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神豆

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 彼はある程度ギサラについて語ると、俺にとある物を見せて来た。

 小さな小袋に入っていたそれは、緑色のなんの変哲も無い豆だ。

 それをツンツンとつつきながら彼に聞いてみる。

「なにこれ?」

 俺がティラスに聞いてみると彼は答えてくれた。

神豆しんずだ食え」

「神豆って...、こんなちっこい豆に大層な名前をつけるんだな...」

 取り敢えずポリポリとかじってみると意外に悪く無く、食感としてはカシューナッツが一番近い。

 確かにこの食感は神と言っても差し支えないだろう。

「これ...かなり美味いな!、もうちょっと食わせてくれよ!」

 そう言って彼の小袋に手を伸ばそうとしたのだが...。

「ウプッ...、なんだ?、腹が膨れて来たぞ!?」

 豆一個でここまで空腹が紛れるとは...、この豆には凄まじいカロリーでもあるのだろうか?。

 彼はニヤリと笑いそれを自らの口に含む。

 すると...。

 ボンっ!!と彼の干からびていた腕が元のムキムキな状態に戻った!!。

 それを見た瞬間に俺はびっくりしてしまう!。

「うぉ!!、干からびていた腕が元に戻った!?」

 驚く俺を見て彼は笑っている。

「どうだ?、驚いたか?、神豆は食感とカロリーも神という名に相応ふさわしいが、何よりも特筆すべきはこの回復性能だ、骨折は愚か脱水症状や病気も治り、体力と魔力に関しては完全に回復するという代物だ」

()

 いやいや...、似てるだけだ!うん!似てるだけ...。

 だって本家だと病気は治らないし!、うん全くの別物だ!。

 そう自分に言い聞かせて見たものの...。

()

 俺の大好きな漫画のアイテムにそんな物があった事を思い出した俺は悶えてしまう。

 てかさ、俺って今そんな貴重な物を食べちゃったんだよね?。

「ちょっと待て!、その神豆ってあと何個あるんだ!?」

 彼が小袋から取り出すと、後一粒しか残っていなかった。

「すまない、神豆はこの母なる樹マザー・ツリーのみで取れる貴重品でな、年に100個も取れないんだ、それに獣鬼達の怪我や病気を治す為にも使ったから後一個しか残っていない」

 鹿!!。

 ティラスの復活した腕を見た俺は、神豆を食べてしまった事をめちゃくちゃ後悔しているのでした。

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