10 / 11
直視してしまったモノは最悪で
しおりを挟む本日分の授業も無事全て終わり、あっという間に放課後になった。
俺を怖がる癖して休憩時間になる度に、毎回毎回周囲に群がってくる害虫共。無視されるだけだっつうのに、毎度懲りずに猫撫で声で話しかけてくる。
今日は試しに相手を茶髪に丸投げしたが、これがとても良かった。なんと普段よりもかかるストレスが激減した。
今後からコイツに押し付けようと思う。
「あぁ~~ッ、つっかれたぁぁ~!!!」
「…うるせぇ」
「ふんッ、このぐらいボスにはガマンしてもらわないと!!だってオレに面倒事丸投げしてきたのボスだしねぇ~!」
「チッ」
「あ、ちょっと舌打ちはヒドくない!?」
「…まっ、精々頑張れ」
「え、それってどういう……ハッ、まさか!?」
無意味にぎゃあぎゃあ騒ぎ立てる馬鹿を引き連れ、いつものように風紀室へと向かう。
途中、いつかのように番同士らしき奴らと遭遇したが、俺を見た途端蜘蛛の子散らすように逃げてった。
「あ、あそこにいるのって~!」
唐突に、馬鹿が弾んだ声をあげた。
「ほらあっち見てみて~!!」と、あからさまにテンションが上がった茶髪の指す方を見れば、特徴的な長髪をたなびかせた1人の女が窓の外を眺めていた。
確かアレは……
「救世主ちゃんだぁあ!!」
俺がその存在を思い出す前にテンションの上がった馬鹿がそう口にし、女のいる方へと突撃していった。…俺を、置いて。
「(チッ…テメェは俺に惚れてんだろうが。だっつうのに、アレを優先すんのか。…どうやら『お仕置き』が必要みてぇだなァ?)」
ふと脳をよぎったその思考に自分自身愕然とし、思わず足を止めた。
ソレは気が付かぬ振りをしてたモノで。
…俺の、見て見ぬ振りをしてた感情。
いい加減向き合えと言わんばかりに主張してきたソレは、ヒドく歪なカタチと色をしていた。
「ハハ…マジかよ」
ボソッと乾いた声が零れる。
強制的に直視させられた途端噴き出し始めたドス黒い感情は、どんなに拭い去ろうとしてもヘドロのようにこびり付いて離れない。
溶岩のようにどろりと熱く、凍土のように冷え固まった矛盾しまくりのソレは、まるで今の俺のようだ。
救世主と呼ばれる女へ、頬を微かに紅く染めながらヒドく楽しそうに話しかけているアイツを視界に映し、そう自嘲する。
「──、────!!───」
「…──、──」
「──────!」
…あァ、俺にンなこと考える資格なんてねぇのにな。
「テメェは俺だけ見とけ」と、らしくなく思っちまう。
ハハ、ついこの前まで“上司として守ってやらねぇと…”とか思ってたクセにこのザマかよ。
ほんと、最低な気分だ。
5
あなたにおすすめの小説
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる