上 下
870 / 912

楽しいゲーム

しおりを挟む
 カズ君が笑い声を出しながら皆と話し合うこの時間が好き。

 この時間だけは小鳥遊優樹の存在も容認できてしまうくらいには彼女の存在も必要だと感じずにはいられない。

 あれだけ馬鹿だと思っていた佐藤が予想外の手を繰り出してきたり、それを見て石川君が「やるな...」と小声を漏らす。

 しかし、それ以上の手を黒木さんが打ってきたりするのでボードゲームは面白いのだ。

 知識と運の要素が複雑に絡み合い、一つの遊戯ゲームとして洗練されていくこの感覚は悪くない。

 だけど...。

 それでも私の心の奥底にあるのはゲームへの興味ではなく、高坂和希と言う人物なのだった。

 まあ、白熱したゲームは時間が経つのを忘れさせてくれるのも事実。

 私も時間が経つのを忘れて今日は日が落ちるまでたっぷりと楽しんでしまった。

「あ~! よく遊んだな~!」

「おい! 高坂! 明日もこれで遊ぶぞ!」

「そうだな、このゲームは面白かった」

「はいっ! 是非ともやりましょう!」

「そうだね、和希。明日もやろう」

「あとは結美だけだが、明日も遊べるよな?」

 その問いに私が返す言葉は決まっています。

「勿論だよ♡ カズ君♡」

 私の言葉と共に彼は笑みを貸してくれるのでした。

しおりを挟む

処理中です...