夜空に花束を

しろみ

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「ぁあ…っ…」
「まずは指から。ゆっくり慣らしていこうね」


 ぬめった指で入り口を押し広げられる。ぞわっと背筋が震えた。


「やめっ、やめなさ…っ、きたな…」
「あは。汚くないよ。ねぇ、実の息子に女にされる気分はどう?」
「……ゆび、入って…ひっ…」
「はぁ…ようやくお父さんの処女を奪える。お父さんは僕だけの女になるんだ。たくさん種付けして孕ませるね。……赤ちゃんは何人作ろうか…?」


 ぐちぐちと異物感が増す。


「どうっ、して……力が、っ、入らない…」


 思考は巡るのに、体が動かない。気持ちが悪い。何が起きてるのか分からず、目に涙を浮かべた。


「お父さん可愛い…。泣いちゃうの…?」
「ぁ…っ…ああ…」
「ふふふ、薬の効果が一番強く出る頃かな」


 菫は時計を見上げてぼそりと呟く。そして私を横抱きにして立ち上がった。


「まずはベッド行こっか。ここだと体痛くなっちゃうから」
「ま、って、く、くすり…っ……?」


 上手く呂律が回らない。しかし必死に言葉を紡いだ。菫は「ああ」となんて事ないように頷いて、言った。


「脳の中枢神経を麻痺させたんだ」
「なっ…ど、どいうことだ……っ…?」
「薬をね、飲ませたの。さっき。口移しでね」


 ベッドに優しく降ろされ、甘い眼差しが注がれる。「これ」という声とともに、ベッドに投げられた透明な小袋。それに目を向けて言葉を失った。外国の菓子のようにカラフルな固形物。病院から処方される薬には到底見えない。


「は…?…こ、れって……違法薬物…っ」


 驚愕している私とは反対に、菫は落ち着いた様子で着ているシャツのボタンを外し始める。


「うん。お父さんがデリヘルを楽しんでる間に、繁華街で待ってることが多かったんだけど、その時に色んな人と仲良くなれたんだ。その中の一人がくれた」
「え……?」



 その時だ。シャツが床に落ちる。

 菫の上半身が露わになった。


「…ひっ……」


 小さく悲鳴を上げた。雪のように白い背中。その肩から腰にかけて、紫の花々が咲き誇っていたのだ。

 これは―……


「―…ぃ…刺青…………?」
「怖い?安心して。僕、お父さん優しいよ」


 愕然とした。言葉が出てこない。体が自由に動けば両手で口を覆いたくなった。

 菫は自慢の息子だ。彼は教師から信頼される優等生だ。そんな完璧な美少年が背中に刺青を入れ、違法薬物まで所持している。不良…否、まるでヤクザだ。嘘だ。嘘だ。何かの冗談だろう。

 はっはっ、と浅い呼吸を繰り返した。


「…っ……私の…せい……なのか?」


 その時思った。私が繁華街に行かなければ菫はこうはならなかったのか。

 口をぱくぱくと開閉させた。菫は一瞬目を丸くして、それから小馬鹿にするようにくすくすと笑う。


「うーん……じゃあそういう事にしようかな」
「………ぇっ」
「責任とって?――お父さん」


 猫撫で声が耳を撫でる。

 そして、ひょい、と体を横抱きに持ち上げられた。菫の裸体が直に触れ、思わずごくりと唾を飲み込む。

 そのまま寝室の横の風呂場へ運ばれた。


「お父さんは僕の上に座ろうね」


 菫の膝の上に座る。いや強制的に座らされた。足に力を入れて逃げようとしたが呆気なく捕まってしまった。風呂場の椅子は2人分の体重を想定していないのだろう。少し軋む音がした。臀部に熱くて硬いものがべったりと触れる。菫のものだ。息子に欲情されてる。そんな禁忌ともいえる現実を、重なる肌、直に触れる体温が嘘にしてくれない。唇を震わせていると、太腿に手を添えられ、ぐいっと両足を広げられる。


「っ…やめ…」


 息つく暇もなく、ちゅぷりと指ではない何かが体内に入る。独特の匂いが風呂場に充満した。


「僕はこのままでいいんだけどお父さんが気になるなら洗浄するね」
「…ふぁっ…、ぁ」
「これ、肛門洗浄器っていうんだって。お父さんとする為に買ってたんだ。“シャワ浣”じゃあ…不恰好だからね。これで綺麗にしてあげる」


 赤いポンプのような球体には細いノズルが付属されてる。それが排便する器官に挿入されているのだ。キツイ匂いが鼻腔を刺激した。しかし風呂場の鏡に映る菫は顔を歪めるどころか嬉々として私の肛門を熱い眼差しで見つめる。


「んあっ、あっ、ああ」


 ポンプを押されるたびに水が入ってくる。経験したことがない刺激に声が漏れる。腰がびくびく震えて抵抗ができない。喘ぐことしかできなかった。


「ぁぁ…お父さん感じてるの?可愛い」


 息子に肛門を洗浄される。なんて屈辱なのだろうか。あまりの恥ずかしさに奥歯をぐぐぐ…と噛み締めた。


「ふふっ、上手上手。どんどん綺麗になるね」
「ふんっ、んっ」
「力めないからもどかしい?ああもう…可愛い…」


 肛門から水を入れられて、それを外に出す。薬物のせいかうまく腹に力が入らない。弱々しく、ぴゅっ、ぴゅっ、と茶色がかった液体が肛門から溢れ出る。それを数回繰り返した。液体が透明になったところで「もういいかな」と菫は満足気に微笑んだ。彼は肛門洗浄器とやらと大切そうにビニール袋に詰めた。まるで貴重品のように丁寧に扱う。ビニール袋に入れてどうする気だと思ったが、深く考える暇もなく、石鹸で全身を洗われた。そして再び横抱きにされ風呂場を出る。


「うんっ。これで心置きなく僕と子作りできるね」


 ベッドに降ろされ、美しい少年に組み敷かれた。


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