普通の新婚生活が送りたい。

1章 巡りあい

16 魂の記憶

目を開けるとそこは何もない真っ白な空間だった。
歩いても歩いてもどこまでも白く叫んでも返事もない何もない空間だった。

歩くのを諦めて寝転んだ。どのくらい時間が経ったんだろう？不意に声が聴こえた。

ルーナ…と…私はセレスティア…ルーナじゃないわ！そう思い振り向くとそこには、美しい女性がいた
神々しい金色の髪に青紫の瞳…私と同じ瞳を持つ女性だった。

「そうね、今の魂はセレスティアだけど今は3回目の転生、最初の貴方はルーナよ、今から約2000年ほど前になるけど
そもそも、貴方は天界人だった。本当なら、今でも天界で暮らしていたはずの私の娘だった。」

「娘……だった？」
天界人は地上の人間と違って転生はしない、地上で生きる者は種族によって寿命は違うけど1番長く生きるのは
竜種で2000年　獣人で300年　人族は魔力か高い者で300魔力が低いと150年　他の魔力がない世界は80年

死んだら魂は洗われまた何処かの世界の何処かの種族に生まれ変わるけど天界人にはなる転生する事はできない。

でも、ルーナは天界を捨て普通の人間として生きることを選んだ、彼の為に、そしてまた彼も貴方の為に彼の世界
そのものをその手で壊し貴方と共に生きる事を選んだ。

思い出しなさい。始まりを……あなたと彼を繋ぐ腕輪を覚醒させて。

不思議に思ってたでしょ、貴方が腕輪の覚醒の条件を知っているなんて。それに彼も覚醒の条件満たしてるから、（あの年でよく条件満たしていたわね！）大丈夫よ。

覚醒したらお互い思い出すはずよ、あいつから身を守る為に……。

目覚めの時間よ！愛しいルーナ、今世では幸せになって。

（2回目の転生記憶は完全に消した。本来の運命をあいつが強引にねじ曲げて、2人とも結婚式場に向かう途中で
事故にあった悲しい記憶。）

＊＊＊＊＊

ゆっくり意識が浮上した。

「ティア、ティア、よかった～目覚めてくれて」
目を開けると憔悴したザックがいた。

「ザック、大丈夫？」
今にも泣きそうな顔のザックの頬に手を伸ばすと手を重ねて頬を擦り寄せた。

「お父様やロイとマイ、他の方たちは無事？」
ふと、みんな傷だらけだったと思いだし聞いた。

「大丈夫だよ、それよりティアが1番心配だよ、あれから5日も経ったんだよ。」

「え！5日も！そんなに、寝てたんだ、やだ、私臭わない？ちょっと湯浴みしたいわ、あっでもお腹も空いてるかも」

「ふ、ハハハ！よかった、いつも通りもティアだ！じゃあ、どっちにする？」

「とりあえず、湯浴みでさっぱりしてから、食事かな、」
1人では心配とマイを呼んで浴室に向かった。マイはボロボロ涙を流しながらもしっかりピカピカにしてくれた。
心配かけてごめんなさいって言ったら、抱きしめてくれてまた号泣してた。ほんとごめん。

ピカピカになった私が部屋に戻ると待ってましたとザックが抱き上げて食堂まで連れて行ってくれた。
内心、病人じゃないんだけどと思ったけど、心配させてしまったから、ザックの好きにさせることにした。

………が、食堂に着いてちょっと後悔した。ルークにロイにマイにお父様にその他大勢に迎えられた私は絶賛ザックの腕の中
で、そのまま膝の上、ねえ、おかしいよね、誰か指摘してよ！いつもならルークがそこは椅子じゃありませんよ！とか、
ティア様はぬいぐるみですか？とか突っ込んでくれるのに、丸っとスルーされてた。

襲撃後の説明受けながら、あれこれ食べ物進めてきて、餌付けの如くザック手ずから食べさせてもらってます。
罰ゲームですか？心配かけた罰ゲームですよね？…ﾊｽﾞｶｼｲ。