前世乙女ゲームの製作者だった公爵令嬢は「悪役令嬢」と「結婚」は厄介そうなので、憧れの「先生」を目指します

彩多 花音

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スターチスは突として

3-b.人は違う輝きに惹かれる

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 そうか、ひっかかっていたのはこれだったのか。
 わたしはロボットのようなカクカクした動きで苦笑いを浮かべながら例の人物のもとに体を向けた。
「あはは。エリック様何か御用でしょうか。」
「後で会おうって約束したじゃないですか。勝手に帰らないでくださいよ。」
 まさに!かわいい。じゃなくてこんなことされたら断れない。ここは仕方がない。
「ここでもよろしいでしょうか。」
「...、ちょっと移動してもらいます。」
 はぁ、まぁいっか。イケメンの顔を見放題だと思えば何とかなる。
 わたしは頷いた後、フィールに少し休んでいてと指示をした。
 エリック様は少しもじもじした動きをした後、意を決したように声を掛けてきた。
「エーデル嬢、少し失礼します。」
 きゃ!
 目線が高くなったというか浮いているようだった。
「大丈夫でしたか。問題ないようでしたらしっかり掴まっていて下さい。」
 とりあえずぎゅっとエリック様にしがみついた。そして少し怖かったので目をつぶっていた。
 もう大丈夫ですよと言われたのでゆっくりと目を開いた。
 ここはどこ?部屋みたいだけど。それよりもしかして「お姫様抱っこ」なのか。
「何か問題はありませんでしたか?」
 近くのソファに降ろしてもらった。ソファはとてもふわふわだった。きっと高級品なのだろう。
「ここはどこなんでしょうか?」
「ここは、私の執務室です。」
 執務室?って、つまりここは王太子宮の中っていうことなのか!?
「どうしてこんなところに?婚約もしていない小娘がこんなところに入ってもいいのでしょうか?」
「私が連れてきたのですから問題はないです。それより、返事をください。1か月前の婚約の返事を。」
 婚約の返事、どうしよう。適当なこと言って変な空気になってしまうのも嫌だしな。ここは正直に言おう。嫌われてもいいと投げやりな気持ちで正直な気持ちを伝えた。
「わたしには秘密があります。それに先日もお話しした通りわがままな人間です。」
 エリック様はうんうんと頷いてくれている。
「わたしには前世の記憶というのがあるんです。この世界で言う平民でした。わたしはゲームというものを作っていました。」
「ゲームって試合のこと?」
「えっと、いろいろ種類があるんですけど、わたしが創っていたのは音声がある映像を中心に主人公、あ、この場合の主人公っていうのはゲームをする人のことです。色んな選択をしながらハッピーエンドを目指すっていうものです。あ、恋愛がテーマのゲームです。」
 はぁ、全然説明出来なかった。プレゼン能力をもっと上げなくちゃ。プレゼンの技術があれば何かと助かることが起きるかもしれない。
「そしてこの世界が前世のわたしが創っていた恋愛ゲームの世界なんです。」
「主人公って男性?それとも女性?」
「キャロル男爵令嬢が主人公なんです。主人公と恋愛する可能性がある登場人物が5人いてそのうちの1人がエリック様なんです。」
 喋りすぎたかな?つい興奮して話しすぎてしまったかも。
「エーデル嬢はちなみにどんな役で登場するの?」
エーデルわたしは主人公とエリック様の恋愛を邪魔する悪役令嬢です!」
「そっか...、エーデル嬢は私のことが好きだったから邪魔をしたのですか?」
「まぁ、婚約者だったので、ね。」
 でも今はエリック様と婚約していないから悪役令嬢にならない。はず。原作通りにいかなければの話だけどね。
「そっか、でもそれはあくまでゲームの中の話なんだよね。じゃあ可能性あるよね。エーデル嬢、いえエーデル、私と婚約していただけませんか。貴女が抱える不安を私にも持たせてください。なんなら全部持たせてください。」
 え!?エリック様さっきの話聞いてたよね。こんなどこから来たかもわからないようなわがまま人間に婚約を申し込む人間なんているの!?
 ※エリックがいます。
「婚約の話ありがとうございます。ですがわたしはエリック様に全て持たせることなんてできません。身勝手な人間はだれかにたくさん迷惑をかけたと思います。ですからこれからわたしは今までしてきたこと懺悔し謝罪し償わなくてはいけないんです。」
「懺悔」、謝罪、償い?そっれて全部ゲームのエーデル嬢なんでしょう。だったらしなくてもいいのでは。」
「確かにそういう意見もあるかもしれません。ですが、公爵令嬢として新たな『生』を受けた以上前世の分も合わせて出来ることは全部したいんです。」
「わがままだよ。私のこと無視して。あの時、婚約の挨拶に行ったとき、私は一目惚れをしたんです。貴女が優しく『リー様』と言ってくれた時、とても暖かい気持ちになりました。そしてその時貴女を人生のパートナーにしたいと思いました。」
 リー様。前世のわたしがエリック様のことを呼ぶときはいつも敬愛の念を込めて呼んでいたっけ。懐かしい。もしかしたらわたしが言ったその言葉がエリック様に届いたのかもしれない。
「わたしもエリック様を好きなのかもしれないと思ったことがありました。でもその気持ちは前世のわたしが創ったからかもしれません。」
「でしたら、私と婚約してくれませんか?わがまま同士、『愛』がわかりきっていないもの同士として。最高のパートナーになれると思います。いかがでしょうか?」
「よろしくお願いします。のパートナー様。」
 直感でこの人となら未来を楽しいものに出来ると思った。あの時のエーデルが言っていた「婚約は1つの未来に過ぎない」という言葉が脳裏をよぎった。わたしってバカだ。婚約するとゲームと同じ未来になるかもとか考えてしまった。そんなこと誰にも分らないのに。
 わたしたちは握手をした。お互い晴れやかな笑顔を浮かべている。「契約成立」が今の状況と合っているだろう。エリック様とはいい未来を創れそう。

 あの後、外を見ると夕日がこの世で一番なのではというくらい眩しく輝いていた。

 エリック様に瞬間移動魔法で馬車のところへ送ってもらった。もちろんで。恥ずかしい///
「ありがとう、。」
「こちらこそありがとうございました。あ!エリック様襟が。」
 襟を整えるふりをして耳元でそっと囁いた。
「エリック様は素敵です。」
 エリック様は夕陽に負けないくらい頬を紅く染めていた。
 馬車に乗る前、エリック様から「エーデルも素敵ですよ。」と言われた。今度はこちらが頬を紅く染める番だった。
 こんな不意打ちずるいです。パートナー様。
 夕陽ってこんなにも未来を照らしてくれるんだ。今まで生きてきた中で一番眩かった夕陽だった。
 その後、フィールに質問攻めされるのはお決まりだった。
 あの夕陽みたいに未来を輝かせますから!
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