妹さんが婚約者の私より大切なのですね

はまみ

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あたしはエレナ。これでも男爵家の一人娘なの。

母は幼い頃亡くなり、父は飲んだくれて気に入らないとあたしに暴力をふるう。

あたしは本当なら学園に行かせてもらえるはずだった。

一応、男爵家なんだから。でも父が飲み代に全ての財産をつぎ込んでしまい、それを止める人は誰もいなかった。

もちろん、学園には貧困層…学費を払えない者が通える制度だってある。

学力が低い平民層の者が、最低限の学費で行けるようなとこ。

あまりに経済状態が酷い場合は、学費は免除してもらえる。

まずはそこに行こうと思ってた。

一度は学園に通って、何らかの教育をしておかないと、困ること多いらしいのよね。

でもその望みは絶たれてしまった。

一番簡単な学力レベルの学園に行ったのに、ご希望の制度は、平民の方に限られますから、貴族の方は利用できません、そう断られた。

貴族の方でも利用可能な制度だと、奨学金を受ける成績優秀な方のみとなっております。

あなた様はどちらにも当てはまらないため、当学園への入学は許可できません…だってさ。

あたし、基礎教育とやらが足りていないんだって。

そりゃ勉強なんてしたことないよ。
まだお母様が生きていらした幼少時に、お母様から、ほんの少し教わった程度だけだよ。

ところで基礎教育ってどこまでの範囲を言うの?
そのへんからわからない。 

そういうわけで、あたしは、みんなが学園に通っている年頃なのに、もう働かなければならなかった。

男爵家なのに…

あたしは一生涯こんな感じで終わりたくなかった。

金持ちの男を捕まえたら、どうにかなるかもしれない、そう思った。でも出会うのが難しい。

それでも、男性を相手にする商売を選ぼうとはしなかった。

だって男性と交際経験の無い女でなければ、やや裕福な家の男性の妻にはしてもらえないらしいんだ。

あたしは相手が貴族である必要はなかった。貴族ってピンキリで、名前だけで裕福でない貴族も結構いる。うちほど酷いとこも珍しいだろうけど。

どうにか平民の裕福な男性と知り合えないかな。若い男に絞って。

年がいくと既婚者の可能性が高いの。トラブルは御免なの。

あたしは若い男性が集まりそうな場所の求人を探したの。

そしたら、ある学園が急ぎの求人を出してたの。

ベテランの女性が高齢のため仕事を辞めるけど、その引き継ぎだって。学歴やら年齢は不問。

仕事の内容は、食堂の手伝い、清掃、学園内での雑用と多岐にわたる。おまけに低賃金。

勤務時間は早朝から夕方まで、場合によっては深夜まで。
休日の出勤あり。

あまり休みがとれないため、体力のある者を希望。

募集要項に書かれていない業務を頼まれることもあります、だって。

他の応募がなかったこともあり、あたしは採用されました。

学園なら、若く未婚の男性に知り合える確率がぐんとあがるでしょ。

あたしは最初から高嶺の花らしい連中は無理っぽいので目はつけなかった。

狙ったのは、そこそこ普通くらい~やや裕福、くらいかな。

特に紹介がなくとも、なんとなく立ち居振る舞いや服装で階級はわかるもんだ。

あたしは、狙いをつけた相手の目の前で、わざと落とし物をしたり、転んだりした。

そしたら、心配して声をかけてくれた人がいた。カイル君といって、商人の息子さん。

カイル君は凄くいい人だ。

でもつまんないことに、いい人過ぎて、女性としてのあたしに声をかけてくれたわけじゃなかったんだ。

「エレナさんは、僕と歳が変わらないのに、もう働いてるんだ。偉いなあ。」

…とか

「学園に行けなかったんだって?
自分で勉強したいけど、何したらいいかわからないんだって?

…応援してるよ。良かったら教科書とか貸すよ?

あと、使い終わったテキストで良ければあげてもいい。」

…だとか。カイル君は、あたしのことを心配してくれていた。
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