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8.しっぽ。
しおりを挟むなんでキスなんて!?
「んぅっ!?」
しししししし舌が入ってる!?
「ぷはっ」
ようやく解放してもらえた。
「日常の感情の制御で出たフェロモンも、どやらブレスレットのおかげでなんとかしてきたようだね」
「へ?」
「今じゃそれがないから、すぐにフェロモンが散漫する」
また俺出しちゃったのか。
「今の軽い食事で髪色も戻った。ったく、厄介な桃だなぁ」
キスが軽い食事? フェロモン食べてくれたのか。
「やっぱり早急に槐の木を見つけないと」
「・・・ないと?」
「最悪鬼の性奴隷だな。男なら妊娠しないしヤリ放題でそのまま殺されるね」
先生にもうすがりついて、思い切り肩をガンガン揺らした。
「ぜんぜいいいいいいい! なんどがじでよぉぉぉぉ!!」
もう泣くしかない。そんな人生嫌だ。
「槐の木?」
ふと友樹が告げる。
「知ってるのか?」
「あぁ。ってか、おれんちの実家に生えてるけど」
思わず先生と視線が重なった。
「友樹ぃー! 友よぉーっ!」
今度は友樹にしがみついた。
「な、なんだよ今度はァよぉ!?」
友樹に事情を説明した。
形勢逆転の状況になった。
「はぁ~ん? なるほど。で? 最上位の鬼様の欲しいものが、おや? おれの家に? こりゃぁすげぇなぁ? えぇ?」
やっぱり。
「いけ好かない。別の所で探そう」
腕を取られた。先生は歩き出す。
「えええ!?」
俺は踏みとどまる。
「先生!」
「なんだい」
「俺、ずっと気を循環させるの大変なんだよ! 辛いわけ! またこうやってフェロモン出しちまうっての!」
「オレがさっきみたく食べてあげるからいいでしょう」
「いや男嫌いの先生に迷惑かけたくないし! 他の鬼さんにも。だから俺は友樹の実家に行くから!」
腕を掴む力が強くなる。
「オレよりそのイヌッコロを選ぶのか」
「選ぶ? 最優先の話だよ。先生のこの大切なブレスレットもずっと借りてるわけにはいかないし、また吹っ飛ぶかもしれない。ほんと、ようやく分かったんだ、俺、やばい奴だってさ」
先生がブレスレットくれる前は、気の循環をして鎧にしてても、周りの鬼達が泥酔して・・・いやあれは薬でもやってハイになってるかのような、そんなおかしな行動を取り始めたんだ。俺の、俺のフェロモンは相当にヤバい。桃源郷に帰るか? いや帰れない。帰っても居場所がない。あっちには妹の陽菜がいる。あいつの足枷にもうならないと決めて、家から出たんだ。
「普通の、大学生活が送りたいだけなんだ」
「・・・・・・」
先生の俺を掴む手が離れた。
「好きにすればいいよ」
離してくれたけれど。
「先生は!? 来てくれないのかよ!?」
肯定。と背中越しに手を振ってそのまま去っていった。かなりショック。
「うぅ~先生の馬鹿~」
俺の肩に満面の笑みの友樹の手が乗る。
「ま、このおれに任せなさいよ」
「本当かよ~。俺マジに本気に悩んでるんだからな!?」
「安心しろ」
にかっと犬歯がまた光る。
「おれんち、手作りの装飾品取り扱ってんだよ」
「え?」
「アクセサリーとか勿論な。職人一族なわけ。だからブレスレットなんて朝飯前なわけ」
「マジか! 凄い!」
なんたる縁か。
「良かったぁなんか縁感じる! おまえと出会えて本当に良かった!」
あ。
突然友樹の頭部に犬耳が生えた。ピクピクと動いて可愛い。
「そ、それほど、でもねぇ、よ」
こっ、これは! 照れている!?
「いやほんと! で、あのすぐに作って欲しいんだけど、やっぱり自分でお願いしに行きたいんだけど」
「あ、あぁ。明日土曜日だし、どうせなら泊まりで遊びに・・・来るか?」
「行く! 行きたい!」
なんというチャンス! 好機!
あ。
次に大きなもふもふの尻尾が出て来た。
「ースッーッ、そ、そうか。隣町だし車で一時間ぐらいだ。迎えに行く」
「え、いいのか?」
「あ、あぁ。だから今日このままおまえんち送ってくわ、家知りてぇし。んー朝九時頃どうだ?」
「ヨロシクオネガイシマス」
深々と頭を下げる他ない。
「ん」
ゆらゆらと尻尾が揺れる。
「あの」
「あ?」
「尻尾、触ってもいい?」
「!? マジかよ出てやがる嘘だろ!」
あれ? 無意識に出るもんなのこれ。
「触ってもいい?」
「え、あ~? 別にいいけど」
「けどなに」
「その、気持ち悪くねぇのかよ」
「は? このモフモフの何処が!? 誰だよそんなこという奴! 気が知れないね! えぇじゃぁ失礼して・・・」
少しごわついているけれど。
「うわぁ・・・ごわもふぅ。すんすん」
「てめぇは犬か! 嗅ぐな!」
「えー? なんでだよ? 嗅ぐだろ普通」
「・・・そうなのか?」
「犬の姿になれんの?」
「あぁ」
「この感じだと洗い足りてないな? 今度洗ってやるよ」
「はぁっ!?」
「安心しろ。俺、桃源郷で動物達に囲まれて生活して来たから。洗うの上手いぞ」
「・・・なんだそりゃ。はい終わり」
あぁ、尻尾が引っ込んでしまった。
「帰るぞ。家、教えろ」
「あーうん、ここから近いけどね。あ、夕飯食べてくか? お礼の一部だけど、何食べたいんだ?」
「マジか。ん~カレーとお好み焼きと親子丼と豚カツ食ぃてぇな」
「お、おぅ。スーパー、寄って下さい」
そりゃこんなに大きくなるわな。
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