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仲良きことは。
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≪side 伊坂嗣護≫
「では、野郎だけの飲み会、第2回目ってことで、かんぱーい!」
「乾杯!!!」
オレ達4人は、前回と同じ居酒屋の個室に集まった。オレの隣に谷本が座り、向かいに佐熊、その隣に鈴掛というのも一緒だ。
「それにしても、佐熊のうっふんな相手が鈴掛だったとは!」
「谷本のかわいいニャンコちゃんが、伊坂っていうのは、俺は前から気がついていたけどな」
「かわいいニャンコちゃん?オレが?!ハハハ!いきなり腹いてぇんだけど!」
「な!2人に馬鹿にされてる?!鈴掛、うつむいてないで何か言え!っていうか、俺の味方しろ!」
「…うっふんって」
「チクショー!鈴掛も馬鹿にしやがって!」
「そんなおまえが、すごくかわいい」
「…!!!」
谷本は赤い顔、佐熊と鈴掛が青い顔をして、オレを見た。あれ?何か変なこと言ったか?
「長年の想いが通じ合うとこうなるんだな。谷本、俺よりもよっぽど伊坂の方があまーーーい!!ぞ」
「恥ずかしすぎる。伊坂やめてくれよ!」
「なんで?いいじゃん」
「伊坂、お礼をし返す。…ありがとう」
鈴掛に深々と頭を下げられる。
「あっ、いいって!うまくいってよかったよな!やっぱり鈴掛って、ギャップ萌えだよな。佐熊はそこにやられたの?」
「えっ?そこも何も、初めて会った時から気になっていたし、そばに居ると安心するし、触れたいし。なんかもう、すべてが愛おしいわ」
「…!!!」
佐熊の言葉に鈴掛は赤くなり、谷本とオレは青くなった。そうか、さっきの感じはこれだったのか。
「ごめん!鈴掛、そんなこと言われたら恥ずかしいよな。でも、本当のことだから。あ、その、恥ずかしがらせるつもりじゃなくてさ、ごめん!」
何この2人。顔を赤くしながら、見つめ合ってんだけど。谷本、ジト目で見るのやめてやれ。ちょいクールな目元が台無しだ。
それをもったいなく思ったオレは、谷本の目元を指先でスッと撫でた。すると谷本がうっとりとした目でこちらを見てくるので、谷本の両瞼にチュウしてみた。
「あのさ、もう酔ってる?始まってから30分くらいなんだけど」
佐熊の冷めた声がした。鈴掛にぴったり寄り添いながら言われたくない。
「おまえらの距離だってゼロじゃねぇか」
「これぐらいが安心するんだわ。鈴掛はどう?」
「…安心する」
「なんかうらやましい!谷本、いやイッちゃん、こっちおいで」
「ツッちゃんなあに?…って、恥ずかしいよ!伊坂!」
隣にいる谷本の腕を取り、オレの胸元へ引っ張った後、身体を少しずらして谷本を真後ろから抱きしめる。
「コレコレ。イッちゃんはオレのだからな」
「誰が取るか。俺は鈴掛だからそばに居たいし、触れたいんだよ」
「ハイハイ。オレだってイッちゃん限定だよ」
「鈴掛、恥ずかしくないの?俺、すげぇ恥ずかしいんだけど!」
「…こっ恥ずかしい」
「だよな!俺だけが恥ずかしいのかと思ってたけど、同志がいてよかった!」
「なんだよ、ツレないなぁ!2人の時はいつもこうだろ」
「あー!あー!聞こえない!聞こえない!伊坂、何言っちゃってんの?!」
谷本が手のひらを両耳に当てて、ブンブンと頭を左右に振っている。こういったしぐさもかわいいって、わかってんのかな?谷本の手の甲に、オレの手のひらを重ねる。
「佐熊と鈴掛の前なら平気だろ?向こうもくっついてるんだし。何?まだ恥ずかしいの?オレはこうしながら4人で飲めて、すげぇ嬉しいんだけど。谷本はそうじゃないの?」
「…嬉しい!」
「そう。よく言えました」
谷本を真後ろからギュッと抱きしめ、頭をポンポンと軽く撫でる。
「伊坂が、谷本を手懐ける一部始終を見たな」
「うまいな。オレも前、促されるがままだった」
「え?鈴掛、何かされたのか?!伊坂っ!!」
佐熊がコワイ!!
「自分と同じくらいの180超えの野郎に何かするわけないだろ!佐熊、よく見てみろっ!鈴掛はおまえより強そうだぞ!」
「俺もそう思う。鈴掛はこの中で一番強いんじゃね?」
谷本が加勢をしてくれる。
「――言われてみれば」
「オレはおまえ達がうまくいくように促しただけだよ。お礼は言われても、文句を言われる筋合いはねぇよ」
「鈴掛、本当か?」
「あぁ」
「伊坂、悪かったな。ありがとう!」
佐熊がふわりと笑う。
「ったく。お礼の代わりとして、聞きたいんだけど」
「ん?何を?」
オレと谷本の関係で言えば、谷本はオレよりニブイから、こっちからどうこうしていかないと、なかなか先に進まない。佐熊と鈴掛はどうなんだろうか?
「どっちから、どうこうしているんだ?」
「どうこう?」
「もう濃厚なチュウってした?どっちから仕掛けたんだ?ちなみに、オレから仕掛けて舌も入れたぞ」
「な!伊坂、何言っちゃってんの?!」
「イッちゃんは黙って聞いてような。はい、チュッ!チュッ!チュッ!」
谷本を黙らせるために、顔中にチュウしてやった。
「うぅ…。恥ずかしい」
目の前の2人へ目線を戻すと、鈴掛は顔を赤くしてうつむいてしまったので、佐熊が切り出すのを待つ。
「仕掛けたのは俺だな。鈴掛がもっと、って言ってくれるから、それに応じていたら、いつのまにか舌が入っていたわ」
「!!」
思わず、谷本と顔を見合わせる。
「鈴掛、なんかエロいな!!」
「……!」
「ごめん!鈴掛、大丈夫か?!」
鈴掛の顔色が赤を通りこして赤黒くなり、佐熊が慌てている。この2人、おもしれぇ!
「鈴掛、ギャップすげぇわ。かわいいキャラで誘い上手なのか?まいった!」
「ホントな!鈴掛のイメージが変わったわ!」
オレと谷本が面白がると、鈴掛は顔を赤くしたまま眉毛をハの字にする。すると、佐熊がその上に何度もチュウする。
「ごめん!つい、あまりに愛おしくて」
「…いいけど」
2人の雰囲気が甘ったるいったらない。
「佐熊だって、やっぱり、あまーーーい!!じゃねぇかっ!」
「そうか?自分じゃわからないけどな。あ、鈴掛、次、何飲む?」
「アンタと同じもんがいい」
「そうか。じゃあ、これなんてどう?」
佐熊の優しい問いかけに、鈴掛がやんわりと頷いている。ん?んん?この光景、以前も見たことあるような??ま、いいか。
オレに身体を預けながら楽しそうに酒を飲む谷本を肴にして、オレも上機嫌で酒をあおる。
今夜の酒は最高にうまい!
お互いに惚気が過ぎたような気もするが、仲良きことはなんとやら。
こうして、野郎だけの飲み会の時間は深まっていく―――。
―――で、第3回目はいつにする?
「では、野郎だけの飲み会、第2回目ってことで、かんぱーい!」
「乾杯!!!」
オレ達4人は、前回と同じ居酒屋の個室に集まった。オレの隣に谷本が座り、向かいに佐熊、その隣に鈴掛というのも一緒だ。
「それにしても、佐熊のうっふんな相手が鈴掛だったとは!」
「谷本のかわいいニャンコちゃんが、伊坂っていうのは、俺は前から気がついていたけどな」
「かわいいニャンコちゃん?オレが?!ハハハ!いきなり腹いてぇんだけど!」
「な!2人に馬鹿にされてる?!鈴掛、うつむいてないで何か言え!っていうか、俺の味方しろ!」
「…うっふんって」
「チクショー!鈴掛も馬鹿にしやがって!」
「そんなおまえが、すごくかわいい」
「…!!!」
谷本は赤い顔、佐熊と鈴掛が青い顔をして、オレを見た。あれ?何か変なこと言ったか?
「長年の想いが通じ合うとこうなるんだな。谷本、俺よりもよっぽど伊坂の方があまーーーい!!ぞ」
「恥ずかしすぎる。伊坂やめてくれよ!」
「なんで?いいじゃん」
「伊坂、お礼をし返す。…ありがとう」
鈴掛に深々と頭を下げられる。
「あっ、いいって!うまくいってよかったよな!やっぱり鈴掛って、ギャップ萌えだよな。佐熊はそこにやられたの?」
「えっ?そこも何も、初めて会った時から気になっていたし、そばに居ると安心するし、触れたいし。なんかもう、すべてが愛おしいわ」
「…!!!」
佐熊の言葉に鈴掛は赤くなり、谷本とオレは青くなった。そうか、さっきの感じはこれだったのか。
「ごめん!鈴掛、そんなこと言われたら恥ずかしいよな。でも、本当のことだから。あ、その、恥ずかしがらせるつもりじゃなくてさ、ごめん!」
何この2人。顔を赤くしながら、見つめ合ってんだけど。谷本、ジト目で見るのやめてやれ。ちょいクールな目元が台無しだ。
それをもったいなく思ったオレは、谷本の目元を指先でスッと撫でた。すると谷本がうっとりとした目でこちらを見てくるので、谷本の両瞼にチュウしてみた。
「あのさ、もう酔ってる?始まってから30分くらいなんだけど」
佐熊の冷めた声がした。鈴掛にぴったり寄り添いながら言われたくない。
「おまえらの距離だってゼロじゃねぇか」
「これぐらいが安心するんだわ。鈴掛はどう?」
「…安心する」
「なんかうらやましい!谷本、いやイッちゃん、こっちおいで」
「ツッちゃんなあに?…って、恥ずかしいよ!伊坂!」
隣にいる谷本の腕を取り、オレの胸元へ引っ張った後、身体を少しずらして谷本を真後ろから抱きしめる。
「コレコレ。イッちゃんはオレのだからな」
「誰が取るか。俺は鈴掛だからそばに居たいし、触れたいんだよ」
「ハイハイ。オレだってイッちゃん限定だよ」
「鈴掛、恥ずかしくないの?俺、すげぇ恥ずかしいんだけど!」
「…こっ恥ずかしい」
「だよな!俺だけが恥ずかしいのかと思ってたけど、同志がいてよかった!」
「なんだよ、ツレないなぁ!2人の時はいつもこうだろ」
「あー!あー!聞こえない!聞こえない!伊坂、何言っちゃってんの?!」
谷本が手のひらを両耳に当てて、ブンブンと頭を左右に振っている。こういったしぐさもかわいいって、わかってんのかな?谷本の手の甲に、オレの手のひらを重ねる。
「佐熊と鈴掛の前なら平気だろ?向こうもくっついてるんだし。何?まだ恥ずかしいの?オレはこうしながら4人で飲めて、すげぇ嬉しいんだけど。谷本はそうじゃないの?」
「…嬉しい!」
「そう。よく言えました」
谷本を真後ろからギュッと抱きしめ、頭をポンポンと軽く撫でる。
「伊坂が、谷本を手懐ける一部始終を見たな」
「うまいな。オレも前、促されるがままだった」
「え?鈴掛、何かされたのか?!伊坂っ!!」
佐熊がコワイ!!
「自分と同じくらいの180超えの野郎に何かするわけないだろ!佐熊、よく見てみろっ!鈴掛はおまえより強そうだぞ!」
「俺もそう思う。鈴掛はこの中で一番強いんじゃね?」
谷本が加勢をしてくれる。
「――言われてみれば」
「オレはおまえ達がうまくいくように促しただけだよ。お礼は言われても、文句を言われる筋合いはねぇよ」
「鈴掛、本当か?」
「あぁ」
「伊坂、悪かったな。ありがとう!」
佐熊がふわりと笑う。
「ったく。お礼の代わりとして、聞きたいんだけど」
「ん?何を?」
オレと谷本の関係で言えば、谷本はオレよりニブイから、こっちからどうこうしていかないと、なかなか先に進まない。佐熊と鈴掛はどうなんだろうか?
「どっちから、どうこうしているんだ?」
「どうこう?」
「もう濃厚なチュウってした?どっちから仕掛けたんだ?ちなみに、オレから仕掛けて舌も入れたぞ」
「な!伊坂、何言っちゃってんの?!」
「イッちゃんは黙って聞いてような。はい、チュッ!チュッ!チュッ!」
谷本を黙らせるために、顔中にチュウしてやった。
「うぅ…。恥ずかしい」
目の前の2人へ目線を戻すと、鈴掛は顔を赤くしてうつむいてしまったので、佐熊が切り出すのを待つ。
「仕掛けたのは俺だな。鈴掛がもっと、って言ってくれるから、それに応じていたら、いつのまにか舌が入っていたわ」
「!!」
思わず、谷本と顔を見合わせる。
「鈴掛、なんかエロいな!!」
「……!」
「ごめん!鈴掛、大丈夫か?!」
鈴掛の顔色が赤を通りこして赤黒くなり、佐熊が慌てている。この2人、おもしれぇ!
「鈴掛、ギャップすげぇわ。かわいいキャラで誘い上手なのか?まいった!」
「ホントな!鈴掛のイメージが変わったわ!」
オレと谷本が面白がると、鈴掛は顔を赤くしたまま眉毛をハの字にする。すると、佐熊がその上に何度もチュウする。
「ごめん!つい、あまりに愛おしくて」
「…いいけど」
2人の雰囲気が甘ったるいったらない。
「佐熊だって、やっぱり、あまーーーい!!じゃねぇかっ!」
「そうか?自分じゃわからないけどな。あ、鈴掛、次、何飲む?」
「アンタと同じもんがいい」
「そうか。じゃあ、これなんてどう?」
佐熊の優しい問いかけに、鈴掛がやんわりと頷いている。ん?んん?この光景、以前も見たことあるような??ま、いいか。
オレに身体を預けながら楽しそうに酒を飲む谷本を肴にして、オレも上機嫌で酒をあおる。
今夜の酒は最高にうまい!
お互いに惚気が過ぎたような気もするが、仲良きことはなんとやら。
こうして、野郎だけの飲み会の時間は深まっていく―――。
―――で、第3回目はいつにする?
応援ありがとうございます!
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