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23【竜の庭で】
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「すっごくきれいだよ。マリー王女殿下。絵画(ゲームの画面)から出てきたようだ。
ナルシオ殿下、ありがとうございます。殿下には妹をお願いしますね」
お兄様は、本来は聖女のサクラの取り巻きになるはずのフェルゼンの二つ下の妹のローゼ第一王女殿下と交換されてしまった、私を。早業だわ。
「ああ、頼むよ。ではローゼ姫、本日はよろしくお願いします」
「ナルシオ殿下、こちらこそお願いします。マリー様、頑張ってくださいね」
可愛くウインクしてくれたローゼ王女は私より二つ上だけど、学校では二つ下になっている。つまり年の近いお友達になれるはずなんだけど、私が貴族クラスに行けないので学友になれていない。
時折、王后様に呼ばれたお茶会でお話しできるぐらいだ。落ち着いたらもう少し仲良くしたいです。ホントに可愛いお姫様なんだよね。
「マリーこっちだ」
今回私は少しでも〈悪役令嬢キャラはここですよ〉って感じにして、一番踵の高い靴を履いている。だからフェルゼン(健一)殿下のエスコートが必要だ。今日は悪役風の振る舞いはしないんだけどね。
「まあ、こんなお庭が本当にあるんですね」
「ああ」
王宮に幾つかある庭の一つ、フラワードラゴンガーデン。初めて来た。ゲームにあったっけ。
ガーデンの入り口に幾つかのドラゴンの石像がある。
ハルキア王国のご先祖様は、聖女と結ばれたドラゴンの子孫とかなんとか。まあ、そういう神秘的な神話を国の歴史に盛り込むのは乙女ゲームならではよね。
「で、この子ね」
「ああ」
ちょうど入り口なので、ドラゴンの横には護衛に扮したローリー魔法師団長先生。
すみません、攻略対象さんなのにこんなところにじっとさせて。
「ねえ、本当にフェルゼン王子が来られるのね?」
サクラの声だ
「ああ、そう聞いている」
サクラをエスコートして来たのはグラル皇子殿下。お似合いだけどな。あ、グラル殿下は嫌そうだね。
「あ、ほらいらっしゃった、こっちだよ」
「おや、グラル殿下、ようこそガーデンパーティへ」
「お招き有難うございます。フェルゼン殿下」
皇子と王子のツーショット、ゲームファンとしてはこういうのが眼福である。
「ねえ、グラル殿下」
サクラさんフライングですよ。貴方は男爵令嬢なんだから。
「ああ、紹介するよフェルゼン殿下、この方はサクラ男爵令嬢。我が領の聖女だ」
「これはこれは、お会いできて光栄です。サクラ嬢」
おおっと、王子様している健一がかっこよすぎじゃない?
サクラの右手を取って挨拶をしている。
「あら、本物はスチル以上に素敵ね。逢いたかったわ」
「サクラ嬢、紹介しよう。私の婚約者で、マリー ディアナ王女殿下だ」
「こんにちはサクラ様。マリー ディアナです。仲良くしてくださいね!」きゅるん ってつけてみる。
そう、きょうはこういうパターンで行こうかな。幼いわけじゃないから、コンカフェに居そうなかんじで。
「え?こんなのがマリー?」
こんなの言うなや。
「これ、サクラ。王女殿下に失礼だぞ」
「え?だって。この人は悪役なはずで」
「私って悪役なの?ふ、ふぇ」泣いちゃうふりするよ。
「うっ、マリーは悪役じゃないよ。こんなに可愛い子を悪役なんて。
グラル殿下、サクラ嬢の貴族教育はどうなっているんだい?」
フェルゼン殿下が私の頭をなでなでしながら怒る。
おーおー、婚約者を貶める発言に厳しく追及するフェルゼン殿下。良いぞ良いぞ。
「ああ、それが、苦心しているんだ」
サクラの前でも遠慮なく行っちゃうグラル殿下。
こっちもいいねー好感度アップだよ。
「えーしょうがないじゃん、私は貧乏農家出身だもん。でも聖女なら貴族になれるんでしょ?」
あれ?転生者にしてはひどくない?日本人としても・・・。
よし、私のターンだね。
「聖女さま?これが?」
どうだ、ブーメランが帰ってきた気持ちは。
「そう、これが」
グラル殿下ったら、お手上げポーズにため息をまぜて。
「なによ、魔法測定でちゃんと出たのよ聖魔法の数値が」
「しかしお前は、先日俺がすりむいた怪我も治せなかったではないか」
話題を変えてあげよう。
「ねえ、ねえ、グラル殿下、サクラ様」
「なんでしょうマリー姫」
「あれあれ、あそこに、ドラゴンがいるでしょ?」
出来るだけ無邪気な感じで話す。
「ドラゴン?にしては可愛い顔ね」
「そう、お花が似合ってるのよ。素敵でしょ?
それにつるつるしているわ」
そうやって手袋をはめたままドラゴンを触る。
「うーん手袋じゃわかんないな。こっちはフェルゼン殿下にもらった指輪があるから、右手の手袋を。えい」
「わーつるつる―」
我ながら痛いけど我慢。
ふっとフェルゼン(健一)を見上げると、あれ?痛がってない。
「ははは、マリー姫がドラゴンと似合うとは」
「そう?きゃっ」
ドラゴンが持っていた玉が白く光った。
「その丸い石は光るんだよ」
「へえ、面白いな」
グラル殿下も触ると光る。
今度は黄色っぽく光る。
「ねえ、フェルゼン様は何色になるの?」
「何色だったっけ、あ、先にサクラ嬢もやってみる?」
「ええ、面白そうね」
そう言って、サクラもドラゴンが持っている丸い石にふれる。
「まあ、むらさき色。菫みたいにに可愛い光ね。むらさき色の光なんて初めて。もう一度やって!」って紫色の魔法って闇入ってる?
「いいわよ」
サクラは属性による魔法の色を知らないのかしら、楽しそうに、しばらくそうやって遊ぶ。
ふっとドラゴンの後ろで護衛のふりをして鎧を着こんでいるローリーを見ると、兜が縦に振られる。
よし。ミッション終了。
「褒めてくれてありがと、それで、フェルゼン様は?」
サクラがフェルゼンのひじを掴んでドラゴンの方に誘う。
汚らわしい手で私のフィアンセを触らないで って言うのかな、悪役令嬢なら。
「私も確か・・・」
健一もドラゴンの石にふれる。
「白いね。マリー殿下と同じかな」
「ほんとだ、フェルゼン殿下と同じでうれしいわ」
「俺もマリーと同じでうれしい」
健一、可愛いよ。
「もーフェルゼン殿下とマリー姫がイチャイチャしすぎてつまんない」
サクラがすねる。
「だってねえ」
「うん、俺達ラブラブだからね」
「サクラ、ケーキを食べにいこうよ。私は二人に当てられて胸焼けしそうだよ」
「え?グラル殿下、でもちょっと待って」
グラル殿下はサクラが離れてもお構いなくケーキのテーブルに行く。そこには他の貴族の令嬢が座っている。
ナルシオお兄様とローゼ王女も楽しそうに会話している。似合ってるわー。
気が付けばサクラはポツンと一人になっていた。
ナルシオ殿下、ありがとうございます。殿下には妹をお願いしますね」
お兄様は、本来は聖女のサクラの取り巻きになるはずのフェルゼンの二つ下の妹のローゼ第一王女殿下と交換されてしまった、私を。早業だわ。
「ああ、頼むよ。ではローゼ姫、本日はよろしくお願いします」
「ナルシオ殿下、こちらこそお願いします。マリー様、頑張ってくださいね」
可愛くウインクしてくれたローゼ王女は私より二つ上だけど、学校では二つ下になっている。つまり年の近いお友達になれるはずなんだけど、私が貴族クラスに行けないので学友になれていない。
時折、王后様に呼ばれたお茶会でお話しできるぐらいだ。落ち着いたらもう少し仲良くしたいです。ホントに可愛いお姫様なんだよね。
「マリーこっちだ」
今回私は少しでも〈悪役令嬢キャラはここですよ〉って感じにして、一番踵の高い靴を履いている。だからフェルゼン(健一)殿下のエスコートが必要だ。今日は悪役風の振る舞いはしないんだけどね。
「まあ、こんなお庭が本当にあるんですね」
「ああ」
王宮に幾つかある庭の一つ、フラワードラゴンガーデン。初めて来た。ゲームにあったっけ。
ガーデンの入り口に幾つかのドラゴンの石像がある。
ハルキア王国のご先祖様は、聖女と結ばれたドラゴンの子孫とかなんとか。まあ、そういう神秘的な神話を国の歴史に盛り込むのは乙女ゲームならではよね。
「で、この子ね」
「ああ」
ちょうど入り口なので、ドラゴンの横には護衛に扮したローリー魔法師団長先生。
すみません、攻略対象さんなのにこんなところにじっとさせて。
「ねえ、本当にフェルゼン王子が来られるのね?」
サクラの声だ
「ああ、そう聞いている」
サクラをエスコートして来たのはグラル皇子殿下。お似合いだけどな。あ、グラル殿下は嫌そうだね。
「あ、ほらいらっしゃった、こっちだよ」
「おや、グラル殿下、ようこそガーデンパーティへ」
「お招き有難うございます。フェルゼン殿下」
皇子と王子のツーショット、ゲームファンとしてはこういうのが眼福である。
「ねえ、グラル殿下」
サクラさんフライングですよ。貴方は男爵令嬢なんだから。
「ああ、紹介するよフェルゼン殿下、この方はサクラ男爵令嬢。我が領の聖女だ」
「これはこれは、お会いできて光栄です。サクラ嬢」
おおっと、王子様している健一がかっこよすぎじゃない?
サクラの右手を取って挨拶をしている。
「あら、本物はスチル以上に素敵ね。逢いたかったわ」
「サクラ嬢、紹介しよう。私の婚約者で、マリー ディアナ王女殿下だ」
「こんにちはサクラ様。マリー ディアナです。仲良くしてくださいね!」きゅるん ってつけてみる。
そう、きょうはこういうパターンで行こうかな。幼いわけじゃないから、コンカフェに居そうなかんじで。
「え?こんなのがマリー?」
こんなの言うなや。
「これ、サクラ。王女殿下に失礼だぞ」
「え?だって。この人は悪役なはずで」
「私って悪役なの?ふ、ふぇ」泣いちゃうふりするよ。
「うっ、マリーは悪役じゃないよ。こんなに可愛い子を悪役なんて。
グラル殿下、サクラ嬢の貴族教育はどうなっているんだい?」
フェルゼン殿下が私の頭をなでなでしながら怒る。
おーおー、婚約者を貶める発言に厳しく追及するフェルゼン殿下。良いぞ良いぞ。
「ああ、それが、苦心しているんだ」
サクラの前でも遠慮なく行っちゃうグラル殿下。
こっちもいいねー好感度アップだよ。
「えーしょうがないじゃん、私は貧乏農家出身だもん。でも聖女なら貴族になれるんでしょ?」
あれ?転生者にしてはひどくない?日本人としても・・・。
よし、私のターンだね。
「聖女さま?これが?」
どうだ、ブーメランが帰ってきた気持ちは。
「そう、これが」
グラル殿下ったら、お手上げポーズにため息をまぜて。
「なによ、魔法測定でちゃんと出たのよ聖魔法の数値が」
「しかしお前は、先日俺がすりむいた怪我も治せなかったではないか」
話題を変えてあげよう。
「ねえ、ねえ、グラル殿下、サクラ様」
「なんでしょうマリー姫」
「あれあれ、あそこに、ドラゴンがいるでしょ?」
出来るだけ無邪気な感じで話す。
「ドラゴン?にしては可愛い顔ね」
「そう、お花が似合ってるのよ。素敵でしょ?
それにつるつるしているわ」
そうやって手袋をはめたままドラゴンを触る。
「うーん手袋じゃわかんないな。こっちはフェルゼン殿下にもらった指輪があるから、右手の手袋を。えい」
「わーつるつる―」
我ながら痛いけど我慢。
ふっとフェルゼン(健一)を見上げると、あれ?痛がってない。
「ははは、マリー姫がドラゴンと似合うとは」
「そう?きゃっ」
ドラゴンが持っていた玉が白く光った。
「その丸い石は光るんだよ」
「へえ、面白いな」
グラル殿下も触ると光る。
今度は黄色っぽく光る。
「ねえ、フェルゼン様は何色になるの?」
「何色だったっけ、あ、先にサクラ嬢もやってみる?」
「ええ、面白そうね」
そう言って、サクラもドラゴンが持っている丸い石にふれる。
「まあ、むらさき色。菫みたいにに可愛い光ね。むらさき色の光なんて初めて。もう一度やって!」って紫色の魔法って闇入ってる?
「いいわよ」
サクラは属性による魔法の色を知らないのかしら、楽しそうに、しばらくそうやって遊ぶ。
ふっとドラゴンの後ろで護衛のふりをして鎧を着こんでいるローリーを見ると、兜が縦に振られる。
よし。ミッション終了。
「褒めてくれてありがと、それで、フェルゼン様は?」
サクラがフェルゼンのひじを掴んでドラゴンの方に誘う。
汚らわしい手で私のフィアンセを触らないで って言うのかな、悪役令嬢なら。
「私も確か・・・」
健一もドラゴンの石にふれる。
「白いね。マリー殿下と同じかな」
「ほんとだ、フェルゼン殿下と同じでうれしいわ」
「俺もマリーと同じでうれしい」
健一、可愛いよ。
「もーフェルゼン殿下とマリー姫がイチャイチャしすぎてつまんない」
サクラがすねる。
「だってねえ」
「うん、俺達ラブラブだからね」
「サクラ、ケーキを食べにいこうよ。私は二人に当てられて胸焼けしそうだよ」
「え?グラル殿下、でもちょっと待って」
グラル殿下はサクラが離れてもお構いなくケーキのテーブルに行く。そこには他の貴族の令嬢が座っている。
ナルシオお兄様とローゼ王女も楽しそうに会話している。似合ってるわー。
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