FLY HIGH

真山マロウ

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過去

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 世の中は甘くない。平等に不平等。なかでも私は屈指の劣等生。なにかになれるなんて夢のまた夢。高望みはやめて身の丈にあった生き方をしていくしかない。そう決心してからは将来のことを考えることが、あたりまえに私の中で小さく薄くなっていった。

 中学にあがってからは、新しい環境についていくのに必死だった。二年ほどたち、やっと慣れてきてからも、クラスメイトの顔色をうかがうのに専念した。目立つことはせず、反感をかうような言動もさけ、穏便に過ぎていくのだけをひたすら望んで。

 その甲斐あってか、もしくは、もとからたいして存在感がなかったせいか、誰に敵視されることなく三年生になった。受験が他人事じゃなくなると否応なし将来について考えなきゃいけなくなったけど、夢みることをやめた私は、自分のレベルにあった難易度の高校を選ぶにとどまった。そこに通って、どうなりたいとかもない。とにかく、とどこおりなく高校生になれるなら正直どうでもよかった。

 無事合格し、新しい制服に袖を通すことができてからは電車通学になった。桁違いに世界が広がり、あらゆるものが目新しくて、不器用で要領の悪い私は、ここでもまた慣れるのだけで精一杯だった。幸い、クラスの物静かな子たちのグループに身をよせることができたけど、深入りすることはなく。進学か就職かを選択しなきゃいけなくなるまでは、そうやって目先の保身や学校行事に翻弄されて過ごした。

 卒業後の進路決めは将来に直結するだけに、中学の頃と比べて周囲の真剣みが半端なかった。にもかかわらず私は、クラスメイトの動向にあわせたり親のすすめもあったりで、なんとも他人任せに進学の道を選んだ。どんな仕事につきたいか、そのためにどんな学部がいいか、よりも、競争率や合格判定だけにこだわって。

 なにかで失敗するのは、もうこりごりだった。そのたびに心が無残にへし折れて、自分に嫌気がさして、惨めになる。己の無価値っぷりを何度も受けとめられるほど、私は強くない。

 それに困難を乗りこえるんじゃなく徹底して回避したって、こういう方法なら誰に迷惑をかけるわけでもない。だったら自分自身のメンタルを守るために、たとえ後ろむきだったとしても、このスタンスで生きたっていいじゃないか。

 そうでもしないと、未来どころか現在すら投げだしてしまいたくなる。自分どころか、この世界のなにもかもまで、どうしようもなく嫌いになってしまう。
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