。野菜炒めは…まぁ及第点。やっぱり醤油味がいい……

「キキッ?」

 私が1人で渋っていたからなのか、1匹が首を傾げて鳴き声をあげた。オレンジ色の毛並みに、青色の瞳の子。
 ……可愛すぎるでしょ。

「あー、あのね?もし知ってたらなんだけど、醤油……真っ黒なしょっぱい液体を知らないかな?」

 そう問いかけると、その子は周りの子達にキキッて言いながら聞いているみたい。うん、和むわぁー。

「キキッ!!」

「うわ!え、どうしたの?」

 いきなり服を引っ張られたと思ったら、小さな手で森の中を指さしていた。

「もしかして…あるの?」

 そう言うとフンスッて鼻息荒く頷いた。ほんとにあるの?

「キキッ!キキッ!」

「わ、分かったって!」

 1匹だけじゃなくて何匹も引っ張ってくる。そんなに連れていきたいのね。まぁ尋ねたのは私だけど。

「じゃあちょっと待っててね」

 流石にシステムキッチンを放置して行くことは出来ないでしょ。
 ゴザとお皿。システムキッチンを全て収納し、リスちゃん?君?…ま、いっか。とにかくみんなに連れられて、森の中へと足を踏み入れた。


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