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第四章 過ち
4-1
突然の来訪者が湊だけの閉じられた空間を破る。冷たい汗が背筋を這い、気づけば後ずさっていた。逃げたいのに、足が動かない。
「あれから新作が出ていないようだね」
言葉は柔らかいのに低く圧のある声。少しも変わっていない天城の姿が湊を過去の姿に戻そうとしてくる。天城がアトリエの壁に視線を送った。新作の参考にするために貼られた写真が見られている。品定めするような目つきに心臓が冷たくなった。自分のしていることが間違っているような気がしてしまう。天城の指定した香料とは違うものを選ぼうとしているから。
湊が最後に作った香水は『Veil』。そして、そのプロデュースをしていたのが、天城だった。まだ『Port』が駆け出しのブランドだった頃、湊は天城に声をかけられた。既にスタイリストとして地位を得ていた天城に認められたことが嬉しかった。それだけでなく自信に溢れ、煌びやかな世界に生きる天城は魅力的でどんどん惹かれていった。
──君は俺の言う通りにすればいい。
悩んでいた湊の手を取り、天城は道を示してくれた。もっと湊の香水の良さが広まるように。ブランドが大きくなるように。
『理想の自分を纏う』というコンセプトは天城が示したものだった。湊は天城の言葉を受け入れて真摯に香水と向き合った。やがて発表された『Veil』は天城がスタイリングを担当していた俳優によって世間に知られることになる。湊は天城に言われるまま、宣伝写真を撮った。当時の湊はカメラの前だけでなく私生活でも天城の選んだ衣服を着るようになっていた。湊の良さを引き出しており、似合っているからと。鏡に映った自分は背筋が伸び、自信に満ちた顔をしていた。向けられる視線も羨望に変わっていった。そんな湊を天城は誇らしいと言ってくれた。
天城に褒められる喜びは蜜のように甘く、やがて湊を蝕んでいった。どうしたら天城が喜んでくれるだろう。天城だったらなんと言うだろう。いつのまにか頭の中はそればかりになっていた。天城に愛される自分でいることを自ら選んでいた。それが愛ではなく支配であったことに気がついた時には、『Veil』が湊の代表作となっていた。
「この香水を使うと、別の自分になれるんです」
その言葉を聞いて、湊は違和感に気がついた。香りには自信があった。天城の望む正解を作ることができた。でも、どこか違う。『Veil』は本来の自分を覆い隠す。まるで初めからなかったかのように。
本当に自分が作りたかったのはこの香水なのだろうか。自分は何のために香水を作り始めたのだろう。思考を取り戻した瞬間、血の気が引いた。残っていたのは天城の言葉ばかりで、自分の意思が分からなくなっていた。
香水だけでなく、身につけているものから考え方まで、湊は染められていた。心から天城を愛していると信じていたのに、それさえ自分の本心か分からなくなった。恐怖が芽生え、湊は天城に別れを告げた。それが昨年の初雪の日だった。
靴音が意識を引き戻す。天城が湊へ近付いてきた。その度に記憶を引き戻す懐かしい香りが鼻に届く。トップノートのピンクペッパーは湊の人生に新しい刺激を。ミドルノートのジャスミンは初めての濃厚な夜を。ラストノートのアンバーは、甘く縛り付けられる支配を。縫い付けられたように体が固まっている。呼吸が浅くなり、天城の香りが肺を侵していった。
「調香がうまくいっていないんだろう?」
見透かす視線が怖いのに、目が逸らせない。眼鏡の薄いガラス越しに強い瞳が湊を捉えている。
「俺の言う通りにしていればよかったのに」
その言葉が湊を過去に引き込んでいった。膝が震え始める。芯を失ったように力が入らない。崩れ落ちそうに俯くと、天城の手がそれを許さなかった。前髪を掴まれ、無理矢理上を向かされる。
「いっ……」
一瞬の痛みに顔を歪めると、触れそうなほど近くに天城の顔が寄せられた。覗き込まれて視線が逸らせない。
「髪は上げていた方がいいと言ったはずだよね?」
決して声を荒げはしないのに、体の奥まで入り込んでくるような圧のある言葉。自分がとんでもない間違いを犯してしまった気分になる。湊が天城のものだった頃、天城はきちんと髪を上げているのを好んだ。宣伝写真に残っているような隙なく整えられた姿を美しいと愛で、湊もそうあるように努力した。
近付いたせいで余計に天城の香りが強くなる。天城の肌に馴染んだ『Veil』の残り香は思い出したくない記憶まで強引にこじ開けた。
──こうしている君が、一番綺麗だよ。
湊は床に跪き、天城の足の間に顔を埋めていた。頭を撫でられると、地肌までゾクゾクと粟立った。息苦しささえ褒められた喜びが塗り替えていく。
上手にできたご褒美に、上に乗ることを許された。湊は自分で準備を終えたそこに天城を受け入れていった。じんわり苦しくて、甘ったるい快感に満たされる。天城のために動く湊を、強い瞳が満足そうに眺めていた。
──俺だけが、君の魅力を引き出せる。
魔法の言葉がかけられる。思わず溜息が漏れた。
──いい子だね、湊。
天城に肯定されると体に喜びが広がっていった。反り返った胸にたっぷりと『Veil』が垂らされた。わななく体を天城が撫でてくれる。上気した肌の上で強い香りが広がる。天城は湊を抱く度にこうして香りを与えていった。体で覚えなさい、というように。天城の選んだ理想の香りが湊に染み込んでいく。
天城の正しさに応えていれば愛してもらえる。その甘露が欲しくて、湊は全てを捧げていた。恥ずかしいことも怖いことも、天城が必要とするなら湊は望んで叶えた。手を離されたくなくて必死だった。優しい愛の言葉と支配の香りが湊を溺れさせていった。
今なら分かる。自分がどれだけ天城に調香された存在だったのか。
「やめて……」
なんとか口に出せたのは弱々しい拒絶の言葉だった。もう自分はあの頃とは違う。本当の自分を塗り潰され、纏わされていた日々は終わった。やっと一人で立てるようになったと思っていたのに、湊は前髪を掴む手を振り払うことはできなかった。
天城は黙って湊を見つめていた。試すような目が怖い。本当はきっと、昔からずっと怖かった。愛されたいという感情の裏側に、少し間違えれば捨てられるという不安が潜んでいた。ようやく手が離れていく。解放された湊は、自分を守るように咄嗟に身を縮こまらせた。首をすくめて小さくなっていると、頭の上に天城の声が降ってくる。
「香りの好みも変わったんだ。でも、湊らしくないな」
息が止まった気がした。あの頃一番恐れていた言葉が湊の胸に突き刺さる。見放された、と思考より早く頭に浮かんだ。咄嗟に縋るような目を向けてしまう。手を離し、逃れたがったのは湊の方なのに、捨てられるのが怖かった。
天城が作業台の上に目をやった。昔から変わらず使っているレシピノートを見て、不敵に笑う。その表情を見て緊張が走った。湊の中からいまだ消えない残り香が、見つけられてしまった。
「俺がまたプロデュースしてあげようか」
低くなった声が甘やかな響きを帯びる。いい子だと湊を褒めた時の声音だった。思わず瞳が揺れてしまう。罠への誘惑だと分かっているのに、蘇った過去の記憶が湊を弱くしている。
いらない、と言わなくては。拒絶の言葉を出そうとするのに唇が震えて声にならない。勝ち誇ったような天城の目に映る湊は、無意識のうちに昔の顔へ戻ろうとしていた。
「また会いに来るよ。今度は『正しい』答えを用意しておいて」
天城の手がするりと頬を撫でた。触れた肌が、香りが、湊の心を揺さぶる。これだけぐらつかせておいて天城はあっさりとアトリエを後にした。
「っ、は、はぁっ……」
一人きりになった途端、湊は詰めていた息を吐き出した。静寂に息遣いだけが響く。頬がじんと痺れている気がする。作業台に体重を預けて乱れた呼吸を整えようとすると、天城の残り香が入り込んできた。体を支えた手にレシピノートが触れる。天城の求める『正解』がここに記されていた。
慌てて手を引いて胸の前に庇う。いつの間にか両手がひどく冷たくなっていた。このままではまた、戻ってしまう。ようやく天城という檻から抜け出したと思ったのに。ぼやかされた自己の輪郭をなんとか取り戻そうとする。視線を巡らせ、湊を過去から救ってくれる何かを探した。棚の香料瓶には天城の好みを探した日々が封じ込められている。並んだビーカーとフラスコには天城の指示を受ける湊の姿が焼き付いている。どこもかしこも天城の影が残っていた。
過去に沈んでいきかけた瞳が、壁の写真を見つける。優しい木漏れ日。朝日に光る水面。黄と白のかわいらしい、カモミールの花。湊はそこに、安らぎを見つけた。
「悠くん……」
知らず呼ぶ声が漏れた。先程まで調香していた穏やかな香りが戻ってくる。今朝まで感じていた温もりが手の中に蘇った。今は遠いその熱が恋しい。
自分の安心する場所を求め、湊の手は予約サイトへ伸びていた。週に一度しか利用したことのなかった『添い寝屋ぬくもり』に初めて連日の予約を申し込む。幸いにも悠の予定は空いていた。
予約完了画面を見て、やっと心が落ち着きを取り戻した。すっかり外は夜に侵食されていた。闇に染まった窓を見て、帰らなければと思った。
「あれから新作が出ていないようだね」
言葉は柔らかいのに低く圧のある声。少しも変わっていない天城の姿が湊を過去の姿に戻そうとしてくる。天城がアトリエの壁に視線を送った。新作の参考にするために貼られた写真が見られている。品定めするような目つきに心臓が冷たくなった。自分のしていることが間違っているような気がしてしまう。天城の指定した香料とは違うものを選ぼうとしているから。
湊が最後に作った香水は『Veil』。そして、そのプロデュースをしていたのが、天城だった。まだ『Port』が駆け出しのブランドだった頃、湊は天城に声をかけられた。既にスタイリストとして地位を得ていた天城に認められたことが嬉しかった。それだけでなく自信に溢れ、煌びやかな世界に生きる天城は魅力的でどんどん惹かれていった。
──君は俺の言う通りにすればいい。
悩んでいた湊の手を取り、天城は道を示してくれた。もっと湊の香水の良さが広まるように。ブランドが大きくなるように。
『理想の自分を纏う』というコンセプトは天城が示したものだった。湊は天城の言葉を受け入れて真摯に香水と向き合った。やがて発表された『Veil』は天城がスタイリングを担当していた俳優によって世間に知られることになる。湊は天城に言われるまま、宣伝写真を撮った。当時の湊はカメラの前だけでなく私生活でも天城の選んだ衣服を着るようになっていた。湊の良さを引き出しており、似合っているからと。鏡に映った自分は背筋が伸び、自信に満ちた顔をしていた。向けられる視線も羨望に変わっていった。そんな湊を天城は誇らしいと言ってくれた。
天城に褒められる喜びは蜜のように甘く、やがて湊を蝕んでいった。どうしたら天城が喜んでくれるだろう。天城だったらなんと言うだろう。いつのまにか頭の中はそればかりになっていた。天城に愛される自分でいることを自ら選んでいた。それが愛ではなく支配であったことに気がついた時には、『Veil』が湊の代表作となっていた。
「この香水を使うと、別の自分になれるんです」
その言葉を聞いて、湊は違和感に気がついた。香りには自信があった。天城の望む正解を作ることができた。でも、どこか違う。『Veil』は本来の自分を覆い隠す。まるで初めからなかったかのように。
本当に自分が作りたかったのはこの香水なのだろうか。自分は何のために香水を作り始めたのだろう。思考を取り戻した瞬間、血の気が引いた。残っていたのは天城の言葉ばかりで、自分の意思が分からなくなっていた。
香水だけでなく、身につけているものから考え方まで、湊は染められていた。心から天城を愛していると信じていたのに、それさえ自分の本心か分からなくなった。恐怖が芽生え、湊は天城に別れを告げた。それが昨年の初雪の日だった。
靴音が意識を引き戻す。天城が湊へ近付いてきた。その度に記憶を引き戻す懐かしい香りが鼻に届く。トップノートのピンクペッパーは湊の人生に新しい刺激を。ミドルノートのジャスミンは初めての濃厚な夜を。ラストノートのアンバーは、甘く縛り付けられる支配を。縫い付けられたように体が固まっている。呼吸が浅くなり、天城の香りが肺を侵していった。
「調香がうまくいっていないんだろう?」
見透かす視線が怖いのに、目が逸らせない。眼鏡の薄いガラス越しに強い瞳が湊を捉えている。
「俺の言う通りにしていればよかったのに」
その言葉が湊を過去に引き込んでいった。膝が震え始める。芯を失ったように力が入らない。崩れ落ちそうに俯くと、天城の手がそれを許さなかった。前髪を掴まれ、無理矢理上を向かされる。
「いっ……」
一瞬の痛みに顔を歪めると、触れそうなほど近くに天城の顔が寄せられた。覗き込まれて視線が逸らせない。
「髪は上げていた方がいいと言ったはずだよね?」
決して声を荒げはしないのに、体の奥まで入り込んでくるような圧のある言葉。自分がとんでもない間違いを犯してしまった気分になる。湊が天城のものだった頃、天城はきちんと髪を上げているのを好んだ。宣伝写真に残っているような隙なく整えられた姿を美しいと愛で、湊もそうあるように努力した。
近付いたせいで余計に天城の香りが強くなる。天城の肌に馴染んだ『Veil』の残り香は思い出したくない記憶まで強引にこじ開けた。
──こうしている君が、一番綺麗だよ。
湊は床に跪き、天城の足の間に顔を埋めていた。頭を撫でられると、地肌までゾクゾクと粟立った。息苦しささえ褒められた喜びが塗り替えていく。
上手にできたご褒美に、上に乗ることを許された。湊は自分で準備を終えたそこに天城を受け入れていった。じんわり苦しくて、甘ったるい快感に満たされる。天城のために動く湊を、強い瞳が満足そうに眺めていた。
──俺だけが、君の魅力を引き出せる。
魔法の言葉がかけられる。思わず溜息が漏れた。
──いい子だね、湊。
天城に肯定されると体に喜びが広がっていった。反り返った胸にたっぷりと『Veil』が垂らされた。わななく体を天城が撫でてくれる。上気した肌の上で強い香りが広がる。天城は湊を抱く度にこうして香りを与えていった。体で覚えなさい、というように。天城の選んだ理想の香りが湊に染み込んでいく。
天城の正しさに応えていれば愛してもらえる。その甘露が欲しくて、湊は全てを捧げていた。恥ずかしいことも怖いことも、天城が必要とするなら湊は望んで叶えた。手を離されたくなくて必死だった。優しい愛の言葉と支配の香りが湊を溺れさせていった。
今なら分かる。自分がどれだけ天城に調香された存在だったのか。
「やめて……」
なんとか口に出せたのは弱々しい拒絶の言葉だった。もう自分はあの頃とは違う。本当の自分を塗り潰され、纏わされていた日々は終わった。やっと一人で立てるようになったと思っていたのに、湊は前髪を掴む手を振り払うことはできなかった。
天城は黙って湊を見つめていた。試すような目が怖い。本当はきっと、昔からずっと怖かった。愛されたいという感情の裏側に、少し間違えれば捨てられるという不安が潜んでいた。ようやく手が離れていく。解放された湊は、自分を守るように咄嗟に身を縮こまらせた。首をすくめて小さくなっていると、頭の上に天城の声が降ってくる。
「香りの好みも変わったんだ。でも、湊らしくないな」
息が止まった気がした。あの頃一番恐れていた言葉が湊の胸に突き刺さる。見放された、と思考より早く頭に浮かんだ。咄嗟に縋るような目を向けてしまう。手を離し、逃れたがったのは湊の方なのに、捨てられるのが怖かった。
天城が作業台の上に目をやった。昔から変わらず使っているレシピノートを見て、不敵に笑う。その表情を見て緊張が走った。湊の中からいまだ消えない残り香が、見つけられてしまった。
「俺がまたプロデュースしてあげようか」
低くなった声が甘やかな響きを帯びる。いい子だと湊を褒めた時の声音だった。思わず瞳が揺れてしまう。罠への誘惑だと分かっているのに、蘇った過去の記憶が湊を弱くしている。
いらない、と言わなくては。拒絶の言葉を出そうとするのに唇が震えて声にならない。勝ち誇ったような天城の目に映る湊は、無意識のうちに昔の顔へ戻ろうとしていた。
「また会いに来るよ。今度は『正しい』答えを用意しておいて」
天城の手がするりと頬を撫でた。触れた肌が、香りが、湊の心を揺さぶる。これだけぐらつかせておいて天城はあっさりとアトリエを後にした。
「っ、は、はぁっ……」
一人きりになった途端、湊は詰めていた息を吐き出した。静寂に息遣いだけが響く。頬がじんと痺れている気がする。作業台に体重を預けて乱れた呼吸を整えようとすると、天城の残り香が入り込んできた。体を支えた手にレシピノートが触れる。天城の求める『正解』がここに記されていた。
慌てて手を引いて胸の前に庇う。いつの間にか両手がひどく冷たくなっていた。このままではまた、戻ってしまう。ようやく天城という檻から抜け出したと思ったのに。ぼやかされた自己の輪郭をなんとか取り戻そうとする。視線を巡らせ、湊を過去から救ってくれる何かを探した。棚の香料瓶には天城の好みを探した日々が封じ込められている。並んだビーカーとフラスコには天城の指示を受ける湊の姿が焼き付いている。どこもかしこも天城の影が残っていた。
過去に沈んでいきかけた瞳が、壁の写真を見つける。優しい木漏れ日。朝日に光る水面。黄と白のかわいらしい、カモミールの花。湊はそこに、安らぎを見つけた。
「悠くん……」
知らず呼ぶ声が漏れた。先程まで調香していた穏やかな香りが戻ってくる。今朝まで感じていた温もりが手の中に蘇った。今は遠いその熱が恋しい。
自分の安心する場所を求め、湊の手は予約サイトへ伸びていた。週に一度しか利用したことのなかった『添い寝屋ぬくもり』に初めて連日の予約を申し込む。幸いにも悠の予定は空いていた。
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