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蛙の試練⑦

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 大蛇との戦闘は終わった。

 終わったというのに気分が晴れない。

 理由は分かっている...。

「ティア...」

 黒焦げになった大蛇の姿を見ながら、今は亡き彼女の名前を呟いていると...。

 不意に大蛇のお腹の辺りが蠢いたような気がしたので戦闘態勢に入る。

「まさか!、まだ大蛇の奴が生きて!?」

 そう思った私はすぐさま構え【極限】状態に入る!!。

 更には【蛙伝雷速】を発動し、いつでも最速の一手を放てるようにしていると...。

「ぷはぁ!!」

 大蛇の口から丸呑みにされたはずのティアが這い出してきたのだ!。

「ティア!!」

 私は嬉しくなってで動き彼女に抱きついた!。

「ケ...ケロナさ...アババババ!!!!」

 バチチチチ!!。

 私は自分が【蛙伝雷速】状態を解いていない事を忘れていたので、彼女に相応の電撃が襲いかかのだ。

「す...すまん!、嬉しくなってつい!」

 すぐさま【蛙伝雷速】を解いて彼女に謝る。

「う~ん...」

 そんな彼女は頭を抑えながら、私の方を見てこう呟きました。

「まだちょっと痺れるけど...、大丈夫みたいです」

 そうは言ってくれているが、私から見たら結構なダメージが彼女の体に蓄積されていると思うので、少しだけ休んで行く事にしました。

「無理はするなよ、ちょっと休憩してから次の部屋の向かおう」

 私と彼女は壁に背を当てて、他愛のない会話をします。

「ケロナ様」

「なんだ?」

「なんでケロナ様はこの蛙の試練を突破しようと思ったんですか?」

 そう聞かれると答えない訳にはいかない。

「ああ実はな、この試練の先には蛙族に伝わるがあるらしい」

「何か...、ですか」

「悪いな、石版が削れてて読めなかったんだ」

 あははと笑い場を和ませようとする私。

「不親切な石版ですね、ちゃんと彫って後の時代にも残るようにしておいて欲しかったです!」

 彼女はプンスカ怒っていましたが、蛙娘である私には本能で分かってしまう事がありました。

 石版から伝わってきたあの圧倒的なパワーに、私は突き動かされたのだと言うことが...。

 本来なら1人で挑むべき試練の筈なのに、彼女を巻き込んでしまった事は本当に申し訳ないと感じている。

 その後も彼女と談笑し、彼女の顔色が戻ってきた所で試練を再開するのでした。



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