桃李し男は鬼愛し

佐橋 竜字

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22.桃月院

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 なんということでしょう。
「ようこそ」
 俺の前に、銀髪碧眼のポニーテール巨乳女教員らしき、淡い桃色のブラウスに膝上ぴっちり黒スカートの美女が。実にエロスだ。
「我が桃月院に」
 おふ。ボインッと見事なお乳が揺れてます。
「羽桃李董一郎君」
「ふぁ、ふぁい」
 超高級そうな黒革のソファに座らされている俺、ナウ。
「りっちゃぁん♡ オレっちばっちし誘拐しして来たろ~♡ ご褒美ご褒美♡」
 おいおいおいおいおい!? ヤンキー黒塚!? あんたもキャラ変えてくんの止めてくんね!? めっちゃデレデレやん!
「後でな」
「はぁうんっ♡」
 ウインクで一撃やん急所やん。
 あんれ黒塚氏。あんた黒鬼でしたよね? 怖そうなイメージですけどこんなんなんすか。
「申し遅れた。あたしゃこの桃月院院長の桃月・ウィード・律っていうの。まぁ、名前と外見から分かると思うがハーフでね」
「おぉ・・・」
 実にエッチだ。なるほど。これが外の世界の桃の頂か。胸にも二つの素晴らしい桃がごにょごにょ。
「いやぁ、この機会を待っててね。誘拐という形になってしまったけれど申し訳ないわ」
 そうだよね。誘拐は犯罪だよね。
「・・・理由はどうあれ、うちの先生がどうなるかいやどうするか怖いですね」
「なぁに。鬼倉には仮がある。別にすぐにここに来るでしょうね。というかあいつちっともこっちに顔を出しゃしないから、君を餌にちょうどいいわ」
 今餌って言った?
 つか先生を、あの先生を「あいつ」呼ばわりできるって、この人・・・。
「ちっとも君から離れてくれないし、中々コンタクトが取れないしね。強力なブレスレットを付けてるし」
「あ、あぁこの・・・」
 ブレスレット改ね。なんか紐も特注らしいし。
「それで強硬手段を取らせて貰った。この鬼塚は鬼倉よりあたしの方に従順だからね」
「イエスマイレディ」
「・・・・・」
 きっしょ、とか思ってしまったのは言わない。
「えと、でもなんで誘拐を・・・?」
「あぁ、鬼倉正司。君の恋人のお兄さんが桃源郷に向かったから」
「? え?」
 それが俺の誘拐と何の関係が?
「ほーら、修羅場になるでしょう?」
「???」
 修羅場・・・とな?
「えと、俺、先生のお兄さんと面識が無いんですが」
 桃月さんはにっこり微笑む。
「貴方の妹君と同じ部類の男なの」
「え?」
 陽菜と同じ・・・?
「あいつも中々のブラコンなんだよ。しかも、他人にも特に桃にも興味を示さなかった統吾が突然一人の桃、しかも全世界の男は滅べばいいと思ってる大の男嫌いの男が、男の桃を溺愛っと来たらそりゃぁ気になるだろ」
「・・・・・・も、もしかして」
 先生が男嫌いなのは。
「そ。超過保護でブラコンの兄貴のせい」
「納得」
 先生も苦労、してんだな・・・。
 ハッ。ちょ、待てよ。
「もしかして、俺、目の敵にされません?」
 またもや桃月さんはにっこりんこ。
「だからの誘拐ね。緊急事態だったの。誘拐の旨はちゃあんとメールで知らせといたから。彼も納得、というかお礼言われるわよ」
 そ、そんな!? 嫌な汗が出てきた。
「大事な弟を奪った桃ってね」
「ぐっ」
「出遭ったら殺されちゃうかも、あは」
 あはじゃねぇんだよあはじゃぁ!
「というわけで、君にはしばらく我が桃月院で過ごして貰うことにする勿論、ちゃぁんと先輩を護衛に付けるから大丈夫よ」
 先輩? 護衛? 天下の桃月院も治安が悪かったりするのか?
 桃月いんちょはむふと不遜の笑みを浮かべなさった。
「あらやぁね誤解しないで?」
「え?」
「我が院は治安において最高峰のセキュリティよ? なんせ選ばれし者達だけが通える学院だもの」
「は、はぁ・・・」
 あれ? 心読まれた?
「桃太郎の貴方だけが異常で特別なの。あぁ、ついに我が学院に桃太郎が! 誇らしいことだわ!」
 ゴンゴンッ!
 部屋のノックにしてはえらい力のこもったノックが聞こえた。
「噂をすれば来たわ」
「え?」
「どうぞ、入っ・・・」
 バァンッ!
 最後まで許可の台詞言わせてあげてよ。豪快に扉を開けて入って来たのは。
「このおれさまを呼び出しやがっふぐっ」
 いやだから最後まで言わせてあげてよ。
 赤髪で漆黒の瞳を持った制服からしてここの院生だろう青年が、桃月いんちょのたわななメロンに強引に突っ伏されていた。
「あぁん可愛いでしょう? この子が貴方の先輩兼護衛お世話係のはなちゃんでぇす」
「はなちゃ・・・」
「桃園花。羽桃李、桃月、そして第三位の鬼癒しの名家、桃園のお坊ちゃんよ」
「ぷはっ! 坊ちゃん言うなこのデカ乳! い、いででででででで」
 たわわゆえの胸圧に苦しめられる先輩。
「こいつ、可愛い名前してる割に喧嘩っぱやくつえぇーの」
「え」
 黒鬼黒塚氏が「強い」なんて認めるほど!?
「はなちゃぁん? あたしの借りを返す時が来たのよ」
「・・・・・・チッ」
 ようやく解放された桃園先輩が俺を見やった。
「この子が桃太郎の先祖返り、羽桃李董一郎君よ」
「・・・・・・」
 めっちゃ睨まれてる睨まれてるぅ!
「ここじゃ鬼は使い物にならないから、桃の守備においてトップクラスの桃園のおぼっちゃまのお力が必要なの」
「・・・はぁ~・・・」
 俺を上から下まで舐めまわすように凝視した後、大きな溜息を零されたお坊ちゃま。赤髪がカッコいい・・・。都会の桃も顔面偏差値が高いんだなぁ。いや彼が特別か?
「ハッ、桃源郷の奴らはほんとフェロモン垂流しの痴女ばかりか・・・」
 ヒィッ!? オーラ!? 雰囲気が変貌。
 怒った顔もしゅてきでふ。
「この世界の恐ろしさ、おまえに教えてやるよ新入り? なぁ?」
 ちびりそう。
「はぁい♡ 挨拶も済んだところで、ようこそ桃月院へ~」
 黒塚氏を睨みつけたが、彼は桃月いんちょの胸に首ったけだった。
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