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本編●主人公、外の世界に出て色々衝撃を受けたりしながら遊ぶ
ぼくは学校内の休憩室を初めて利用する
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ぼくはアルフォンソを連れて、学校内にある豪華な『休憩室』に入っていた。
エイベル兄さんと一緒に泊っている高級宿よりは当然劣るものの、内装はとても立派。大きなベッドだけでなく、浴槽とシャワーとを備えた浴室まである。
恐ろしい事に、ベッドサイドには数種類のローションと思しきボトル。お尻を解す為に使う物。挿入する物。
ベッドのヘッドボードにある宮棚の引き出しには、コンドームも数種類あった。
ちなみに浴室にはちゃんと、シャンプーやトリートメント類、ボディソープなんかもあるし、洗面台にも石鹸やら何やら。一通りのアイテムが揃っていた。
はっきり言わせて貰うが、これは……お洒落なラブホだよね?
学校にこんな設備があるなんて、実にけしからんが素晴らしいよ。
この学校に通う大きな目的の一つが『交流』とは、成程、良く言ったもんだ。
こんな部屋にアルフォンソを連れ込んだのは立派な理由がある。
顔を茹でダコのように赤くして恥じらうアルフォンソを、一刻も早く何処かに避難させなくてはと思ったからだ。
あの状態のアルフォンソをいつまでも人目に晒してなんか置けないだろう。
最初は保健室的な所へ連れて行こうかとも思ったんだが、念の為に、エドガーに聞いてみて良かった。
親切な友であり学級委員長のエドガーが、休憩室について教えてくれた。だけでなく、ぼくを案内してくれて、この部屋を使う為の手続きや何かもしてくれた。
更にエドガーは気を利かせて、ぼくとアルフォンソが午後の授業を休む事を教師に伝えてくれるそうだ。
一応ぼくには侍従のベニーがいるが、彼は基本的にぼくの護衛を兼ねている。
ベニーを使い走りにして離れるわけにも行かないから助かったよ。
エドガーが来てくれて本当に良かった。
それでまぁ……現在、ぼくとアルフォンソは休憩室のソファに腰掛けている。
ベニーは隣接する待機部屋で控えてくれているよ。
アルフォンソは緊張しているようだ。
ぼくが休憩室に連れ込んだりしたから。らしい。
休憩室を利用するという事はつまり、この人とそういう事をしますよ。そういう対象ですよ。……という事になるからね。
「俺なんかと一緒に、来させてしまって……。本当に済まな…」
「謝らないでよ。ぼくの事なら心配しなくて良いから。」
俯いているアルフォンソは、なかなか視線をぼくの方へ向けてくれない。
礼儀正しく自分の太腿に置いた手は拳を握っているし、肩や背中にも力が入っているように見える。
ぼくを見ていないのに、感覚の全てがぼくの気配を窺っている。そんな感じだ。
「アルフォンソ……。」
座っている位置がやや遠くて、少しだけ距離を詰めてみたら。
びくんと身体を跳ねさせたアルフォンソが振り返る。
ぼくと目が合うと、怯えたように慌てて顔を逸らされた。
そっと肩に手を乗せた。小さく震えているのはぼくが予想していた通り。
「そんなに警戒しないで。ぼくは、アルフォンソが……嫌がる事はしないよ?」
正直に言うとまだ少し、学食での余韻が残っている。
アルフォンソのあんな表情やこんな表情が容易に頭に浮かぶし、ぷるんとした唇の感触だって何度でも思い出せるぐらいだ。
せっかく部屋に用意されている様々な物を利用したい、という気持ちも充分ある。
だが、怯えているのを無理矢理どうにかしようとは思わないよ。
アルフォンソをレイプしたくはない。
「落ち着くまで休憩しようか。何か飲み物を持って来るよ。」
気軽な調子で肩をぽんっと叩き、立ち上がろうとしたぼくを、アルフォンソの手がまたジャケットの裾を掴んで引き止めた。
下を向いたまま、ふるふると首を振っている。
「アルフォンソ? どうしたの? 飲み物は要らない?」
「……違う。」
ぼくは立ち上がるのを止めて、すぐ間近に座り直した。
アルフォンソの顔を覗き込むが、視線は合わせて貰えない。
「何が違うの? 言ってくれなきゃ分からないよ。……怒ったりしないから。アルフォンソ、教えて?」
出来るだけ柔らかい口調で伝える。
少しの間があってから、アルフォンソはゆっくりと顔を上げた。
ぼくを見ては視線を逸らし、を繰り返す。
やがて重たい口を開くのを待つぼく。何故ならぼくは、どうせ大した事は言えないからだ。
「嫌がってなど、いない……。」
消えそうな声。
たったこれだけの短い言葉を伝える間に、アルフォンソは耳まで真っ赤になっていた。
どかーーーん!
ぼくの脳内で花火が打ち上げられる音がした。
あるいは、開戦の狼煙でも上がったか。
絶対に気の所為。分かっている。
エイベル兄さんと一緒に泊っている高級宿よりは当然劣るものの、内装はとても立派。大きなベッドだけでなく、浴槽とシャワーとを備えた浴室まである。
恐ろしい事に、ベッドサイドには数種類のローションと思しきボトル。お尻を解す為に使う物。挿入する物。
ベッドのヘッドボードにある宮棚の引き出しには、コンドームも数種類あった。
ちなみに浴室にはちゃんと、シャンプーやトリートメント類、ボディソープなんかもあるし、洗面台にも石鹸やら何やら。一通りのアイテムが揃っていた。
はっきり言わせて貰うが、これは……お洒落なラブホだよね?
学校にこんな設備があるなんて、実にけしからんが素晴らしいよ。
この学校に通う大きな目的の一つが『交流』とは、成程、良く言ったもんだ。
こんな部屋にアルフォンソを連れ込んだのは立派な理由がある。
顔を茹でダコのように赤くして恥じらうアルフォンソを、一刻も早く何処かに避難させなくてはと思ったからだ。
あの状態のアルフォンソをいつまでも人目に晒してなんか置けないだろう。
最初は保健室的な所へ連れて行こうかとも思ったんだが、念の為に、エドガーに聞いてみて良かった。
親切な友であり学級委員長のエドガーが、休憩室について教えてくれた。だけでなく、ぼくを案内してくれて、この部屋を使う為の手続きや何かもしてくれた。
更にエドガーは気を利かせて、ぼくとアルフォンソが午後の授業を休む事を教師に伝えてくれるそうだ。
一応ぼくには侍従のベニーがいるが、彼は基本的にぼくの護衛を兼ねている。
ベニーを使い走りにして離れるわけにも行かないから助かったよ。
エドガーが来てくれて本当に良かった。
それでまぁ……現在、ぼくとアルフォンソは休憩室のソファに腰掛けている。
ベニーは隣接する待機部屋で控えてくれているよ。
アルフォンソは緊張しているようだ。
ぼくが休憩室に連れ込んだりしたから。らしい。
休憩室を利用するという事はつまり、この人とそういう事をしますよ。そういう対象ですよ。……という事になるからね。
「俺なんかと一緒に、来させてしまって……。本当に済まな…」
「謝らないでよ。ぼくの事なら心配しなくて良いから。」
俯いているアルフォンソは、なかなか視線をぼくの方へ向けてくれない。
礼儀正しく自分の太腿に置いた手は拳を握っているし、肩や背中にも力が入っているように見える。
ぼくを見ていないのに、感覚の全てがぼくの気配を窺っている。そんな感じだ。
「アルフォンソ……。」
座っている位置がやや遠くて、少しだけ距離を詰めてみたら。
びくんと身体を跳ねさせたアルフォンソが振り返る。
ぼくと目が合うと、怯えたように慌てて顔を逸らされた。
そっと肩に手を乗せた。小さく震えているのはぼくが予想していた通り。
「そんなに警戒しないで。ぼくは、アルフォンソが……嫌がる事はしないよ?」
正直に言うとまだ少し、学食での余韻が残っている。
アルフォンソのあんな表情やこんな表情が容易に頭に浮かぶし、ぷるんとした唇の感触だって何度でも思い出せるぐらいだ。
せっかく部屋に用意されている様々な物を利用したい、という気持ちも充分ある。
だが、怯えているのを無理矢理どうにかしようとは思わないよ。
アルフォンソをレイプしたくはない。
「落ち着くまで休憩しようか。何か飲み物を持って来るよ。」
気軽な調子で肩をぽんっと叩き、立ち上がろうとしたぼくを、アルフォンソの手がまたジャケットの裾を掴んで引き止めた。
下を向いたまま、ふるふると首を振っている。
「アルフォンソ? どうしたの? 飲み物は要らない?」
「……違う。」
ぼくは立ち上がるのを止めて、すぐ間近に座り直した。
アルフォンソの顔を覗き込むが、視線は合わせて貰えない。
「何が違うの? 言ってくれなきゃ分からないよ。……怒ったりしないから。アルフォンソ、教えて?」
出来るだけ柔らかい口調で伝える。
少しの間があってから、アルフォンソはゆっくりと顔を上げた。
ぼくを見ては視線を逸らし、を繰り返す。
やがて重たい口を開くのを待つぼく。何故ならぼくは、どうせ大した事は言えないからだ。
「嫌がってなど、いない……。」
消えそうな声。
たったこれだけの短い言葉を伝える間に、アルフォンソは耳まで真っ赤になっていた。
どかーーーん!
ぼくの脳内で花火が打ち上げられる音がした。
あるいは、開戦の狼煙でも上がったか。
絶対に気の所為。分かっている。
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