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第一章 手に入れた能力
呑気な王子がやって来た
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庭園でお茶をした翌日、トルデンが目を覚ましたオレに声かけた。
「トモヤ、私は今日、少し外に出ています……。この部屋で待っていてくれませんか?誰も来ないと思いますが、誰か来ても出なくていいので……。食事は用意してあります。もし足りなければこのカゴバッグから出して食べてください」
トルデンはどことなく暗い表情をして部屋を出て行った。先ほどトルデンが言っていたカゴバッグの中を覗くとパンとかが入っている。続けて机の上に目を移すと、トルデンがオレに用意したご飯がある。あのパン粥だ。それに手を付けて1口食べる。よく思えばトルデンがいつもオレの傍にいるので食事を1人でするのは久しぶりだった。
(1人で食うのってつまらないんだな……)
オレがこの部屋で過ごすようになってからからそんなに経っていない。それなのにトルデンがずっと傍にいるせいでそれに慣れてしまっていることに驚いた。
その時、トントンと誰かが扉を叩く音がした。あれ?誰も来ないって言ってたはずなのに……。オレはその扉を開けるか悩んだ。トルデンは出なくていいって言ったからだ。どうすべきか悩んでいると「開けてくれないのかい?」と扉の向こうで声がした。この前、やって来たラウリアと呼ばれていた男の声だ。
オレは悩んだものの、まぁいっかと思ってその扉を開けた。
「あ、やっぱりいたんだね!あれ?トルデンはいないの?」
扉を開けるや否や、ラウリアは元気にそう言った後、きょろきょろと見渡した。
「君は召喚者だよね?トルデンが君の面倒を見ていると聞いて驚いたよ!それにしてもガリガリだね!」
確か目の前のこいつはトルデンの兄で確かこの国の第一王子だったはずだ。でも、あけすけと物を言う感じと呑気そうな口調がそう思わせない。
「今日は天気がいいよ。外に出たら?あぁ、食事中だったんだね」
オレが何も言葉を発していないのに、ラウリアはどんどん喋り、机の上の食事を見てようやく落ち着いた。
「あ、もしかしてトルデンの手作りかい?僕も一緒に食べていいかな?」
またしてもオレが返事もしていないのに、ラウリアは部屋へと入り席に座った。オレは悩みつつも、向かいの席に座る。ラウリアは勝手にパン粥を取り分けて食べ始めていた。
「うん、やっぱりこの料理美味しいね」
「食ったことあるのか?」
「昔、トルデンの母君が僕に作ってくれたことがあるんだ。確か珍しく風邪をひいた時だったかな?トルデンの母君はつい最近亡くなってしまったんだけど……」
ラウリアが少し悲しそうな声を上げた。この感じからラウリアもトルデンの母親を慕っていたのだと言うことが分かった。
「どうして、亡くなったんだ?」
「……毒を飲んで……」
「え……?」
ラウリアのその答えに驚いた。だってオレが召喚されたのは毒を盛られたトルデンを治すためだ。
「どうしてだ?その時、オレのような召喚者はいなかったのか?」
「神託が降りなかったんだ。彼の母君は国に携わっていはいなかったからだと思う」
「どういうことだ?」
「神託はこの世界、この国に関係する時に降りてくるみたいなんだ。だから神託が降りなかったってことは、きっとこの世界、もしくはこの国の危機とは思われなかったということだと思う……。その代わり、トルデンの母君が亡くなってすぐトルデンも毒で倒れたんだけど、その時は神託が降りたんだ」
(そんな自己中な話があってたまるか……。この世界やこの国の存続のためにしか命の選定をしないなんて、そんなの神様でも何でもない……。それに国に携わっていなかったって言うけど、トルデンを産んだのはその死んだ母親じゃないのか?)
こんな風に誰かを思って怒りを持つことなんてなかったので、そんな自分に驚いた。でも、その怒りはまだ心に渦巻いていて、どこにぶつけたらいいのか分からなかった。
「トルデンを救ってくれてありがとう」
「いや……オレは別に……」
呑気そうな声をしていたかと思えば、今度は真剣な声をしてこちらを向き、そう言った。こちらの世界に来て、トルデンの命を救ったことでお礼を言われたのは2回目だ。1回目は助けた本人のトルデン。2回目は目の前にいるトルデンの兄のラウリア。トルデンから兄弟たちの話を聞いたことはあまりなかったが、仲は悪くないみたいだ。
唐突なお礼に戸惑ったものの、ラウリアは気にせず一口、パン粥を口に含んだ後、こちらをじっと見ている。金髪のウェーブがかった髪を揺らし、青い瞳で。トルデンも金色の髪をしているけど瞳の色は違うし顔たちもあまり似ていない。ラウリアの視線とかち合い、居心地が悪くなったので視線を下ろしてパン粥を食べた。
「急に来てお邪魔したね。トルデンにはまた会いに来るよ」
ラウリアがそう言って、席を立った。ラウリアが食べていたパン粥の器を見るともう綺麗になくなっている。その背中を見送り、静かになった部屋でまだ残っているパン粥を食べた。
ラウリアが朝、訪れてから数時間が経ち、昼過ぎになってもトルデンは帰ってこなかった。部屋の窓から外を眺めたり、トルデンが用意した本を読んだりして過ごした。本は最初、絵本のようなものばかり持って来られた。それが子ども扱いされているようで嫌だったので、もう少し大人向けの面白そうな本を持ってきて欲しいと言った。それで、ちょっと難しそうな本を持ってきてくれた。……が、難しい字が沢山出てきてオレには読むことが出来なかった。いやまぁ、絵本は面白かったけど。
ガチャっという音と共に扉が開いた。お昼という時間はとっくの前に過ぎた今、ようやくトルデンが帰って来たのだ。ちょっとぐったりしていて元気が無さそうだ。
「……大丈夫か?」
「はい、今日はちょっと疲れただけで……トモヤ、お昼食べてないんですか……?」
トルデンはチラッと机の上を見て、朝のパン粥しか食べていないことに気付き、そう言った。
「ん、あぁ……」
「ダメですよ。ちゃんと食べないと。ほら、こっちに座って食べてください」
あまりお腹も減っていなかったしお昼を食べていなかったのを思いだした。トルデンがカゴバッグからジムンのうどん料理を出した。トルデンが向かい側に座ったので一緒に食べるのだと分かり、オレも椅子に座って食べることにした。
「誰か、来てたんですか?」
トルデンがふとパン粥の器を見て尋ねた。ラウリアが食べた器も置いてあったので、数が多いと気付いたみたいだ。
「あぁ、ラウリア?だっけ?来てたよ」
「そうですか……。ラウリア1人?他には誰もいなかったですか?」
「他には来てなかった」
何となくその他の誰かと言うのがエンフィルのことを言っているのかと思った。
「エンフィル?とはあまり仲が良くないのか?」
「いえ、そんなことはないんですが……。トモヤ、お代わりいりますか?」
トルデンは都合が悪くなると話を逸らす癖がある。これ以上、聞かれたくないようなので、お代わりを頼み、他愛のない話をした。
「……トモヤ、明日神殿に行きましょう」
トルデンがオレを見て、少し悩んだ後にそう言った。以前、神殿にオレが戻れるかどうか話を聞きに行くと言っていたのを思い出した。
「トモヤ、私は今日、少し外に出ています……。この部屋で待っていてくれませんか?誰も来ないと思いますが、誰か来ても出なくていいので……。食事は用意してあります。もし足りなければこのカゴバッグから出して食べてください」
トルデンはどことなく暗い表情をして部屋を出て行った。先ほどトルデンが言っていたカゴバッグの中を覗くとパンとかが入っている。続けて机の上に目を移すと、トルデンがオレに用意したご飯がある。あのパン粥だ。それに手を付けて1口食べる。よく思えばトルデンがいつもオレの傍にいるので食事を1人でするのは久しぶりだった。
(1人で食うのってつまらないんだな……)
オレがこの部屋で過ごすようになってからからそんなに経っていない。それなのにトルデンがずっと傍にいるせいでそれに慣れてしまっていることに驚いた。
その時、トントンと誰かが扉を叩く音がした。あれ?誰も来ないって言ってたはずなのに……。オレはその扉を開けるか悩んだ。トルデンは出なくていいって言ったからだ。どうすべきか悩んでいると「開けてくれないのかい?」と扉の向こうで声がした。この前、やって来たラウリアと呼ばれていた男の声だ。
オレは悩んだものの、まぁいっかと思ってその扉を開けた。
「あ、やっぱりいたんだね!あれ?トルデンはいないの?」
扉を開けるや否や、ラウリアは元気にそう言った後、きょろきょろと見渡した。
「君は召喚者だよね?トルデンが君の面倒を見ていると聞いて驚いたよ!それにしてもガリガリだね!」
確か目の前のこいつはトルデンの兄で確かこの国の第一王子だったはずだ。でも、あけすけと物を言う感じと呑気そうな口調がそう思わせない。
「今日は天気がいいよ。外に出たら?あぁ、食事中だったんだね」
オレが何も言葉を発していないのに、ラウリアはどんどん喋り、机の上の食事を見てようやく落ち着いた。
「あ、もしかしてトルデンの手作りかい?僕も一緒に食べていいかな?」
またしてもオレが返事もしていないのに、ラウリアは部屋へと入り席に座った。オレは悩みつつも、向かいの席に座る。ラウリアは勝手にパン粥を取り分けて食べ始めていた。
「うん、やっぱりこの料理美味しいね」
「食ったことあるのか?」
「昔、トルデンの母君が僕に作ってくれたことがあるんだ。確か珍しく風邪をひいた時だったかな?トルデンの母君はつい最近亡くなってしまったんだけど……」
ラウリアが少し悲しそうな声を上げた。この感じからラウリアもトルデンの母親を慕っていたのだと言うことが分かった。
「どうして、亡くなったんだ?」
「……毒を飲んで……」
「え……?」
ラウリアのその答えに驚いた。だってオレが召喚されたのは毒を盛られたトルデンを治すためだ。
「どうしてだ?その時、オレのような召喚者はいなかったのか?」
「神託が降りなかったんだ。彼の母君は国に携わっていはいなかったからだと思う」
「どういうことだ?」
「神託はこの世界、この国に関係する時に降りてくるみたいなんだ。だから神託が降りなかったってことは、きっとこの世界、もしくはこの国の危機とは思われなかったということだと思う……。その代わり、トルデンの母君が亡くなってすぐトルデンも毒で倒れたんだけど、その時は神託が降りたんだ」
(そんな自己中な話があってたまるか……。この世界やこの国の存続のためにしか命の選定をしないなんて、そんなの神様でも何でもない……。それに国に携わっていなかったって言うけど、トルデンを産んだのはその死んだ母親じゃないのか?)
こんな風に誰かを思って怒りを持つことなんてなかったので、そんな自分に驚いた。でも、その怒りはまだ心に渦巻いていて、どこにぶつけたらいいのか分からなかった。
「トルデンを救ってくれてありがとう」
「いや……オレは別に……」
呑気そうな声をしていたかと思えば、今度は真剣な声をしてこちらを向き、そう言った。こちらの世界に来て、トルデンの命を救ったことでお礼を言われたのは2回目だ。1回目は助けた本人のトルデン。2回目は目の前にいるトルデンの兄のラウリア。トルデンから兄弟たちの話を聞いたことはあまりなかったが、仲は悪くないみたいだ。
唐突なお礼に戸惑ったものの、ラウリアは気にせず一口、パン粥を口に含んだ後、こちらをじっと見ている。金髪のウェーブがかった髪を揺らし、青い瞳で。トルデンも金色の髪をしているけど瞳の色は違うし顔たちもあまり似ていない。ラウリアの視線とかち合い、居心地が悪くなったので視線を下ろしてパン粥を食べた。
「急に来てお邪魔したね。トルデンにはまた会いに来るよ」
ラウリアがそう言って、席を立った。ラウリアが食べていたパン粥の器を見るともう綺麗になくなっている。その背中を見送り、静かになった部屋でまだ残っているパン粥を食べた。
ラウリアが朝、訪れてから数時間が経ち、昼過ぎになってもトルデンは帰ってこなかった。部屋の窓から外を眺めたり、トルデンが用意した本を読んだりして過ごした。本は最初、絵本のようなものばかり持って来られた。それが子ども扱いされているようで嫌だったので、もう少し大人向けの面白そうな本を持ってきて欲しいと言った。それで、ちょっと難しそうな本を持ってきてくれた。……が、難しい字が沢山出てきてオレには読むことが出来なかった。いやまぁ、絵本は面白かったけど。
ガチャっという音と共に扉が開いた。お昼という時間はとっくの前に過ぎた今、ようやくトルデンが帰って来たのだ。ちょっとぐったりしていて元気が無さそうだ。
「……大丈夫か?」
「はい、今日はちょっと疲れただけで……トモヤ、お昼食べてないんですか……?」
トルデンはチラッと机の上を見て、朝のパン粥しか食べていないことに気付き、そう言った。
「ん、あぁ……」
「ダメですよ。ちゃんと食べないと。ほら、こっちに座って食べてください」
あまりお腹も減っていなかったしお昼を食べていなかったのを思いだした。トルデンがカゴバッグからジムンのうどん料理を出した。トルデンが向かい側に座ったので一緒に食べるのだと分かり、オレも椅子に座って食べることにした。
「誰か、来てたんですか?」
トルデンがふとパン粥の器を見て尋ねた。ラウリアが食べた器も置いてあったので、数が多いと気付いたみたいだ。
「あぁ、ラウリア?だっけ?来てたよ」
「そうですか……。ラウリア1人?他には誰もいなかったですか?」
「他には来てなかった」
何となくその他の誰かと言うのがエンフィルのことを言っているのかと思った。
「エンフィル?とはあまり仲が良くないのか?」
「いえ、そんなことはないんですが……。トモヤ、お代わりいりますか?」
トルデンは都合が悪くなると話を逸らす癖がある。これ以上、聞かれたくないようなので、お代わりを頼み、他愛のない話をした。
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