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一章 幼少期
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「お嬢様、お嬢様、ご飯の時間ですよ。」
「んぅ~…今起きるぅ…」
「「可愛い…!」」
私は布団から体を起こすまだぼやけた視界の中にはキュラとお姉様がいることが分かった。
「おはよぅ…ふわぁ~……」
「なんでお嬢様はこんなに天使なんでしょうか?」
「マシロだからだよ。」
なんかよく分からない会話をしている。
「とりあえず、ご飯なんですよね……?早く行きましょ…」
「私がおんぶしようか⁉︎」
「それは大丈夫です!」
今の一言で眠気が吹っ飛んだ。
まぁ、こちらとしては眠気がなくなるのは嬉しいが。
そして食堂に着いた。
そこにはもう両親とその専属メイド、他には部屋の端の方にメイドが立っていた。
どちらも女性の獣人だ。
「あ、来たわね。食べましょ?」
「はい、それでは……」
「「「「「「「「いただきます。」」」」」」」
家族四人と専属メイド四人が一斉に挨拶をする。
ここからはメイドと主人という関係がなくなる団欒の時間だ。
みんながタメ口で話し、どうでもいいことや不満などをお互い言い合い、楽しむ時間だ。
物心着く前から親がいなくて、引き取り先の親戚の家ではいないもの扱いをされていて、それが当たり前だと思っていた私にとっては非日常的でとても楽しい。
「ましろちゃん、あーんってしてもいい?」
「あーずるい!私も!」
「大丈夫です!私もうそんな歳じゃないですから!」
ただ、私だけは敬語だ。
この世界に来てからはタメ口で話したのはキュラくらいだ。
最初に発した言葉も「お姉様」だ。
両隣ではキュラとお姉様が言い争っている。
お姉様のもう一方の隣にはお姉様の専属メイドである犬獣人のレリアがしっぽを振りながら加わりたそうに見ているが、加われるこっちの気持ちも考えて欲しい。
向かい側には両親とそれぞれの専属メイドがいるが、全員微笑ましそうに見ている。
この状況も慣れ始めてきてはいるが、やっぱりみんな美少女だから緊張してしまう。
そしていつも通りの食事を終えた後、私は部屋に戻る。
『随分と騒がしかったね……』
『あれが普通だからね、慣れた方がいいよ。』
フロストと話しながら私はお風呂の用意をする。
一応自室にも浴室は付いているが大浴場の方が広いのでいつもそっちを使っている。
しかも天然温泉なので体の疲れが取れやすいのだ。
体のことについてはもう慣れた。
案外女子になってみても恥ずかしさは感じなかった。
おそらく自分の体だからだろう。
(まだ5歳だから体つきも男子と大差ない。)
「お嬢様~、お風呂行くんですか?」
「そうだよ、一緒に行く?」
「是非是非!」
「じゃあ行こうか。」
キュラとはたまにお風呂に入ることがある。
だけど、他人の体を見るのはまだ恥ずかしい。
しかもキュラは胸が割とあるので余計に恥ずかしいのだ。
だけどキュラと話すのは楽しいからついつい誘ってしまう。
そして大浴場、前の世界の西の河原公園だったか?そんな名前だったところの温泉より広い。
全然泳げるくらいだ。
私たちはそこに体を洗ってから入る。
髪……というかスプラッシュでトゥーンなゲームに出てくるキャラのような頭をしてるキュラはすぐに体を洗い終わるが、髪がとても長い私は洗うのにとても時間がかかる。
なら切れば?と思う人がいるかもだが、せっかくここまで伸ばしたから切りたくはないのだ。
そして髪を頭の上で巻き、温泉に入る。
「ふ~、気持ち~……」
「そうですね~……」
『私は暑くて溶けそう……』
そういえばフロストは氷の精霊だったか。
暑いのは苦手だよな。
『あっちの方に水風呂あるから行ってみれば?』
『そうなの?ありがと~』
そうしてフロストはフワフワと背中の氷でできた羽を動かしながら飛んでいった。
「精霊ですか?」
「そうだよ~、氷の精霊だから暑いのが苦手らしく、水風呂の方に行ったみたい。」
「たしかにこの浴場暑いですもんね、私はこのくらいが好きですけど。」
そんな感じで私とキュラはリラックスしながら雑談を交わした。
そして温泉から上がり、キュラの魔法で髪を乾かしてもらってからキュラはメイド服に、私はもふもふなとてもいい肌触りの可愛い猫のパジャマに着替える。
フードに猫耳がついてるやつだ。
(私は髪が長いからつけないが)
「お嬢様、ちょっといいですか?」
「?いいけど…」
キュラは近寄ってきて私の髪を後ろで半分に分け、その髪を私の肩にかけ、髪が全て前側に来るようにした。
そのあとに私にフードを被せた。
「か、可愛い……!」
「そ、そうかな?」
今まで髪が邪魔でつけられなかったフードが被れたのだ。
近くの鏡で見るととても可愛かった。
そしてこの服にはとある機能が備わっているのだが、フードを被れなかった関係で使えていなかったのだ。
その機能とは……
「ん……来た……」
私の骨盤のあたりから何かが生えてくる感覚がし、顔の横にある耳が段々と上の方に移動していき尖って白い毛が生えていく。
頬からは両側に各3本ずつ髭が生え、鼻と口が少し前に突き出て歯が少し尖った。
そして再び私はフードを外す。
「おー……」
「お、お嬢様……可愛すぎます!」
そう、猫獣人のような姿になれるのだ。
骨盤の上あたりに空いている穴からは白く細長いしっぽが生え、頭の上には白くてもふもふな尖った耳が生えている、頭の横を触ってもそこは何もない。
鼻と口は少し前に突き出て、口を開けると犬歯が前より鋭くなっていた。
頬からは3本ずつ髭が生えていて、触るとくすぐったい。
これら全ては偽物ではなく、魔法でからだからしっかりと生えている。
これの進化系の変身用全身スーツなるものもあるらしいが、安全性が証明できておらず、スーツが女性の人外のものだった場合、脱いだらスーツと同じ女性の人外になっていたという事例もあるそうだ。
この機能はフードを付けてから10時間続く。
意外と魔法ってすごいんだな、と感じた。
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