ハゲエルフ~薄毛率0%のエルフなのに禿げた

伊瀬カイト

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第15話 ハゲエルフの特技

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 ハーゲルンには二つの特技がある。

 一つ目は言わずもがな、精霊との会話だ。

 これは植物を除いた生物の中でエルフだけに許された特性だが、ハーゲルンは他のエルフの比ではなく精霊と密に会話が出来る。

 禿げているからだ。

「今誰か禿げって言わなかったか?」

 言ってません。

 ハーゲルンの一つ目の特技が精霊との会話であるのは明らかだ。

 では、もう一つの特技が何かと言うと…。

 何を隠そう錬金術である。

 見た目にも、頭脳的にも、身体的にもハイスペックなエルフであるハーゲルンは、どんな事でも高次元で熟す事が出来る。

 弓も魔法も一定水準以上に熟せるハーゲルンだが、それだけに突出したものを上げると途端に難しくなってしまうのだ。

 だが、抜きん出て特技と言えるのが錬金術であった。

「今日も始めるか。ハーゲルン3分クッキング」

 ビルのキッチンで突然始まったハーゲルンの3分クッキング。

 この流れで何故料理?そう思う読者も少なくないだろうが、ハーゲルンは錬金術を料理にも使うのだ。

 そんな訳で精霊コンロに置いた鉄鍋にドラゴンの骨と世界樹の樹皮、マンドレイクの根を入れて、ひたひたになるまで水を加え、出汁が出るまで中火でグツグツ煮込む。

 1時間も煮込むと灰汁が出てくるので、灰汁を取ったらとろ火にして、更にじっくりと煮込んでいく。

 3分って話はどこに行った…?

 ハーゲルンは精霊に頭皮を触られたり引っ張られたりして、精霊達と戯れながら煮込み続ける事3日間。ドラ骨からもセカ樹皮からもしっかりと出汁が出たら、ここで漸く魔力を加えて錬金する。

 錬金術の成否の確立は、扱う素材によって上下する。簡単な素材を使えば成功率は上がり、難しい素材を使えば成功率は下がる。

 ドラゴン、世界樹、マンドレイクの素材は、どれも非常に扱いが難しい希少素材である。故に並みの錬金術師であれば成功する確率は0に等しいが、ハーゲルンにとっては問題の無い範囲。

 その成功率は、97%。ガチャでSSR以外のハズレを引くのと同等の確率である。

 ハーゲルンは新種の毒物を生みだした。

「…。成功だ!」

『『『『『やったー!』』』』』

 どう見たって成功ではない。その希少素材で、一体何故それが出来た?

 誰が見ても成功には見えないが、本人が成功と言っているならば、最早それは成功である。

 精霊達も錬金術の成功を喜んで大騒ぎをしている。皆がハーゲルンの禿げ頭に抱き着いている。

 抱き着いてはアイドルの握手会で時間が来たとスタッフに剥がされるファンのようになっている。

 大量に精霊の人形を付けた斬新な髪型みたいになっている。

 髪は無いのだが。

「髪の話した?今髪の話しなかった?」

 してません。

 これでは今さら失敗だったなんて言えないだろう。ハーゲルンはここで予想外の動きを見せた。

 出来上がった新種の毒物と全ての状態異常を引き起こす危険な全毒茸を合わせて魔力を注いだのだ。

 “毒と毒を組み合わせれば無毒になる”がハーゲルンの自論である。

 ハーゲルンは、これを酸性とアルカリ性を混ぜて中性にするのと同じノリでやってしまう。実際にこれで錬金術の失敗をリカバリーした成功体験を基にしているので、理論として間違いではないのだ。

『それなにー?』

「食欲をそそるスパイシーな香りのダークマターかな」

 ダークマターは森の北部に廃棄した。
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