女王様が恋をしたら

紅玉

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7話

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 「結菜」
急に振り向いた凛。
何かを決意したように、
きゅっと唇を結んでいる。
あぁ、私にとって良くないことが起きる。
結菜はそう思った。
いつも、嫌な事が起きる時、凛はこの表情だ。
「どうしたの?ずっと私にくっついて。
今日の結菜は、何だか変だよ。」
ほらね。私は、凛のことなら分かるのよ。
ねぇ、幸生。
私の方が凛をよく知ってるんだから!
 結菜はにこやかな笑顔を作る。
「なんでそんなこというの」
結菜のそんな態度に凛は困惑している。
「私が凛といちゃ、だめなの?」
凛は俯いてしまった。
ごめんね、凛。
もうちょっとだけ許して。
そう心の中で詫びる。
「凛は、私が嫌いなの?」
凛は辛そうに首を振る。
「そんなことないよ。
私は…結菜のこと、好きだもん。」
でも、と続ける凛の言葉を無理やり遮った。
これ以上は、聞きたくない。
…いくらなんでも、こんな悲しそうな顔をした凛は見ていられない。
「なら、いいじゃない。
私も、凛が好きよ。ねぇ、私、早く帰りたい。」
「結菜…
ねぇ、話を「早く帰りたい」」
問答無用な結菜。
凛は泣き出しそうだ。
「結菜ってば…!なんで…!?」
「 っ…もういい。私、1人で帰るから。」
スタスタと歩いていってしまう結菜。
階段の踊り場に、1人の男子が現れた。
結菜に向かってお辞儀をしたところ、結菜のファンクラブの者だろう。
結菜のカバンを手に取って、エスコートする。
そのまま、1度も振り返らずに行ってしまった。

こんな事は初めてだった。
凛は呆然と立ち尽くして動けなくなってしまった。
他の人ならともかく、凛の言う事を結菜が聞かないなんて。
本当に、初めてだったのだ。
ショックだった。
そんなに、結菜はイヤなのか。
凛が幸生と付き合うのが。
…どうして。
学校で笑わなくても、自分にだけは笑ってくれるから。ちゃんと結菜が笑える様に気を使っていた。恋している相手と話すのもだめなのか。
…結菜を恨むことはできない。
先に小さい頃の、「ずっと一緒」の約束を破ったのは凛だから。
「一緒にいるのに。」
決して結菜を突き放したりしない。
例え、結菜を嫌っている子達に自分が巻き込まれたとしても。
そう思っていたのに。
それでも、ダメなんだろうか。
結菜のお気に召さなかったのか。
…女王様、か。
確かにそうだ。
結菜は女王様気質だろう。
いつでもロリータ系のファッションに身を包み、周囲の憧れと、嫉妬を集めてきた。
キモいヤツらは近寄ってくれるな、みたいなオーラを出して人といるのを拒んだ。
そして、その可愛らしい容姿に近寄ってくる男子を利用してワガママ放題にしてきた。
幼稚園に慣れてきた頃から、小学校でも、中学校でも、そして今も、誰に対しても。
先輩も後輩も先生も親でさえも何も関係ない。
結菜が気に入らなかったり、結菜に逆らったりした人はハブの対象になった。
もちろん、そんな事をしていたので女子からは嫌われたし色んな偏見を持たれた。
男好きとかぶりっ子とか。
それでも、凛は結菜を隣で見てきたのだ。
例え、結菜と一緒にいる事で自分が嫌われても。

いい子なのに、どうして…凛はずっとそう思っていた。
思い続けてきたのだ。
その凛さえも、結菜は拒もうとした。
このままじゃいけない。

凛は幸生の事を思い出した。
一緒に帰ると言ったのだ。
早く…早く、行かなくちゃ。
拒否されたショックから逃げるように、凛はその場を去った。
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