145 / 319
リヴィオの悩み
しおりを挟む
最近、様子が変だ。
リヴィオが悩ましげにしているのだ。例えば今朝のことだった。
目玉焼きとゆで玉子どちらにしますか?と給仕係が尋ねた。
「私は目玉焼きでお願いするわ」
かしこまりました。そう言って、しばしリヴィオの返答を待つ。……が、ボーッとしている。
「リヴィオ、どうしたの?」
私が声をかけてようやく、はっ!と我に帰る。
「えっ!?ああ……なんだ?」
「卵料理を聞かれているけど……」
「たまご……生たまごを混ぜて……」
ブツブツと言うリヴィオ。いや、調理法聞かれてるわけじゃないと思うの。
「あのぅ……目玉焼きとゆで玉子どっちにされますか?」
給仕係がもう一度尋ねた。
「あっ!悪い。目玉焼きで頼む」
やっと望む返事が返って来て、ホッとして給仕係が下がっていった。
またある日は、ボンヤリと窓の外を眺めていた。
私にも気づかないらしく、ヒョコッと顔を出すと、リヴィオはギョッとした。
「うわっ!帰ってきてたのかよ!?気配消すなよ」
「ええっ!?普通に入ってきたのよ」
そうか?と言い、また窓の外を見ている。
外になにがあるわけでもない。紫陽花が雨に打たれて青やむらさき、ピンクが淡い色合いで咲き誇り、とても綺麗だ。
でも花を愛でる性格でもないわよね?不思議だわ。
私は首を傾げるしかなかった。
ある夜、旅館の仕事から返ってくると、ガチャガチャと厨房から音がした。私はヒョコッと覗いて見る。
「リヴィオ!?何かしてるの?」
「あ、ああ。うん」
夢中のようで、私に適当な返事をする。
麺らしい物を揚げている、テーブルの上には幾通りの細さに切られた麺がズラリと並んでいる。
これ、もしかして?
「はー、うまくいかねー。前々からしているんだが、うまくいかないんだよなぁ」
揚げた麺をスープにぽちゃんと入れた。懐中時計を眺めている。三分待ってる?
高級そうな懐中時計を見ながら貴族風の坊っちゃんが3分待つ姿は微妙よと言いたいのを我慢した。
それを言うには場にそぐわない。
なぜならリヴィオは真剣すぎる表情をしていたからだ。
「もしかしてインスタントラーメン?」
変わりに予想した食べ物を当ててみる。
「そうだ。……食べたくならないか?」
夜にカロリーの高いインスタントラーメンを試食とか……悩む。しかし食べたい。
「食べたい……デス」
そうか!と意気揚々と私の目の前にラーメンを置いた。
ホワホワ湯気が出ている。香りは良い。
チュルルンとすすってみる。スープは和風。チキンラーメン風。麺は細麺だが、やや硬いかも。でも味は……。
「美味しい!チキンラーメンっぽい!」
私の褒め言葉にリヴィオはうーんと唸る。
「でも違うんだよなぁ。再現難しすぎる!!」
そういえば、あの祖父のレシピノートもかなり細かく書いてあったし、研究熱心らしい。
「普通のラーメンじゃだめなの?」
「インスタントと生麺のラーメンは違うだろ?」
「そうね。でも私は炒めた野菜とか分厚いチャーシューとかシナチクののったやつとか、そんなラーメンも好きよ」
どうしてもインスタントラーメンじゃなきゃってわけではない。
しかしリヴィオは違った。
「それはそれで美味しいが、別物だ」
真顔で言う。そんなになのね。
私はリヴィオの悩みがわかってスッキリした。
その数日後だった。
「完成した!どうだ!食べてみてくれ」
ドーンと得意げに腰に手を当てて、トトとテテ、ジーニーまで呼んで、試食会を開いた。
お湯をヤカンから注ぐ。
公爵家の三男であり、伯爵も与えられた貴族に見えない……どうみてもその姿はシンヤ君だわ。
ド・庶民です。
まあ、良いんだけどさ……ハスエシンヤ君ってどっかの会社の社長の息子さんじゃなかった?カホの記憶はうろ覚えではあるが、そう私に知らせている。
そんなことを考えて、3分経過。
冷める前に、フーフーさせつつ、チュルルと一口食べる。
鶏ガラ出汁と醤油味っぽい……美味しい。
まさしくインスタントラーメン!!
「前回よりスープの味も近いし、麺も柔らかい!」
私が言うと、そうだろ!?とリヴィオは嬉しそうに、ガッツポーズをした。
「普通のラーメン食べたいのだ」
「分厚いチャーシューのラーメン食べたいのだ」
だが……トトとテテの反応は薄かった。フゥとため息をつきながら、クルクルとフォークに麺を巻き付けている。
「うーん、美味しくないわけじゃないけど、僕も前に食べたやつの方がいいな」
控えめにジーニーも生麺推しらしく、そう言う。
「ええええっ!?なんでだよーっ!?」
「私は良いと思うけど、どちらかと言えば袋麺のサッポ○一番味噌味が好きだから、それを研究してほしいわ」
私の要望にリヴィオがマジか……と呟く。
「なんだ?その呪文みたいなサッポ○一番味噌味とは?」
「あっちの世界のインスタントラーメンは種類が多いんだ」
リヴィオがジーニーに説明する。トトとテテはラーメン食べたいとぷぅと頬を膨らませている。
「それが成功したら、また商品化できると思うのよねっ!」
「おい……?セイラはたくましいな……オレは考えてなかったぞ。食べたいという欲求のもと、純粋に作っている」
あ、納得。なるほど。
だからレシピノートには色んな物があったけど、巷に流通はしなかったのね。
職人気質なリヴィオとシンヤ君であった。
『ラーメン!ラーメン!』
ラーメンスイッチが入ってしまった騒ぐ双子ちゃんのために炒め野菜と分厚いチャーシュー入りのラーメンを作ることになったのだった。
リヴィオだけはそのようすを渋い顔で眺めていた。
インスタントラーメン、流行らせることはできるのか!?………続く!かもしれない!?(笑)
リヴィオが悩ましげにしているのだ。例えば今朝のことだった。
目玉焼きとゆで玉子どちらにしますか?と給仕係が尋ねた。
「私は目玉焼きでお願いするわ」
かしこまりました。そう言って、しばしリヴィオの返答を待つ。……が、ボーッとしている。
「リヴィオ、どうしたの?」
私が声をかけてようやく、はっ!と我に帰る。
「えっ!?ああ……なんだ?」
「卵料理を聞かれているけど……」
「たまご……生たまごを混ぜて……」
ブツブツと言うリヴィオ。いや、調理法聞かれてるわけじゃないと思うの。
「あのぅ……目玉焼きとゆで玉子どっちにされますか?」
給仕係がもう一度尋ねた。
「あっ!悪い。目玉焼きで頼む」
やっと望む返事が返って来て、ホッとして給仕係が下がっていった。
またある日は、ボンヤリと窓の外を眺めていた。
私にも気づかないらしく、ヒョコッと顔を出すと、リヴィオはギョッとした。
「うわっ!帰ってきてたのかよ!?気配消すなよ」
「ええっ!?普通に入ってきたのよ」
そうか?と言い、また窓の外を見ている。
外になにがあるわけでもない。紫陽花が雨に打たれて青やむらさき、ピンクが淡い色合いで咲き誇り、とても綺麗だ。
でも花を愛でる性格でもないわよね?不思議だわ。
私は首を傾げるしかなかった。
ある夜、旅館の仕事から返ってくると、ガチャガチャと厨房から音がした。私はヒョコッと覗いて見る。
「リヴィオ!?何かしてるの?」
「あ、ああ。うん」
夢中のようで、私に適当な返事をする。
麺らしい物を揚げている、テーブルの上には幾通りの細さに切られた麺がズラリと並んでいる。
これ、もしかして?
「はー、うまくいかねー。前々からしているんだが、うまくいかないんだよなぁ」
揚げた麺をスープにぽちゃんと入れた。懐中時計を眺めている。三分待ってる?
高級そうな懐中時計を見ながら貴族風の坊っちゃんが3分待つ姿は微妙よと言いたいのを我慢した。
それを言うには場にそぐわない。
なぜならリヴィオは真剣すぎる表情をしていたからだ。
「もしかしてインスタントラーメン?」
変わりに予想した食べ物を当ててみる。
「そうだ。……食べたくならないか?」
夜にカロリーの高いインスタントラーメンを試食とか……悩む。しかし食べたい。
「食べたい……デス」
そうか!と意気揚々と私の目の前にラーメンを置いた。
ホワホワ湯気が出ている。香りは良い。
チュルルンとすすってみる。スープは和風。チキンラーメン風。麺は細麺だが、やや硬いかも。でも味は……。
「美味しい!チキンラーメンっぽい!」
私の褒め言葉にリヴィオはうーんと唸る。
「でも違うんだよなぁ。再現難しすぎる!!」
そういえば、あの祖父のレシピノートもかなり細かく書いてあったし、研究熱心らしい。
「普通のラーメンじゃだめなの?」
「インスタントと生麺のラーメンは違うだろ?」
「そうね。でも私は炒めた野菜とか分厚いチャーシューとかシナチクののったやつとか、そんなラーメンも好きよ」
どうしてもインスタントラーメンじゃなきゃってわけではない。
しかしリヴィオは違った。
「それはそれで美味しいが、別物だ」
真顔で言う。そんなになのね。
私はリヴィオの悩みがわかってスッキリした。
その数日後だった。
「完成した!どうだ!食べてみてくれ」
ドーンと得意げに腰に手を当てて、トトとテテ、ジーニーまで呼んで、試食会を開いた。
お湯をヤカンから注ぐ。
公爵家の三男であり、伯爵も与えられた貴族に見えない……どうみてもその姿はシンヤ君だわ。
ド・庶民です。
まあ、良いんだけどさ……ハスエシンヤ君ってどっかの会社の社長の息子さんじゃなかった?カホの記憶はうろ覚えではあるが、そう私に知らせている。
そんなことを考えて、3分経過。
冷める前に、フーフーさせつつ、チュルルと一口食べる。
鶏ガラ出汁と醤油味っぽい……美味しい。
まさしくインスタントラーメン!!
「前回よりスープの味も近いし、麺も柔らかい!」
私が言うと、そうだろ!?とリヴィオは嬉しそうに、ガッツポーズをした。
「普通のラーメン食べたいのだ」
「分厚いチャーシューのラーメン食べたいのだ」
だが……トトとテテの反応は薄かった。フゥとため息をつきながら、クルクルとフォークに麺を巻き付けている。
「うーん、美味しくないわけじゃないけど、僕も前に食べたやつの方がいいな」
控えめにジーニーも生麺推しらしく、そう言う。
「ええええっ!?なんでだよーっ!?」
「私は良いと思うけど、どちらかと言えば袋麺のサッポ○一番味噌味が好きだから、それを研究してほしいわ」
私の要望にリヴィオがマジか……と呟く。
「なんだ?その呪文みたいなサッポ○一番味噌味とは?」
「あっちの世界のインスタントラーメンは種類が多いんだ」
リヴィオがジーニーに説明する。トトとテテはラーメン食べたいとぷぅと頬を膨らませている。
「それが成功したら、また商品化できると思うのよねっ!」
「おい……?セイラはたくましいな……オレは考えてなかったぞ。食べたいという欲求のもと、純粋に作っている」
あ、納得。なるほど。
だからレシピノートには色んな物があったけど、巷に流通はしなかったのね。
職人気質なリヴィオとシンヤ君であった。
『ラーメン!ラーメン!』
ラーメンスイッチが入ってしまった騒ぐ双子ちゃんのために炒め野菜と分厚いチャーシュー入りのラーメンを作ることになったのだった。
リヴィオだけはそのようすを渋い顔で眺めていた。
インスタントラーメン、流行らせることはできるのか!?………続く!かもしれない!?(笑)
10
あなたにおすすめの小説
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる