異世界転移は定員オーバーらしいです

家具屋ふふみに

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第6章

お願い事

「……ん?」

 目を開くと、そこは寝ていた宿の部屋ではなかった。
 真っ白なような…ぽわぽわした……あ、以前来たことがある。ここは確か…私の夢の中だ。

「お久しぶりですね」

 そう言いながら、目の前にグランパパが現れる。確かに色々あって久しぶりかもしれない。

「お久しぶりです。あの、一体何のようで…?」

 わざわざ私の夢にまで来て、話すような内容なんて……あったな、うん。

「その顔だと、今気付いたようですね」

「……レジーナさんの件ですか」

 グランパパが頷く。やっぱりそうか……。

「今回の騒動、助力感謝します。我々としても想定外な事態だったので…」

「想定外?」

 神様が想定外だなんてそんなことある訳……私自身そうだったね、うん。もう気にしてないけど。

「呪い…呪詛があそこまで蔓延することなど、ありえないのです」

「でも、そのありえないが起きてしまった、と?」

 グランパパが重々しく頷く。

「……そもそも、マリーナさんと同時期に連れてきた方々が浄化するはずだったのです」

 聞くところによると、どうやら私たちはこちらに来る際、呪詛を浄化することができる力を得るそう。そこにいるだけで浄化できるって力らしいので、もう浄化が始まっているはず。それなのに、こんなことが起きた。

「だから、こんなことは有り得なかったんですね」

「はい…マリーナさんは神力を持っていますので、浄化の力は桁違いにあります。その結果、今回の想定外な事態の収拾が出来たのですが……実を言うと、マリーナさんのところだけでは無かったのです」

 グランパパが唇を噛む仕草をする。

「…まだ、他にも広まっているところが?」

「…はい。ですが、今・の・マリーナさんならば、この世界にいるだけで全ての浄化ができます。なので、現在では解決しています」

 今の、か……確かに神龍としての力はやっと解放出来たようなものだしね。にしても、私だけで全てを浄化できるって……今更ながら自分の規格外さを痛感するね。でも、じゃあ呪詛による被害は現在ないんだね。

「……しかし、問題はまだ残っています」

「……召喚組がいるのに、ここまでの事態に発展したことですね」

 残っている問題と言えば、それくらいだ。元々怪しいとは思っていた。勇者が召喚されたこと自体が広まっていなかった時点でね。

「その通りです。……そして、マリーナさんには少しお・手・伝・い・をお願いしたいのです」

 お手伝い、ねぇ……

「……私は神龍です。神様の頼み事を、断れるはずはないでしょう?」

「……ありがとうございます」

 感謝されることじゃないけどね。元々私神龍の存在理由は神様の手伝いだし。
 ただ……グランパパからお願いされたことは、少し一筋縄ではいかないかもしれない。

「力でごり押すと被害が酷いでしょうし……慎重にやります」

「まぁそうですね……無・事・な・人・が・い・れ・ば・、ですが」

 ……嫌なことを言う。

「…ひとまず、レジーナさんに対しての何・か・はありませんね?」

「はい。それはもちろん」

 良かった。まぁもしあるなんて言っても無視してただろうけど。

「…それから、もう1つお願いがあります」

「え、なんですか?」

「……もう少し、神界にくる頻度を上げてくれると嬉しいなぁ…と」

 モジモジとしながら、グランパパがそう言う。
 ……なにこの可愛い神様パパ。

「…まぁ、善処はします」

 私自身、神界に行くことは嫌ではない。寧ろ好きだ。神龍である影響なのか、神界はとても居心地がいいから。……ただ、サーニャさんを長く放置することは出来ないから、滞在するにしてもそう時間は長くないだろうなぁ…。

『マリーナ様、そろそろ』

 おっと。そろそろレジーナさんが起きそうか。私も起きないと。
 ……そう言えば私今寝てるんだよね。なんかこうやってると寝てる気がしないけど。

「じゃあまた」

「はい……お願いしますね」

「もちろんです」

 その言葉を最後に、私は夢から醒める。と言っても、まだ目は閉じているのだけれど。

「ここは……」

 レジーナさんの困惑する声が聞こえる。
 ……いきなり起き出したら驚くか。寝たフリから起きたみたいにしよう。

「うぅん……あ、起きましたか」

 それでも驚かせてしまったようで、レジーナさんの体がビクッと跳ねた。

「あ、ごめんなさい……えっと、おはようございます?」

「お、おはよう、ございます…」

 戸惑いながらも、とりあえず挨拶は返してくれた。

「…現状が、分かりますか?」

「私、わたしは……」

 レジーナさんが俯き、考え込む仕草をする。記憶が混濁しているようだ。まぁ無理もないか。神眼で体調確認……

「とりあえず体調は大丈夫そうですね」

 異常は見られないので、ひとまず安心。
 レジーナさんのほうも記憶の整理がついたらしく、俯いていた顔を上げ、私を見る。

「あ、あの…」

「はい?…あぁ、私はマリーナと言います。好きなように呼んでください」

「あ、はい……えっと、ここは」

「ここは私が泊まっている宿です。朝食は食べられそうですか?」

 するとレジーナさんのお腹が正直な声を上げる。聞かれたのが恥ずかしかったのか、レジーナさんの顔がみるみる赤くなる。

「ふふっ。じゃあ待っててくださいね。朝食取ってきます」

「…すいません」

「謝ることじゃないです。サーニャさんも起きてください。私は朝食取ってきますから」

「…ふぁい」

 隣で寝ていたサーニャさんを揺すって起こす。可愛い声を上げ、サーニャさんが目を擦りながら体を起こす。寝た時間が時間だからね。眠いのは仕方ないだろう。

「2人で話でもしててくださいね」

 とりあえずそう言い残し、私は朝食を貰うために部屋を出た。


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