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スターチスは突として
?.小さな花束をお届けしましょう
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外を見れば布のように、折り紙のように一色に広がる水色の空。
後ろを見れば慣れた手つきで飴色のような美しい液体をティーカップにそそぐフィール。
手元を見れば......特にない。
きっと今日はいつもと同じようにのんびりとした一日が過ぎるだろう。そう思いながら一口紅茶を飲む。あぁ優しい味。
「エーデル様。本日は何をなさるのですが?」
「う~ん、特に決めてないんだよね。なんていうか外でお茶する気分じゃないし。ってえっと、あ、そうだ! 今日は花屋に行きたいな。どうかしら。」
「かしこまりました。すぐにご用意させていただきます。」
フィールは物音を立てずに部屋を出て行ってしまった。フィールだけじゃなくてこの屋敷の人みんな足音ないんだよね。忍者なのか、浮いているのか、わたしの耳が悪いのか。
考え事をしているうちに服が運ばれ、髪を整えられあっという間に外出Ver. エーデルが完成してしまった。
公爵家なら花屋になんか行かなくても呼べば来るだろう。でも花は花屋で見るほうが楽しいし、気分転換になるだろう。
そうして馬車に乗って少し経って花屋や飲食店のある商店エリアに到着した。
ここに来るのはいつぶりなのだろうか。以前のエーデルは来たことはあるのかな? 記憶が曖昧でよくわからない。最近記憶がよく混ざってはっきりと思い出せないことが増えたような。
ここには本当に多くの人がいる。赤ちゃんからおじいさんおばあさんまで。そしてどこを見渡しても、よくあるファンタジー作品にありそうな衣服がボロボロでわたしが想像しても足りないくらい辛そうな人を見ない。もしかしたらこの裏側にいるかもしれないと思ったが、先日の夕食でお父様がよくこのエリアに足を運び支援をしていると言っていた。そしてこのエリアにはお父様の部下の方がたくさんいて随時報告しているので悪事を事前に阻止しているそうだ。そして支援と言ってもあくまで一部だけ。少なくても苦しさは変わらないし、多くてもお金に溺れてしまうから節度をわきまえた支援をしているとも言っていた。前世では経済の勉強をしていなかったから少し反省。わたしもちゃんとした貴族として、人間として生きていけるよう帰ったら勉強もっとしよう。
それより花屋は?
「花屋はこの先の角を曲がったところみたいですよ。」
ナイスフィール! 危なく通り過ぎるところだった。こういうところも気を付けていかなくちゃ。
角を曲がると目に飛び込んできたのは、「天国」だった。
赤、青、黄、緑、白、ピンク、オレンジ......。それだけじゃない一言で例えることのできない鮮やかで優しい花たちがわたしに微笑んでいた。
「店主。ここには素敵な花があるのですね。きっとここの花たちがこのエリアと人たちを明るいものにしているのですね。」
「こ、こりゃどうも。ところで花は買うかい? 今なら当店特製ブーケをおまけしちゃうよ。」
「ありがとうございます。では、店主のおすすめは?」
ここはプロに任せるのが一番だろう。なんというかわたしにはセンスがない気がする。
「うーん、そうだな。ちなみに花は誰かに送るのかい。」
「いえ、部屋に飾ろうかと。」
「そうか、そこのシルバーのお嬢さんは何がいいと思う。」
突然の店主の振りにフィールは少し慌てている。あの時見たい。わたしがエーデルとして目を覚ました時の慌て方と似てる。懐かしいな。あの頃は慣れないことがいっぱいで自分のことで手いっぱいで。今も一緒か。
「でしたら、こちらの白くて丸い花を。」
フィールが選んだ花は「スズラン」だった。
「お、いいセンスだね。せっかくだしブラウンのお嬢さんも何か選んでくれないかい。」
今度はわたし? それじゃあ、この花にしよう。
「この、花びらがたくさん重なった黄色の花を。」
「これは、ラナンキュラスだね。ちょいと待ってな。すぐに作ってくるよ。」
そう言うと店主は店の奥に消えていった。
それにしてもここの花屋は季節関係なく色とりどりの花が咲くのね。わたしも花は季節関係なく咲かせられるけれど、何か秘密があるのかしら。魔法はほとんど貴族しか使えないし、使えてもこれくらいすごいのなら王宮の花職人になっていそうだけれど。
「お待たせ。スズランとラナンキュラス、デンファレのブーケだよ。二人分ね。」
渡されたブーケにはスズランとラナンキュラスの他に紫色の美しい花が輝いていた。
わたしがまじまじとブーケを見つめているうちにフィールがお会計を済ましてくれたみたいでお礼を言って花屋を離れた。
「フィール、これからちょっとの時間だけど自由行動にしない。一時間後にあそこの噴水集合で。あ、時計は持ってるから。」
「かしこまりました。ですがお一人でよろしいのですか。」
「大丈夫大丈夫。心配しないで。フィールも好きなことしてね。」
最近ずっと働いているフィールに少しでも楽しんでほしいのだ。お金はちゃんと持ってきているしこのエリアについても知るせっかくのチャンス。
フィールはしぶしぶ了解してくれて噴水でわたしたちは別れた。
そろそろ一時間だと思い、噴水に来てみたがフィールらしき人は見つからなった。
時計をちらちらと見ながらフィールを待つ。きっとお買い物が長引いているのだろう。楽しんでくれているのならそれでいいや。
結局三十分経ってもフィールが来ないので、少し不審に思い聞き込みをしてみることにした。
「この近くで銀髪のわたしより少し背が高い女性を見ませんでした?」
「銀髪の人ならあっちのペンダント屋で見たよ。」
お礼を言い、教えてもらった通りペンダント屋に向かった。
フィールがペンダントを見ているのなんて不思議な気分。いつもおしゃれには興味ないって言ったけれど本当はそういうのがしたいのかな。
ペンダント屋に入ると、そこには色とりどりのペンダントに囲まれた店主とフィールがいた。
「あっ! エーデル様申し訳ありません。もうこんな時間。」
フィールはわたしに気づくとすぐに席を立ち店主にお辞儀をしてわたしのところにやってきた。そしてその勢いに押されて店外に出てしまった。
わたしとフィールは無言で歩いている。周りからは穏やかで楽しい会話が響いていた。
「ねぇフィール。さっきのペンダント屋で欲しいものはあった?」
「いえ。少しおしゃべりし過ぎてしまっただけです。」
フィールは平然と何事もなかったかのように返事をしていたがわたしには何か引っかかった。
「本当に?まだ時間はあるし買い残しがあるのなら買ってきていいよ。」
「本当にありません。帰りましょう。」
少し言い方を強めてわたしは続ける、歩きながら。
「ねぇ! ちゃんと言って。何か心残りがあるんじゃないの。」
「ありませんったら! いい加減にしてください!」
フィールの怒りを交えた声でわたしは今の状況に気づいた。
周りからなんだなんだという目で見られ、わたしたち以外誰もしゃべっていないかった。
申し訳ありません、とフィールから謝罪をされわたしもごめんと返す。
冷静に見てこれは口論だろう。
お互い気まずくなって顔を見ない。最悪な空気の中一人の女性の声が時を動かす。
「そこの銀髪のお嬢ちゃん。忘れものだよ。」
息切れをしながらやってきたのは先ほどのペンダント屋の店主だった。
手には小さな緑色の箱だった。丁寧に白いリボンがつけられている。
「あ、ありがとうございます。わざわざここまで。」
フィールはサッと箱を受け取るとバッグに閉まってしまった。何だったんだろう。
すると先ほどの花屋の店主がやってきてこんなことを言い始めた。
「さっきの紫のデンファレなんだけどね、あれには『お似合いの二人』って意味が込められてるんだよ。ピッタリだろ。」
お似合いの、二人!? 覆わずフィールの顔を見た。それはフィールは一緒みたいで嬉しくて恥ずかしくなる。
すると拍手が沸き上がり、わたしたちが舞台の主役なのではと錯覚してしまう。
「ごめんなさいフィール。わたしがあなたのことを考えずに勝手に話を進めてしまって。」
「こちらこそ申し訳ありませんでした。せっかくエーデル様がわたしのことを気遣ってくださったのにそれを無下にしてしまって。」
「ふふ。お互い様ね。皆さん、わたしたちに仲直りする機会をくださって誠にありがとうございます。ここに来れて本当に良かったです。」
さらに拍手の勢いが増したように感じるのはわたしだけだろうか。
皆さんに手を振りながら馬車のもとに向かう。もちろん感謝の意味を込めて。
馬車に乗る際、一人の方にどこの貴族なのかと聞かれたので、にっこりと微笑んで
「ご挨拶が遅れ申し訳ありません。エーデル・リバランスと申します。」
そのまま馬車に乗り込んだ。
遠ざかるエリアを見つめ、考え事をしていた。
今は学園に在籍しているわけではないからヒロインとは会ったことがない。もし出会ってしまったらわたしはどうなってしまうのだろう。ゲームの知識はあるけれど人生なんてうまくいかないのが当たり前。だからこうして頭を悩ませて未来に備えているんだろう。
空は赤が青空に溶け込んでのびのびとまぶしく輝いていて心が暖められた。
公爵家の手入れが行き届いている、花束のような庭園でフィールの入れた心地よい紅茶を飲む。
今身に着けているドレスはスズランモチーフで、先日商店エリアで買ったスズランの刺繍が入ったリボンを髪飾りにしている。
そして、フィールは胸にペンダントを付けている。先日、そのペンダントはロケットペンダントになっていて、中にはあのラナンキュラスの花びらが一枚入っているのだと教えてくれた。(魔法の力でドライフラワーのようなものにしたらしい)
この世界でフィールに出会えることが出来てよかった。いつかフィールがわたしと出会えて良かったって思ってもらえるような行動をしていこう。
うん、やっぱりいい紅茶にいい景色。
◆◆◆
Merry Christmas!! ということで彩多サンタからの何とも言えないクリスマスプレゼントです。
たまに皆さんが読んでくれる、それだけで最高のプレゼントです。今年一年本当にありがとうございました。彩多は幸せ者です。
後ろを見れば慣れた手つきで飴色のような美しい液体をティーカップにそそぐフィール。
手元を見れば......特にない。
きっと今日はいつもと同じようにのんびりとした一日が過ぎるだろう。そう思いながら一口紅茶を飲む。あぁ優しい味。
「エーデル様。本日は何をなさるのですが?」
「う~ん、特に決めてないんだよね。なんていうか外でお茶する気分じゃないし。ってえっと、あ、そうだ! 今日は花屋に行きたいな。どうかしら。」
「かしこまりました。すぐにご用意させていただきます。」
フィールは物音を立てずに部屋を出て行ってしまった。フィールだけじゃなくてこの屋敷の人みんな足音ないんだよね。忍者なのか、浮いているのか、わたしの耳が悪いのか。
考え事をしているうちに服が運ばれ、髪を整えられあっという間に外出Ver. エーデルが完成してしまった。
公爵家なら花屋になんか行かなくても呼べば来るだろう。でも花は花屋で見るほうが楽しいし、気分転換になるだろう。
そうして馬車に乗って少し経って花屋や飲食店のある商店エリアに到着した。
ここに来るのはいつぶりなのだろうか。以前のエーデルは来たことはあるのかな? 記憶が曖昧でよくわからない。最近記憶がよく混ざってはっきりと思い出せないことが増えたような。
ここには本当に多くの人がいる。赤ちゃんからおじいさんおばあさんまで。そしてどこを見渡しても、よくあるファンタジー作品にありそうな衣服がボロボロでわたしが想像しても足りないくらい辛そうな人を見ない。もしかしたらこの裏側にいるかもしれないと思ったが、先日の夕食でお父様がよくこのエリアに足を運び支援をしていると言っていた。そしてこのエリアにはお父様の部下の方がたくさんいて随時報告しているので悪事を事前に阻止しているそうだ。そして支援と言ってもあくまで一部だけ。少なくても苦しさは変わらないし、多くてもお金に溺れてしまうから節度をわきまえた支援をしているとも言っていた。前世では経済の勉強をしていなかったから少し反省。わたしもちゃんとした貴族として、人間として生きていけるよう帰ったら勉強もっとしよう。
それより花屋は?
「花屋はこの先の角を曲がったところみたいですよ。」
ナイスフィール! 危なく通り過ぎるところだった。こういうところも気を付けていかなくちゃ。
角を曲がると目に飛び込んできたのは、「天国」だった。
赤、青、黄、緑、白、ピンク、オレンジ......。それだけじゃない一言で例えることのできない鮮やかで優しい花たちがわたしに微笑んでいた。
「店主。ここには素敵な花があるのですね。きっとここの花たちがこのエリアと人たちを明るいものにしているのですね。」
「こ、こりゃどうも。ところで花は買うかい? 今なら当店特製ブーケをおまけしちゃうよ。」
「ありがとうございます。では、店主のおすすめは?」
ここはプロに任せるのが一番だろう。なんというかわたしにはセンスがない気がする。
「うーん、そうだな。ちなみに花は誰かに送るのかい。」
「いえ、部屋に飾ろうかと。」
「そうか、そこのシルバーのお嬢さんは何がいいと思う。」
突然の店主の振りにフィールは少し慌てている。あの時見たい。わたしがエーデルとして目を覚ました時の慌て方と似てる。懐かしいな。あの頃は慣れないことがいっぱいで自分のことで手いっぱいで。今も一緒か。
「でしたら、こちらの白くて丸い花を。」
フィールが選んだ花は「スズラン」だった。
「お、いいセンスだね。せっかくだしブラウンのお嬢さんも何か選んでくれないかい。」
今度はわたし? それじゃあ、この花にしよう。
「この、花びらがたくさん重なった黄色の花を。」
「これは、ラナンキュラスだね。ちょいと待ってな。すぐに作ってくるよ。」
そう言うと店主は店の奥に消えていった。
それにしてもここの花屋は季節関係なく色とりどりの花が咲くのね。わたしも花は季節関係なく咲かせられるけれど、何か秘密があるのかしら。魔法はほとんど貴族しか使えないし、使えてもこれくらいすごいのなら王宮の花職人になっていそうだけれど。
「お待たせ。スズランとラナンキュラス、デンファレのブーケだよ。二人分ね。」
渡されたブーケにはスズランとラナンキュラスの他に紫色の美しい花が輝いていた。
わたしがまじまじとブーケを見つめているうちにフィールがお会計を済ましてくれたみたいでお礼を言って花屋を離れた。
「フィール、これからちょっとの時間だけど自由行動にしない。一時間後にあそこの噴水集合で。あ、時計は持ってるから。」
「かしこまりました。ですがお一人でよろしいのですか。」
「大丈夫大丈夫。心配しないで。フィールも好きなことしてね。」
最近ずっと働いているフィールに少しでも楽しんでほしいのだ。お金はちゃんと持ってきているしこのエリアについても知るせっかくのチャンス。
フィールはしぶしぶ了解してくれて噴水でわたしたちは別れた。
そろそろ一時間だと思い、噴水に来てみたがフィールらしき人は見つからなった。
時計をちらちらと見ながらフィールを待つ。きっとお買い物が長引いているのだろう。楽しんでくれているのならそれでいいや。
結局三十分経ってもフィールが来ないので、少し不審に思い聞き込みをしてみることにした。
「この近くで銀髪のわたしより少し背が高い女性を見ませんでした?」
「銀髪の人ならあっちのペンダント屋で見たよ。」
お礼を言い、教えてもらった通りペンダント屋に向かった。
フィールがペンダントを見ているのなんて不思議な気分。いつもおしゃれには興味ないって言ったけれど本当はそういうのがしたいのかな。
ペンダント屋に入ると、そこには色とりどりのペンダントに囲まれた店主とフィールがいた。
「あっ! エーデル様申し訳ありません。もうこんな時間。」
フィールはわたしに気づくとすぐに席を立ち店主にお辞儀をしてわたしのところにやってきた。そしてその勢いに押されて店外に出てしまった。
わたしとフィールは無言で歩いている。周りからは穏やかで楽しい会話が響いていた。
「ねぇフィール。さっきのペンダント屋で欲しいものはあった?」
「いえ。少しおしゃべりし過ぎてしまっただけです。」
フィールは平然と何事もなかったかのように返事をしていたがわたしには何か引っかかった。
「本当に?まだ時間はあるし買い残しがあるのなら買ってきていいよ。」
「本当にありません。帰りましょう。」
少し言い方を強めてわたしは続ける、歩きながら。
「ねぇ! ちゃんと言って。何か心残りがあるんじゃないの。」
「ありませんったら! いい加減にしてください!」
フィールの怒りを交えた声でわたしは今の状況に気づいた。
周りからなんだなんだという目で見られ、わたしたち以外誰もしゃべっていないかった。
申し訳ありません、とフィールから謝罪をされわたしもごめんと返す。
冷静に見てこれは口論だろう。
お互い気まずくなって顔を見ない。最悪な空気の中一人の女性の声が時を動かす。
「そこの銀髪のお嬢ちゃん。忘れものだよ。」
息切れをしながらやってきたのは先ほどのペンダント屋の店主だった。
手には小さな緑色の箱だった。丁寧に白いリボンがつけられている。
「あ、ありがとうございます。わざわざここまで。」
フィールはサッと箱を受け取るとバッグに閉まってしまった。何だったんだろう。
すると先ほどの花屋の店主がやってきてこんなことを言い始めた。
「さっきの紫のデンファレなんだけどね、あれには『お似合いの二人』って意味が込められてるんだよ。ピッタリだろ。」
お似合いの、二人!? 覆わずフィールの顔を見た。それはフィールは一緒みたいで嬉しくて恥ずかしくなる。
すると拍手が沸き上がり、わたしたちが舞台の主役なのではと錯覚してしまう。
「ごめんなさいフィール。わたしがあなたのことを考えずに勝手に話を進めてしまって。」
「こちらこそ申し訳ありませんでした。せっかくエーデル様がわたしのことを気遣ってくださったのにそれを無下にしてしまって。」
「ふふ。お互い様ね。皆さん、わたしたちに仲直りする機会をくださって誠にありがとうございます。ここに来れて本当に良かったです。」
さらに拍手の勢いが増したように感じるのはわたしだけだろうか。
皆さんに手を振りながら馬車のもとに向かう。もちろん感謝の意味を込めて。
馬車に乗る際、一人の方にどこの貴族なのかと聞かれたので、にっこりと微笑んで
「ご挨拶が遅れ申し訳ありません。エーデル・リバランスと申します。」
そのまま馬車に乗り込んだ。
遠ざかるエリアを見つめ、考え事をしていた。
今は学園に在籍しているわけではないからヒロインとは会ったことがない。もし出会ってしまったらわたしはどうなってしまうのだろう。ゲームの知識はあるけれど人生なんてうまくいかないのが当たり前。だからこうして頭を悩ませて未来に備えているんだろう。
空は赤が青空に溶け込んでのびのびとまぶしく輝いていて心が暖められた。
公爵家の手入れが行き届いている、花束のような庭園でフィールの入れた心地よい紅茶を飲む。
今身に着けているドレスはスズランモチーフで、先日商店エリアで買ったスズランの刺繍が入ったリボンを髪飾りにしている。
そして、フィールは胸にペンダントを付けている。先日、そのペンダントはロケットペンダントになっていて、中にはあのラナンキュラスの花びらが一枚入っているのだと教えてくれた。(魔法の力でドライフラワーのようなものにしたらしい)
この世界でフィールに出会えることが出来てよかった。いつかフィールがわたしと出会えて良かったって思ってもらえるような行動をしていこう。
うん、やっぱりいい紅茶にいい景色。
◆◆◆
Merry Christmas!! ということで彩多サンタからの何とも言えないクリスマスプレゼントです。
たまに皆さんが読んでくれる、それだけで最高のプレゼントです。今年一年本当にありがとうございました。彩多は幸せ者です。
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