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第9話

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 怒っている。ルダスが。チカは怒る事はない。怒っても良い事はないから。怒っても最後は虚しい気持ちだけが残るから。

「あなたは教師なのに、傲慢過ぎませんか」

「煩い。呪われたドラゴン風情と平民が偉そうに。
 夜になれば暴れて理性を失い、自分を鎖で繋ぐしかない。野蛮なドラゴンが、高貴なる精霊であるワタシに楯突くな。退学にするぞ。
 きみは光のドラゴンのリオンのおかげでここに居る。ただの腰巾着に過ぎない。あまりワタシを怒らせないことね」

 駄目だ。怒ってはいけない。怒っては。チカは自分に言い聞かせたが、出来なかった。どうしてよく知らない相手にプライベートをべらべら話されなければいけない。オリエンテーションのはずだ。彼が呪われていようが関係ない。

「煩い」

「何。銀髪。きみもワタシに逆らうつもり」

「オリエンテーションの目的は他人を貶め、侮辱することなのか」

「はっ、呪われたドラゴンを入学させるじてんで、オリエンテーションの品位が失われているのよ。入学式させてもらうだけ、有り難く思いなさいよ」

「くだらない。高貴な、品位とか。君は自分のことだけ。
 ルダスの方が優しくて、君よりはましだよ。
 鎖で自分を繋いでまで、迷惑をかけないようにしている。わたしは嫌いじゃないよ。優しい馬鹿。君煩いからもう行くよ」

「どこに行くかのヒントはワタシがあれ、ない」

「煩いっ言ったでしょ」

 バサバサバサバサ。

 アルビノのカラスが現れてチカの左肩に留まる。嘴には紙があった。このカラスは魔王ランバートに、学園に行く選別にと貰ったカラスで大きさ、自由自在で人型にもなれるわたしの世話役。名前をビーノ。アルビノだから、適当過ぎるとランバートに言われジェスには腹を抱えて大笑いされた名前だけれど、本人は気に入っているみたいだから良いと思う。煩いと言った時に、ポケットに小さな姿で入っていたビーノに紙を取ってもらったのだ。

「盗っ「それじゃあ、先生さようなら」」

 紙の内容は覚えた。破ると転移が出来る魔法陣が書かれていた。ビーノから紙を受け取り、ルダスと手を繋いだままなのでチカは言った。

「ルダス。一緒に破いて。手を離したら一緒に転移出来ないかも」

「……」

「聞いてる。早く」

「あっ、はい」

 ルダスと一緒に紙を破いて、この場から転移した。
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