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新しい世界
67 特別授業
しおりを挟むふと目が覚めて上半身を起こす。薄いけど暖かい上掛けがするりと落ちる。
んー、と伸びをしたら周りには小さなレディが眠っていた。
ベリタ母さんのいる部屋にはふかふかの絨毯がひいてあって、暖炉もあって暖かい。よくエリザベスたち年少組と遊ぶ部屋だ。
雪遊びして、お昼を食べて、みんなで絨毯でゴロゴロしてたら眠くなって、お昼寝してしまったらしい。
エリザベスにロリ、シーラもいる。
カミルとカレルは少し離れた所で寝ていた。
ベリタ母さんは、違う部屋に移動してくれたみたいだ。おれもいつの間にか子どもたちと一緒に寝てしまった。ちょっと恥ずかしい。
すると、カチャッと静かに扉が開いて、中に誰かが入ってきた。
そんなに長くない赤い髪を後ろでチョンと縛った男の人。リオンさんだ。
他の子を起こさないように、人差し指を自分の口に当てて、しーっと静かにのジェスチャーをした。
カミルとカレルのそばに行くと、そっと揺り起こしている。ふたりは
おれの方に向くとくいくいと、おいでと手招いた。
おれたちはそっと静かに部屋を出た。
「おはよう。お昼寝中にごめんね。」
リオンさんが申し訳無さそうに言う。
「いや、今日は授業って聞いてたのに、遊んじゃってすいません。」
おれも大分はしゃいでしまった自覚はある。
カミルとカレルも目が覚めたのか、リオンさんに謝った。
「いや、今日は僕達だけで授業をしようと思ってたから丁度いいよ。今の間にやってしまおう。」
と、リオンの部屋に案内された。
広い部屋にテーブルと椅子が四脚あって、リオンさんのとなりにおれが、向かいにカミルとカレルが座った。
メイドさんがお茶の準備をして、並べていく。
「ありがとう。みんな外で控えててくれる?防音もかけるから、何かあればこっちから声かけます。」
リオンさんがメイドさんにそう言って、おれたち四人だけになった。机の上にコトリとギルドでも見た、防音の魔道具を置いた。
「さて、今日は特別授業って言ったけど、恥ずかしがらずに聞いてほしい。」
おれたち三人は、何を言われるのか、ゴクリと生唾を飲み込む。
リオンさんはそう前置きしておれたちに質問してきた。
「早速だけど、精通は来た?白いの出た?」
「!?」
三人共固まる。カミルとカレルを見ると、どちらも赤い顔をしている。
おれも精通は分かる。知識はあるから。でも、この世界に来てから、おれにはまだ精通はきてない。それどころか勃起もしたことない。
恥ずかしいけど首を横に振る。
カミルとカレルは下に俯いたまま小さく頷いた。そっか、二人はもう大人なんだ。
身長もおれより高いし、十二歳なのにすごいね。
「うん。恥ずかしがらないで。当たり前の事だし、マコト様も今からですよ。」
リオンさんにそう言われて、おれもうなずく。
「知ってるとは思いますが、誰しも父に、そして母になれます。種族も関係ありません。純粋種至上主義の人は少なからずいるので、他の血が混ざるのを嫌がる人もいます。
どこかの国の王族とかね。
この国の人たちの見た目は人族が一番多いですが、結構混ざってるので、先祖返りで違う特徴が出ることもあります。
ちなみに僕は獣人の血が入っていたようです。耳と尻尾を出せます。」
そう言いながら、三角の耳がピョコッと出てきた。おれはびっくりしたけど、双子は知ってるらしく、気にする様子は無い。
リオンさんは耳をピコピコさせながら、お茶を一口飲んで話を続ける。
「まあ色んな種族が性別関係なく親になれます。これは、魔力でお腹の中で育てる方法と、女性は子宮で育てる方法があります。」
おれは無意識にお腹をさする。
「その為の行為が性交です。」
リオンは右手の親指と人差指で輪っかを作り、左手の人差し指をその輪の中にスッと刺した。
「まあ、こういう風に父となる方が母となる方に入れるのが基本。
まあ、入れなくても魔法の時なんかはお腹の上から二人の魔力を練って入れると、着床させる方法もあります。」
カミルとカレルも真剣に聞いてる。
「愛し合ってる二人が子供を欲して、魔力を練ると金色の小さな玉が出来るんだ。命珠と呼ばれるそれをへそに当てると、身体に吸い込まれて赤ちゃんになるんだよ。」
「じゃあ性行為しなくても子供出来るんじゃないの?」
カミルが聞いた。
「そうだね。男女のカップルの場合は普通に性交でも子供が出来る。命珠でもできる。一番選択肢が広いね。
女性同士なら子宮に命珠を入れることで子供ができる。
男性同士は命珠を体内に入れたら、父となる人の魔力を命珠に入れないといけない。母体からは絶えず魔力が注がれるからね。それだけだと母体への負担が大きい。
まあ、定期的に魔力を入れてあげるといいのはどの組み合わせの場合でも絶対なんだけど。」
「…魔力。手から注ぐの?」
カレルが聞く。
「男だと精液だね。だから性交はする。手から注ぐのは女性同士の時かな。男みたいに射精できないからね。
で、性行為するにあたっての問題は、男には穴が一つしか無いって事。そこでこれ。」
リオンさんは小さな青い棒を出した。そんなに太くもない、小指の先、一関節分の大きさだ。
「男同士は負担も大きいから、先にこれを入れる。」
立ち上がってくるりと後ろを向き、おしりを突き出す。おしりの中心を指差して
「ここに。」
と教えてくれる。
「これは入れると溶けて浄化と潤滑の役割を果たす。物によっては気持ち良くなる成分の入っているのもある。」
一つずつ手渡された青い棒を手のひらにのせて、呆然とそれを見ていた。
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