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18.いざ、先生のご実家へ
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高倉家は孤島にあるという。地図に載ってない「鬼師島」。車で桃恵海岸に向かい、そこにある鬼見公園に駐車して、船に乗るという。でも今回はてっとり早くジェットスキーで行くと言うので。パーカーに海水パンツの、バリバリ遊びに行く気持ちで赴いた。
「鬼見公園って・・・まさかと思うけど」
「あぁ、鬼が出るから。人間は来たがらない。だからここは鬼師島との安置地点にできた」
「な、なるほど」
こりゃ故意的に人間に鬼を見させたんだろう違いますかえぇ? わーるい鬼さんだわ~。車を降りて、海を眺めた。
「こっちだよ」
「あ、はい」
公園のぞうさんの滑り台の裏にある、何かしらのレバーの先生は引いた。
「・・・・・・」
するとぞうさん滑り台の下から階段が現れる。
「行こうか」
「・・・ぇ、えふん。はい」
も、もう驚かないよ? べ、別に男のロマンなんか感じてないよ? 滑り台がこ、こんなかっちょぃマジすっげぇなんて感動してないから!
リュックを背負って、その地下に向かう。地下には海を移動する手段のあらゆる乗り物と・・・、兵器・・・えふん知らないものが沢山あった。きっと、俺は知らない方がいいかもしれないうんきっとそうに違いない。
「水上バイク、乗ったことある?」
「な、ない!」
わくわく。
「だよね。怖い?」
「乗って見ないと分かんないけど超楽しみ」
先生がふにゃりと笑う。
初めての水上バイク。
「おわっ、おわ」
先に乗った先生の手を借りて、バイクの揺れにバランスを取る。
「オレの腰に手を回して」
「はい」
「ぎゅっと抱き締めて」
「はい」
「そう。絶対に離さないようにね」
「ふぁい!」
エンジンがかかる。先生がサングラスをキラーン☆ と装着する。
おいおいおい外見から入るタイプだったの先生。まぁ、カッコいいけどさ!
水上バイクが発進した!
「今日は波が落ち着いてるからそう揺れずに行けそうだよ」
「いぃぃいやっほほほほほほぉい!」
風が心地いい。水もそんなに冷たくない。
「ゴーゴー! 先生スピードあげて!」
「人の話聞いてないね」
「えー? 何ー?」
モーターの音で先生の声があんまり聞こえない。
「行くよー!」
「おっけーいけー!」
初めてのジェットスキーは凄く楽しかった。あっという間に目の前に二本の尖った山が聳える、大きな雲に覆われた島が見えた。
「そ、存在感・・・在り過ぎ」
「そう?」
地図に載ってない島。というより。
「地図に載せちゃいけないって感じラスボスおるやん絶対」
「あはは」
無事に到着。先生は水上バイクを砂浜に置く。浜辺に誰かが待っていた。
「おかえりなさいませ坊ちゃん」
スーツ姿のお爺さんが頭を垂らす。
ぼ? ぼぼぼぼぼっちゃん?
「あぁ。董一郎待った」
砂浜に降りようとした所を止められた。ひょいっと俺を右肩に抱き上げる。
「君まで足を汚すことはないからね。このまま車に乗ろう」
「・・・紳士過ぎそしてこっちは恥ずかしい」
「そう? 普通だよ」
「いや恥ずかしい言うとるやん聞いてる?」
先生は裸足でスタスタと歩き、道路へ向かう。いや人の話を聞けよ。
あれ? 先生の足が汚れてないのは何故だ。
しかも。向かってる先には見たことの無い長い白い車が停車しているではないか。これはもしかしてもしかしなくても。
「こっここっこここれは、あの、リムジン・・・でしょうか」
「あぁ。大袈裟に。鬼定、オレはベンツで良かったのになぁ」
リムジンに乗せられた。いやもうこれ車じゃないよ? 部屋だよこれ。
「いえいえ、坊ちゃんの大切なお方をお迎えをするのでしたら、やはり最高級のものでないと」
「鬼定、この子は一般人なんだ。そのレベルで合わせてあげないとほら、衝撃受けてるでしょう」
「これはこれは・・・ほっほっほ」
ほっほっほじゃないんだよな。
この島、一見森で囲まれてるけど、森を越えると凄い整備されてて一つの都会になってる。高層ビルばっかり。しかも皆、角を堂々と出して鬼の姿のままだ。
「そうだった。ここは鬼の島だった」
「この島に桃を連れて来ることはまぁ、そういうことになるから。君には昨晩マーキングを施していたし、貞操帯も新調させたし、ある程度大丈夫だと思うけど」
ううん。確かに。明日お出かけで疲れるから早く寝ようとエッチ禁止にしようと提案したのに却下された。それどころかねちっこく丁寧にしつこいエッチだった。また体中、中も外もに先生の精液を浴びせられた。何? これが普通なの? 鬼だから? エッチな経験値だけ上がっていくんだけど大丈夫そ?
「? そういうことってどういうこと?」
「言わせる? 君はオレのものってこと。付き合ってるんだからオレ達」
なんか、先生開き直ってる気がする。
「先生、やけに俺に好かれてる自信あるよね?」
先生のことは頼れるし信頼してるし優しいし、好き、だけど。好きだって言ってないし。
「まぁね」
何処から来るんだろうこの自信。やっぱり顔がいいと自意識過剰になるのかな。
・・・鬼だから?
ケッ。
「さ、着いたよ」
窓の外を見ると。
「え」
まるで別世界。本でしか見たことのない真っ白な宮殿が目に映る。
「おかえりさないませ坊ちゃま」
沢山のメイドさんと執事さんに囲まれながらのウォーク。
「おかえりなさいませ統吾様」
赤髪ベリーショートの美人な鬼さんが俺達の前で大きく頭を垂らした。
「結鬼。この子に着替えを」
「畏まりました」
「董一郎」
「は、はい」
「着替えてまたここに集合だ、いいね」
頭をいい子いい子された。まるで子供扱い。
先生は鬼定さんと何処かへ行ってしまった。
「董一郎様」
「ひゃいっ」
「どうぞこちらへ」
「あ、は、はい」
迎賓室と明記されたそれはもう綺麗過ぎる超高級部屋に通された。もう高級しか言えん。言葉のボキャブラリーが無さ過ぎて泣ける。
「こちらがお召し物です」
高そうな紺色とまでいかないでも何処か青々しい色の和服がラックに掛けられていた。
「あ、ありがとうございます」
「シャワー室がございますのでご利用下さい。お着換えが終わられましたら、この部屋を出て左にごさいます先ほどのホールにて、統吾様がお待ちです」
「わ、分かりました」
「それでは、失礼致します」
ドアが静かに閉められた。
大体どれくらいで行った方がいいのだろう。俺もまだまだ世間様を知らないもんだ。とりあえず大理石の美しいシャワー室でシャワーを浴びて体を綺麗にした。
「いつサイズ測ったんだよ」
和服も文句なしのピッタリサイズ。気が付けば大体十五分くらい経過していた。こんなもんだろう。
部屋を出て左手に進む。近くで良かった。元来た道を戻るだけ。
玄関ホールに到着したけど、知り合いがいない。
いるのは俺と同じ色の和服を着た、金髪の美青年だけ。その美青年と目があった。綺麗な見たことの無い紫電の瞳をしていた。切れ長の目がギロリ、といきなり睨まれた。
「何見てんだよ」
おっと、ガラが悪い感じ。
「ご、ごめん。凄い瞳の色が綺麗で見惚れてた」
すると、目を丸くし、耳が真っ赤になった。
「おまおまおまおまっ! あいつと同じこと言うんじゃねぇーよ!?」
はて。あいつ、とは?
「おれと同じ衣装だな。つーことは、おまえは鬼倉のツガイか」
「ツガイ?」
「ツガイだろ」
ツガイって夫婦ってことだよな?
「いや意味は分かるけど、俺と先生はそんなんじゃないよ」
「はぁっ!?」
「今日は急遽作って貰ったブレスレットのお礼を言いに来たんだけど」
「・・・理由は何であれ騙されたな? 今日は鬼頭と鬼倉当主のツガイお披露目会だぞ。ったくおれは嫌だって言ってんのに玲の野郎・・・」
「・・・・・え」
ツガイオヒロメカイ? れい?
「え? 玲? 玲さんのこと?」
「あぁ」
「じゃぁあんたが玲さんがゾッコンラブの恋人!?」
「ぞっこんらぶってなんだよ!」
めっちゃ真っ赤やん可愛いな。
「やぁやぁおまたせ~」
この声は。
「玲っ」
どう見ても美女やないかい。長い黒髪を右肩に結い、真っ赤な口紅と紫色の着物を着ていた。あ、でもよくよく見ると背丈がある。
「んも~まどか。乱れてるよ」
まどかって言うのか。金髪美青年の和服を直す美女はまるで母親のよう。
「人前で止めろ馬鹿っ」
「あら。貴方統吾君の」
「こ、こんにちは」
「あ、玲っ。こいつ鬼倉のツガイって知らずにここへ来たってよ!? いいんかっ!?」
「あらあら。でも見てまどか。彼、統吾君の指環、してるじゃない」
指環? この人差し指の? あ、まどか君もしてるな、人差し指に。
「あっ、ほんとだなんだよ。指環、してんじゃん」
「え? あ、あぁ。これは御守りで」
まどか君の目が瞬く。
「は? 御守り? 何御守りて」
「えぇ~と話すと長くなるんだけと、ある女性からの侵食を防ぐための」
「はぁ? よく分からんけど何か。おまえ、その指環の意味、知らねぇで付けれてんのか?」
「付けれてる? え、普通じゃ付けれないのか?」
「おま、えー。質問を質問で返すなや。この指環はなもがっ」
「シーッ。あっちはあっちの関係があるんだから。まどかには関係ないでしょ? 私嫉妬しちゃうから」
「気になるじゃん!? えぇ? 御守りじゃないの!?」
「うふふ。これだけは教えてあげる。この指環は普通じゃ付けられないのよ。それに気が付けば、人としてまた成長できるわよ」
「人として!?」
何その意味深!?
「さ、行きましょまどか」
「あ、あぁ」
まどか君が俺を一瞥する。
「じゃあな、頑張れよ」
「何を!?」
二人はラブラブと行ってしまった。この指環の意味は何なのか。鬼の角で作られていて、友樹曰く第二の性感帯だって。
それが何だ!? もうただの骨じゃん。ん? 待てよ。つか骨の指輪って・・・よく考えたら怖くね? オカルトやん。
「耳はむがいいな・・・」
勿論犬の。
「董一郎」
「ひゃいっ!?」
振り返ると。
「せ・・・」
これまた雰囲気の変わった先生にしては派手目の紅と橙色の和服だ。でも。
「かっこいい・・・」
「・・・え」
「はっ、いや別に。先生はイケメンだし顔面偏差値高すだから何でも似合うんだけどさ。そういう派手目のもいいよみょ」
人が喋ってるのに急に頬を両手で包まれた。
「大丈夫?」
「? なにぎゃ?」
「オレを褒めるなんて。何処か悪いのかな」
「ひつれいは! いつもおもってはす!」
「嘘」
「はれ? いってないっへ?」
言って無かったっけ?
「言ってない聞いてないなにそれ初耳なんだけど」
ようやく頬が解放された。
「俺モテたことないし。正直先生が隣にいると俺の存在が霞むから嫌なんだけど」
ペシッと叩かれた。
「君はオレの恋人でしょう? 堂々としてないでどうすんだい?」
「こっ」
「まぁ、君の可愛さはオレだけ知ってればいいんだけどね。さ、行こうか」
普通に手を繋がれる。
「何処に?」
「君のお披露目パーティーだよ」
「!?」
まどか君が言っていた通りだ。
「ブレスレットのお礼を言いに来たんじゃなかったのかよ!」
「それも兼ねての話を合わせただけだよ。そうじゃないと君、絶対に来ないでしょう」
「当たり前だっつーの」
「ほら」
飛びきり大きな赤い扉が待ち構える。その前に玲さんとまどか君がいた。
「遅いわよ始まるわよ」
「あぁ悪い」
扉の中から声がする。
「え? え?」
バシッとまどか君にお尻を叩かれた。
「腹ぁ括れ」
「なんで!?」
大きく扉が開かれた。
『それでは盛大な拍手を! 鬼頭玲様とそのつがい、桃貝まどか様と』
聞いてない聞いてない聞いてない!
先生が俺の汗ばむ手をぐいっと引っ張る。
「スマイルスマイル」
「できるか!」
『鬼倉統吾様とそのツガイ、羽桃李董一郎様の御入場です!』
無。
ただ、それのみ。
ようやく、ようやく悪夢から解放された。
美味しいご飯が、立食で、ゆっくり食べられなかった。
先生が、知らない先生だった。
そう言えば、先生のこと、何も知らない気がする。今日はお披露目で、明日、先生のご両親と会うことになっているらしい。完全に、結婚しますモードなんだけど。嫌じゃないんだけど、ただ流されている感じで、それはいけないんじゃないかと思う。
「董一郎」
疲れてベッドへダイビング、ふて寝する俺に、鬼倉家次代当主で在らせられる先生に呼ばれた。
「・・・なんでしよう」
「ふふ、疲れた?」
シーツに顔を擦りつけながら先生を睨み付けた。
「あたっりまえだろっが」
「今適当にご飯貰って来たけど、たべ」
「食べる」
サイドテーブルに色々盛ってくれた皿が視界に入ったので飛び起きた。
「董一郎」
「なに? んむ」
「お疲れの所悪いんだけど」
嫌な予感しかしない。
「無理」
「・・・え」
「無理」
「まだ何も言ってないけど」
「無理」
「何が無理なんだい?」
ナチュラルに腰に回して来る手をちねった。
「これ、これよ、これな? 助平。ご飯食べてるでしょうが」
「食べたら」
「昨晩もその前もその前の前もしたのに!」
ご馳走様でした。後はお風呂に入って寝るだけ。
「今日はあんなに沢山の鬼達に囲まれて。せっかく付けたオレのフェロモンが薄くなってるから」
テーブルにオレンジジュースがあったのでグイッと飲んだ。
「あ」
「ぷはっ」
このカッと来る感じ。
ま、まさか・・・。
オレンジジュースじゃなかったのか!?
「あれ・・・?」
ふわふわして来た。
「あちゃー。お酒、飲んじゃったね」
この、この確信犯めぇ! その言葉が出てこない。
「うぅ~」
一気に眠気が。
「董一郎? え? まさか寝落ち? いやダメだよちょっと」
「・・・・・・」
眠い。このまま眠れると気持ちがいい。
「とうい・・・」
おやすみなさい。
「鬼見公園って・・・まさかと思うけど」
「あぁ、鬼が出るから。人間は来たがらない。だからここは鬼師島との安置地点にできた」
「な、なるほど」
こりゃ故意的に人間に鬼を見させたんだろう違いますかえぇ? わーるい鬼さんだわ~。車を降りて、海を眺めた。
「こっちだよ」
「あ、はい」
公園のぞうさんの滑り台の裏にある、何かしらのレバーの先生は引いた。
「・・・・・・」
するとぞうさん滑り台の下から階段が現れる。
「行こうか」
「・・・ぇ、えふん。はい」
も、もう驚かないよ? べ、別に男のロマンなんか感じてないよ? 滑り台がこ、こんなかっちょぃマジすっげぇなんて感動してないから!
リュックを背負って、その地下に向かう。地下には海を移動する手段のあらゆる乗り物と・・・、兵器・・・えふん知らないものが沢山あった。きっと、俺は知らない方がいいかもしれないうんきっとそうに違いない。
「水上バイク、乗ったことある?」
「な、ない!」
わくわく。
「だよね。怖い?」
「乗って見ないと分かんないけど超楽しみ」
先生がふにゃりと笑う。
初めての水上バイク。
「おわっ、おわ」
先に乗った先生の手を借りて、バイクの揺れにバランスを取る。
「オレの腰に手を回して」
「はい」
「ぎゅっと抱き締めて」
「はい」
「そう。絶対に離さないようにね」
「ふぁい!」
エンジンがかかる。先生がサングラスをキラーン☆ と装着する。
おいおいおい外見から入るタイプだったの先生。まぁ、カッコいいけどさ!
水上バイクが発進した!
「今日は波が落ち着いてるからそう揺れずに行けそうだよ」
「いぃぃいやっほほほほほほぉい!」
風が心地いい。水もそんなに冷たくない。
「ゴーゴー! 先生スピードあげて!」
「人の話聞いてないね」
「えー? 何ー?」
モーターの音で先生の声があんまり聞こえない。
「行くよー!」
「おっけーいけー!」
初めてのジェットスキーは凄く楽しかった。あっという間に目の前に二本の尖った山が聳える、大きな雲に覆われた島が見えた。
「そ、存在感・・・在り過ぎ」
「そう?」
地図に載ってない島。というより。
「地図に載せちゃいけないって感じラスボスおるやん絶対」
「あはは」
無事に到着。先生は水上バイクを砂浜に置く。浜辺に誰かが待っていた。
「おかえりなさいませ坊ちゃん」
スーツ姿のお爺さんが頭を垂らす。
ぼ? ぼぼぼぼぼっちゃん?
「あぁ。董一郎待った」
砂浜に降りようとした所を止められた。ひょいっと俺を右肩に抱き上げる。
「君まで足を汚すことはないからね。このまま車に乗ろう」
「・・・紳士過ぎそしてこっちは恥ずかしい」
「そう? 普通だよ」
「いや恥ずかしい言うとるやん聞いてる?」
先生は裸足でスタスタと歩き、道路へ向かう。いや人の話を聞けよ。
あれ? 先生の足が汚れてないのは何故だ。
しかも。向かってる先には見たことの無い長い白い車が停車しているではないか。これはもしかしてもしかしなくても。
「こっここっこここれは、あの、リムジン・・・でしょうか」
「あぁ。大袈裟に。鬼定、オレはベンツで良かったのになぁ」
リムジンに乗せられた。いやもうこれ車じゃないよ? 部屋だよこれ。
「いえいえ、坊ちゃんの大切なお方をお迎えをするのでしたら、やはり最高級のものでないと」
「鬼定、この子は一般人なんだ。そのレベルで合わせてあげないとほら、衝撃受けてるでしょう」
「これはこれは・・・ほっほっほ」
ほっほっほじゃないんだよな。
この島、一見森で囲まれてるけど、森を越えると凄い整備されてて一つの都会になってる。高層ビルばっかり。しかも皆、角を堂々と出して鬼の姿のままだ。
「そうだった。ここは鬼の島だった」
「この島に桃を連れて来ることはまぁ、そういうことになるから。君には昨晩マーキングを施していたし、貞操帯も新調させたし、ある程度大丈夫だと思うけど」
ううん。確かに。明日お出かけで疲れるから早く寝ようとエッチ禁止にしようと提案したのに却下された。それどころかねちっこく丁寧にしつこいエッチだった。また体中、中も外もに先生の精液を浴びせられた。何? これが普通なの? 鬼だから? エッチな経験値だけ上がっていくんだけど大丈夫そ?
「? そういうことってどういうこと?」
「言わせる? 君はオレのものってこと。付き合ってるんだからオレ達」
なんか、先生開き直ってる気がする。
「先生、やけに俺に好かれてる自信あるよね?」
先生のことは頼れるし信頼してるし優しいし、好き、だけど。好きだって言ってないし。
「まぁね」
何処から来るんだろうこの自信。やっぱり顔がいいと自意識過剰になるのかな。
・・・鬼だから?
ケッ。
「さ、着いたよ」
窓の外を見ると。
「え」
まるで別世界。本でしか見たことのない真っ白な宮殿が目に映る。
「おかえりさないませ坊ちゃま」
沢山のメイドさんと執事さんに囲まれながらのウォーク。
「おかえりなさいませ統吾様」
赤髪ベリーショートの美人な鬼さんが俺達の前で大きく頭を垂らした。
「結鬼。この子に着替えを」
「畏まりました」
「董一郎」
「は、はい」
「着替えてまたここに集合だ、いいね」
頭をいい子いい子された。まるで子供扱い。
先生は鬼定さんと何処かへ行ってしまった。
「董一郎様」
「ひゃいっ」
「どうぞこちらへ」
「あ、は、はい」
迎賓室と明記されたそれはもう綺麗過ぎる超高級部屋に通された。もう高級しか言えん。言葉のボキャブラリーが無さ過ぎて泣ける。
「こちらがお召し物です」
高そうな紺色とまでいかないでも何処か青々しい色の和服がラックに掛けられていた。
「あ、ありがとうございます」
「シャワー室がございますのでご利用下さい。お着換えが終わられましたら、この部屋を出て左にごさいます先ほどのホールにて、統吾様がお待ちです」
「わ、分かりました」
「それでは、失礼致します」
ドアが静かに閉められた。
大体どれくらいで行った方がいいのだろう。俺もまだまだ世間様を知らないもんだ。とりあえず大理石の美しいシャワー室でシャワーを浴びて体を綺麗にした。
「いつサイズ測ったんだよ」
和服も文句なしのピッタリサイズ。気が付けば大体十五分くらい経過していた。こんなもんだろう。
部屋を出て左手に進む。近くで良かった。元来た道を戻るだけ。
玄関ホールに到着したけど、知り合いがいない。
いるのは俺と同じ色の和服を着た、金髪の美青年だけ。その美青年と目があった。綺麗な見たことの無い紫電の瞳をしていた。切れ長の目がギロリ、といきなり睨まれた。
「何見てんだよ」
おっと、ガラが悪い感じ。
「ご、ごめん。凄い瞳の色が綺麗で見惚れてた」
すると、目を丸くし、耳が真っ赤になった。
「おまおまおまおまっ! あいつと同じこと言うんじゃねぇーよ!?」
はて。あいつ、とは?
「おれと同じ衣装だな。つーことは、おまえは鬼倉のツガイか」
「ツガイ?」
「ツガイだろ」
ツガイって夫婦ってことだよな?
「いや意味は分かるけど、俺と先生はそんなんじゃないよ」
「はぁっ!?」
「今日は急遽作って貰ったブレスレットのお礼を言いに来たんだけど」
「・・・理由は何であれ騙されたな? 今日は鬼頭と鬼倉当主のツガイお披露目会だぞ。ったくおれは嫌だって言ってんのに玲の野郎・・・」
「・・・・・え」
ツガイオヒロメカイ? れい?
「え? 玲? 玲さんのこと?」
「あぁ」
「じゃぁあんたが玲さんがゾッコンラブの恋人!?」
「ぞっこんらぶってなんだよ!」
めっちゃ真っ赤やん可愛いな。
「やぁやぁおまたせ~」
この声は。
「玲っ」
どう見ても美女やないかい。長い黒髪を右肩に結い、真っ赤な口紅と紫色の着物を着ていた。あ、でもよくよく見ると背丈がある。
「んも~まどか。乱れてるよ」
まどかって言うのか。金髪美青年の和服を直す美女はまるで母親のよう。
「人前で止めろ馬鹿っ」
「あら。貴方統吾君の」
「こ、こんにちは」
「あ、玲っ。こいつ鬼倉のツガイって知らずにここへ来たってよ!? いいんかっ!?」
「あらあら。でも見てまどか。彼、統吾君の指環、してるじゃない」
指環? この人差し指の? あ、まどか君もしてるな、人差し指に。
「あっ、ほんとだなんだよ。指環、してんじゃん」
「え? あ、あぁ。これは御守りで」
まどか君の目が瞬く。
「は? 御守り? 何御守りて」
「えぇ~と話すと長くなるんだけと、ある女性からの侵食を防ぐための」
「はぁ? よく分からんけど何か。おまえ、その指環の意味、知らねぇで付けれてんのか?」
「付けれてる? え、普通じゃ付けれないのか?」
「おま、えー。質問を質問で返すなや。この指環はなもがっ」
「シーッ。あっちはあっちの関係があるんだから。まどかには関係ないでしょ? 私嫉妬しちゃうから」
「気になるじゃん!? えぇ? 御守りじゃないの!?」
「うふふ。これだけは教えてあげる。この指環は普通じゃ付けられないのよ。それに気が付けば、人としてまた成長できるわよ」
「人として!?」
何その意味深!?
「さ、行きましょまどか」
「あ、あぁ」
まどか君が俺を一瞥する。
「じゃあな、頑張れよ」
「何を!?」
二人はラブラブと行ってしまった。この指環の意味は何なのか。鬼の角で作られていて、友樹曰く第二の性感帯だって。
それが何だ!? もうただの骨じゃん。ん? 待てよ。つか骨の指輪って・・・よく考えたら怖くね? オカルトやん。
「耳はむがいいな・・・」
勿論犬の。
「董一郎」
「ひゃいっ!?」
振り返ると。
「せ・・・」
これまた雰囲気の変わった先生にしては派手目の紅と橙色の和服だ。でも。
「かっこいい・・・」
「・・・え」
「はっ、いや別に。先生はイケメンだし顔面偏差値高すだから何でも似合うんだけどさ。そういう派手目のもいいよみょ」
人が喋ってるのに急に頬を両手で包まれた。
「大丈夫?」
「? なにぎゃ?」
「オレを褒めるなんて。何処か悪いのかな」
「ひつれいは! いつもおもってはす!」
「嘘」
「はれ? いってないっへ?」
言って無かったっけ?
「言ってない聞いてないなにそれ初耳なんだけど」
ようやく頬が解放された。
「俺モテたことないし。正直先生が隣にいると俺の存在が霞むから嫌なんだけど」
ペシッと叩かれた。
「君はオレの恋人でしょう? 堂々としてないでどうすんだい?」
「こっ」
「まぁ、君の可愛さはオレだけ知ってればいいんだけどね。さ、行こうか」
普通に手を繋がれる。
「何処に?」
「君のお披露目パーティーだよ」
「!?」
まどか君が言っていた通りだ。
「ブレスレットのお礼を言いに来たんじゃなかったのかよ!」
「それも兼ねての話を合わせただけだよ。そうじゃないと君、絶対に来ないでしょう」
「当たり前だっつーの」
「ほら」
飛びきり大きな赤い扉が待ち構える。その前に玲さんとまどか君がいた。
「遅いわよ始まるわよ」
「あぁ悪い」
扉の中から声がする。
「え? え?」
バシッとまどか君にお尻を叩かれた。
「腹ぁ括れ」
「なんで!?」
大きく扉が開かれた。
『それでは盛大な拍手を! 鬼頭玲様とそのつがい、桃貝まどか様と』
聞いてない聞いてない聞いてない!
先生が俺の汗ばむ手をぐいっと引っ張る。
「スマイルスマイル」
「できるか!」
『鬼倉統吾様とそのツガイ、羽桃李董一郎様の御入場です!』
無。
ただ、それのみ。
ようやく、ようやく悪夢から解放された。
美味しいご飯が、立食で、ゆっくり食べられなかった。
先生が、知らない先生だった。
そう言えば、先生のこと、何も知らない気がする。今日はお披露目で、明日、先生のご両親と会うことになっているらしい。完全に、結婚しますモードなんだけど。嫌じゃないんだけど、ただ流されている感じで、それはいけないんじゃないかと思う。
「董一郎」
疲れてベッドへダイビング、ふて寝する俺に、鬼倉家次代当主で在らせられる先生に呼ばれた。
「・・・なんでしよう」
「ふふ、疲れた?」
シーツに顔を擦りつけながら先生を睨み付けた。
「あたっりまえだろっが」
「今適当にご飯貰って来たけど、たべ」
「食べる」
サイドテーブルに色々盛ってくれた皿が視界に入ったので飛び起きた。
「董一郎」
「なに? んむ」
「お疲れの所悪いんだけど」
嫌な予感しかしない。
「無理」
「・・・え」
「無理」
「まだ何も言ってないけど」
「無理」
「何が無理なんだい?」
ナチュラルに腰に回して来る手をちねった。
「これ、これよ、これな? 助平。ご飯食べてるでしょうが」
「食べたら」
「昨晩もその前もその前の前もしたのに!」
ご馳走様でした。後はお風呂に入って寝るだけ。
「今日はあんなに沢山の鬼達に囲まれて。せっかく付けたオレのフェロモンが薄くなってるから」
テーブルにオレンジジュースがあったのでグイッと飲んだ。
「あ」
「ぷはっ」
このカッと来る感じ。
ま、まさか・・・。
オレンジジュースじゃなかったのか!?
「あれ・・・?」
ふわふわして来た。
「あちゃー。お酒、飲んじゃったね」
この、この確信犯めぇ! その言葉が出てこない。
「うぅ~」
一気に眠気が。
「董一郎? え? まさか寝落ち? いやダメだよちょっと」
「・・・・・・」
眠い。このまま眠れると気持ちがいい。
「とうい・・・」
おやすみなさい。
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そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
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あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
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