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森の聖域

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 あの日、奴はたった1人でこの森の聖域にまで足を踏み入れたんだ。

 私自身、たった1人の侵入者相手に何を手間取っているのかと思っていたが、実際に相対して分かった事がある。

 奴は、いや正確には人間なのだろうが、あの力...人間にしては明らかに常軌を逸している。

 森の守護龍たる私を簡単になぎ倒し、森の聖域ある【獣鬼団の秘宝】を奪い去り、挙句には私を洗脳した。

 あの手際の良さは人間業とは思えなかった。

 私をテイムし洗脳したからには、奴のテイマーとしての力量も確かだが、それ以上のやつの人間離れした身体能力には何か秘密があるような気がしてならない。

 それは奴と間近で戦った者にしか分からないだろう。

【極限】の力を得た者でなければ、どんな達人であろうと奴の前では恐らく10秒ほどしか持たないだろう。

 現に私ですら5分~10分程の戦闘で地に足をつけてしまったからな...。

 ティラスの話を聞き終わると、俺は軽く考えていた。

(ティラスを5分~10分で倒した?、まじかよ...、やっぱりギサラって相当強いんだな)

 ユカのお兄さんであり一流のテイマー、そして彼自身も最強とかチートでも使ってるのか?。

 そう思ってしまうほど、今の俺とギサラとの間には巨大な壁があるように思える。

 ただ、ここで考えていてもしょうがない、俺ができる事を最大限に活用し、皆が戦いやすいようにしてあげるのが俺の戦いだ。

 故に戦いの前の準備には余念がない。

 いつだってそうだった。

 俺はRPGとかでも無理にでも適正レベルよりもちょっと上に上げてから安全に旅を続ける派の人間だ。

 だから皆の強化に当てる時間はちゃんと仕事時間内に取り入れてある。

『いい人材無くしていいパーティは作れぬ』

 これは自論だが国づくりにも当てはまる言葉だろう。

『いい人材無くしていい国は作れぬ』

 と聞けば分かり易いかもしれない。

 もっと分かりやすく言うのであれば、優秀な人材を集めて結束する事こそがより良い国作りの近道なのだ。

 ので、俺よりも優秀な人材が現れた場合はすぐにでも王の座を明け渡すつもりだ。

 まあ、俺よりも優秀な人材などそうそう見つかるものでもあるまい。

【キャラメイキング】と【ダンジョンメイキング】の2つを扱う俺以上に国作りが安定する者など簡単に現れるはずがないと断言できる。

 だってこれ、やりたい事に適した人材を作りながら好きな国の基盤を苦労せずに作れると言う状態だからな!。

 チートなんて生易しい物じゃない、国作りに関して言えば俺の能力はえげつないほどの性能を誇っていると言えるだろう。

 まあ、代償に戦闘力を失ってるから多少はチートでもいいよね?よくない?。

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