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円卓会議⑧

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「絶対にダメじゃ!、そやつだけは絶対に仲間だと認めんからな!」

 ふ~ふ~と息を荒げながらカズラに指を指すシスティの表情は真剣そのものである。

 彼女がそう言うのも無理はない。

 と言うかぶっちゃけ私も彼女と同意見だ。

 確かに彼がの為に力を貸すと言うのならば願ってもない事だが、あくまでも個人の私怨を晴らす為に便乗しようと言うのであれば話は別である。

「カズラ、1つ聞きたい事があるんだけど」

「なんだ?ケロナ」

 奴の視線が私に向くと、相変わらずの威圧を受ける。

 だけどそれは魔王であれば誰しもが持っている闘気の様な物なので深く言及はしない。

「あなたは私達の仲間としてではなく一個人としてギサラのアトランティスへというのはどうかしら?」

「ほう...、それも悪くないな...、お前たちが引き起こすであろう混乱に乗じて俺がギサラの顔を1発殴れると言うわけか...」

 彼は一瞬それでも良いかと言う雰囲気を醸し出したのだが...。

「ダメだ!」

 何故かアリカにかき回されてしまう!。

(何がダメなんだ!?)

 思わず私は顔をしかめてしまっていた。

 私の出したナイスなアイデアのお陰で丸く収まる筈だったのに、彼女の余計な「ダメだ」と言う言葉のせいで会議は混沌と化してしまう。

「何じゃと!、ケロナのアイデアの何がダメなのじゃ!?」

 いつもの落ち着いた口調ではなく、明らかに取り乱したような口ぶりのシスティ。

「まあまあ落ち着いて」

 それに対して落ち着きのある声でシスティをなだめようとしているアリカだったが、正直言って逆効果だろう。

「これが落ち着いていられるか!!」

 ドンっ!と机を叩き大きな音を出したせいでパルナが怯えてしまっている。

 それをディンが優しい言葉をかけながら話に参加してきた。

「システィ殿、落ち着いてください!」

「お主は黙っとれ!」

「黙りません!、今一度魔王カズラと組む利点をお考えください!」

「此奴と組む利点などないわ!」

 だめだ...、話になってない。

 システィはディンの言葉を聞く気がないと言うよりは、頭に血が上ってしまったせいで聞く耳を持っていないように思える。

(どうすんだこれ...、これで本当に話が纏まるのか?)

 今のシスティに何を言っても無駄でしょう。

 私はアリカの方を眺めながら、彼女の機転に賭けるしかないのでした。

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