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真実の先にあるもの
①
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違法捜査を頑なに拒否する桜井を落とすため、レイは握っている捜査情報を流してやった。
「わかった。やるよ」
ぶら下げた餌に飛びついてくれたことは有り難かったが、犯人の手掛かりを聞いて目を輝かせる様は刑事とは言い難く、子供のようだった。
「二人目の被害者であるカツラギと三人目の被害者であるフクザワは、どういう繋がりなんだ?」
自分が闇に落ちたことに気づいていないのだろうか。事件が終われば、桜井直人という人間はこの世から消えてなくなるというのに。
「あんた、変わってるよな」
桜井は事件のことしか頭にない。自分が死ぬことすら、忘れているのだろう。
「なんだ、いきなり。そっちに言われたくねえけど」
こいつ、根っからの刑事なんだな。
心で呟いた後、レイは頭を切り替えた。
「カツラギとフクザワはパラフィリア、性的倒錯者だ。簡単に言えば、普通のセックスじゃダメな人間ってこと。だが、その嗜好によって心的葛藤や苦痛を感じたり、社会的に問題が起きない限り、医学的には病気とはいわない」
「少々行き過ぎの変態ってことか」
「その認識でかまわない。表に出ないだけでそういう人間は普通にいる。社会的に受け入れられないことは認識しているから、会員制の秘密クラブで欲求を満たすんだ。結構な有名人も何人かいる」
「被害者のことは一通り調べたはずなんだが、まさかそんな裏があったとは」
レイがこの情報にたどり着いたのは、二人の携帯電話のSNSの履歴からであった。SNSの履歴は警察も見ているだろうが、ごく普通の会話の中にあるワードがその秘密クラブを指し示していることまでは知らないだろう。
「ところで、そんな場所の映像をどうやって入手したんだ?」
「企業秘密だ」
「企業秘密ねえ。どうせハッキングとかやってんだろ」
桜井が言うように、コンピュータネットワークへの不正侵入、破壊、改ざんは、レイにとって日常茶飯事である。
「俺はスクリプトキディじゃねえ。正真正銘のクラッカーだ」
スクリプトキディとは、他のクラッカーが使用したプログラム等を使用して、興味本位でクラッキングを行う者のことである。
「スクリプトキディ? なんだ、それ? けどまあ、どんな情報でも調べ上げる凄い奴がおまえだってことは、よくわかった」
本来ならこんな情報を流したりはしない。桜井に未来がないことがわかっているから、話しているのだ。
「だとすると、最初の被害者のタナカミチコの立ち位置も変わってくるよな」
桜井はコンピューター関係には強くないが、そこそこ頭は回るらしい。
「そう、彼女もパラフィリア。ついでいえば、二人のパートナーだった。こいつら、グループセックスの愛好者なんだよ」
レイはタブレットの画面を操作し、タナカミチコの写真を取り出した。普通を絵に書いたような地味な女性にしか見えない。人は見かけによらないものである。
「三人の絡みが見たいなら、見せてやるけど?」
「そんなもん見たくねえよ。つまり、カツラギかフクザワか、もしくはその両方が、タナカミチコを殺したのが始まりってことか」
「おそらくな。男二人に女が一人、痴情のもつれの殺人なんて珍しくもないだろう」
「タナカミチコを殺したのがカツラギかフクザワだとしたら、そのカツラギを殺したのは誰だ?」
「残った一人に決まってんだろ」
「おい、タナカミチコを殺したのはカツラギで、カツラギを殺したのはフクザワだって言うのかよ!?」
レイが出した結論に、興奮して桜井が立ち上がる。
「事件の話、終わった?」
犯人探しに全く興味のないシラサカは、食後の満腹感も手伝って、うとうとしていたが、桜井が突然立ち上がったことで目を覚ました。
「まだ途中、寝とけ」
「じゃ、遠慮なく」
レイの言葉を受け、シラサカは再び眠りに入る。
「わかった。やるよ」
ぶら下げた餌に飛びついてくれたことは有り難かったが、犯人の手掛かりを聞いて目を輝かせる様は刑事とは言い難く、子供のようだった。
「二人目の被害者であるカツラギと三人目の被害者であるフクザワは、どういう繋がりなんだ?」
自分が闇に落ちたことに気づいていないのだろうか。事件が終われば、桜井直人という人間はこの世から消えてなくなるというのに。
「あんた、変わってるよな」
桜井は事件のことしか頭にない。自分が死ぬことすら、忘れているのだろう。
「なんだ、いきなり。そっちに言われたくねえけど」
こいつ、根っからの刑事なんだな。
心で呟いた後、レイは頭を切り替えた。
「カツラギとフクザワはパラフィリア、性的倒錯者だ。簡単に言えば、普通のセックスじゃダメな人間ってこと。だが、その嗜好によって心的葛藤や苦痛を感じたり、社会的に問題が起きない限り、医学的には病気とはいわない」
「少々行き過ぎの変態ってことか」
「その認識でかまわない。表に出ないだけでそういう人間は普通にいる。社会的に受け入れられないことは認識しているから、会員制の秘密クラブで欲求を満たすんだ。結構な有名人も何人かいる」
「被害者のことは一通り調べたはずなんだが、まさかそんな裏があったとは」
レイがこの情報にたどり着いたのは、二人の携帯電話のSNSの履歴からであった。SNSの履歴は警察も見ているだろうが、ごく普通の会話の中にあるワードがその秘密クラブを指し示していることまでは知らないだろう。
「ところで、そんな場所の映像をどうやって入手したんだ?」
「企業秘密だ」
「企業秘密ねえ。どうせハッキングとかやってんだろ」
桜井が言うように、コンピュータネットワークへの不正侵入、破壊、改ざんは、レイにとって日常茶飯事である。
「俺はスクリプトキディじゃねえ。正真正銘のクラッカーだ」
スクリプトキディとは、他のクラッカーが使用したプログラム等を使用して、興味本位でクラッキングを行う者のことである。
「スクリプトキディ? なんだ、それ? けどまあ、どんな情報でも調べ上げる凄い奴がおまえだってことは、よくわかった」
本来ならこんな情報を流したりはしない。桜井に未来がないことがわかっているから、話しているのだ。
「だとすると、最初の被害者のタナカミチコの立ち位置も変わってくるよな」
桜井はコンピューター関係には強くないが、そこそこ頭は回るらしい。
「そう、彼女もパラフィリア。ついでいえば、二人のパートナーだった。こいつら、グループセックスの愛好者なんだよ」
レイはタブレットの画面を操作し、タナカミチコの写真を取り出した。普通を絵に書いたような地味な女性にしか見えない。人は見かけによらないものである。
「三人の絡みが見たいなら、見せてやるけど?」
「そんなもん見たくねえよ。つまり、カツラギかフクザワか、もしくはその両方が、タナカミチコを殺したのが始まりってことか」
「おそらくな。男二人に女が一人、痴情のもつれの殺人なんて珍しくもないだろう」
「タナカミチコを殺したのがカツラギかフクザワだとしたら、そのカツラギを殺したのは誰だ?」
「残った一人に決まってんだろ」
「おい、タナカミチコを殺したのはカツラギで、カツラギを殺したのはフクザワだって言うのかよ!?」
レイが出した結論に、興奮して桜井が立ち上がる。
「事件の話、終わった?」
犯人探しに全く興味のないシラサカは、食後の満腹感も手伝って、うとうとしていたが、桜井が突然立ち上がったことで目を覚ました。
「まだ途中、寝とけ」
「じゃ、遠慮なく」
レイの言葉を受け、シラサカは再び眠りに入る。
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