2 / 30
2 結婚式当日
しおりを挟む
雲1つない青空。
今私は父の代理で来た兄と共にバージンロードを歩いていた。
マリアンヌは純白のドレスに身を包み幸せいっぱいでの気持ちで愛する新郎の元に向かいバージンロードを歩く事を子供の頃夢見ていた。
王族の姫として生まれたからには国のためにどこかに嫁がなければいけない日が来ると覚悟していたがそれでも恋をして…愛される事を夢見ていた、叶わない夢だけどそれでも……、ならせめてパートナーとして共に尊重し敬愛できる関係になれればと歩み寄る努力をしようと思っていたのだが、……。
しかし、現実はどうだ、1ヶ月前にこの国に来てから一方的な拒絶の手紙を送りつけてきた顔も声も知らない男の元に形だけの婚姻をする為のに遥々国を越えこの国にやって来た。
マリアンヌはこの夢も希望もない結婚、そして政略とはいえ他国の王女に対する国王の態度に同じ王族として心底ガッカリしていた。
(愛する人との結婚愛の誓い…私には…到底叶わぬ夢…詮夢は夢なのね、いつか私を心から愛してくれる方が現れてくれるかしら?)
ベール越しに新郎であるこの国の国王、狼の獣人であるレインを初めて見た。
銀色の髪を後ろに撫で付けた切長な目、瞳の色はブルーグレー長身のレインより頭1つ分小さいマリアンヌは式の最中だと言う事を忘れレインの髪色を見て獣化した姿を思い浮かべていた。
(ああ、大きなもモフモフ姿だったらよかったのになぁ、あ!でもモフモフさせてはもらえないか…大きなワンコ飼いたいな~後でランバートに聞いてみようっと)
モフモフ動物好きなマリアンヌはレイン本人より獣化した姿を思い浮かべ妄想に耽っていたため神父の言葉を全く聞いていなかった。
「おい!返事を、しろ!」
いつの間にか誓いの言葉は終わって返事をするだけだったようだ、マリアンヌは慌てて返事をした。
「あ、はい。___誓います?」
「「………、」」
「で、では指輪の交換を」
神父の言葉に国王であるレインはマリアンヌの左手薬指に指輪を嵌めようとしてぴたりと動きを止めた。
「おい、今つけている指輪を外せ!なんでそんなものつけてるんだ、全く!」
イライラとした口調でレインに指摘され、マリアンヌはそう言えばこの国に来る前に母に渡された指輪をつけたままだったのだ、昨日ランバートに指輪の交換があるから外すように言われていたのをすっかり忘れていた。
「すみません、すぐ外します。」
指輪を外し一時的に台座に置いた。
「………、!」
なぜか差し出した手に指輪が嵌められることなくレインが持ったままだった。
「あの、外しましたのでお願いします。」
「そんな……まさか……うそだろ」
(?まさか…震えてる?緊張してるとか?…いやないない…さっきまで不機嫌オーラ全開で横柄な態度だったし)
レインは震えながらマリアンヌの指にはめた。
今度はマリアンヌがなぜか震えているレインの指に指輪をはめる。
「では、誓いのキスを」
レインはゆっくりベールをあげるとマリアンヌの大きな宝石のように輝く紫色の瞳と目があった。
ゴクリとレインは息を飲む、そしてマリアンヌに顔を近づけていた。
(え?フリよね?近すぎるんじゃない?ちょっと…!どうしちゃったの?)
唇がつきそうになったところでスッとマリアンヌが身を引いた。
出席者からはキスをしたように見えているからなんの問題もないが、マリアンヌにしてみたら大問題だ!
神父が式の終わりを告げ、新郎新婦の退場である。先ほど兄と歩いたバージンロードを今度はレインと外に向かい歩く…必死に笑みを浮かべるマリアンヌ、先ほどのレインの行動に文句の1つでも言ってやりたいが、この後すぐ離宮でのお気軽生活が待っている、ここは我慢しようと思った。
「あ!指輪、台座に置いたままだったわ、どうしよう。」
「指輪?ああ、あれか、後で届けさせよう、ところであれは普通の指輪ではないだろ?どういう指輪だ!…あの指輪を外した途端に…。」
語尾が口ごもり聞き取れなかったけどなんで指輪なんか気にしてるのかしら?
「え?普通の指輪ですが、ここに来る前に母にもらったのです。いずれ離縁するでしょうから、それまで外さないようにと、…今日は…やむを得ず外しましたが、…後でランバートに渡しておいてください。」
「ランバートに?なぜだ?」
「私はこのまま離宮に向かいますので、今晩からロイとメイとの3人で離宮での生活が始まりますが、ランバートも離宮に引っ越して来るそうなので、お願いしますね。では失礼します。」
「…は?ランバートが?聞いてないぞ!どう言うことだ?…え!、あ!、ちょっとまって…く…レ」
マリアンヌはレインをおいて足速に控え室に戻り、ドレスを脱いで簡素なワンピースに着替えロイとメイと共に離宮に向かった。
本城から離宮は馬車で1時間ほど離れた場所にあり高い塀に囲まれてはいるが広大な広さがあり自然が多く湖まである。
この離宮を下見に来たときに一目で気に入って準備した場所だ。
城から離宮への移動はランバートの強い希望によりランバートの私室と離宮の裏門をゲートで繋いだので一瞬で移動できるようにしてあった。
そんなことをして警部や防犯面で問題ないかと尋ねるとランバートにとってメイとすぐ会えない方が問題になるので構わないらしい。
ゲートには通過するものを登録できるのでどちらにしても私達4人しか通れないし、知らない者にはこのゲートはただの絵にしか見えないので問題ないだろう。どうせ使うのはランバートだけだろうしマリアンヌは公務で城に登城するのは年に1、2回だろうから気にしないことにした。
マリアンヌはしばらく自堕落な生活を送ってから、離縁後の生活のために得意な魔法で魔道具を作りを仕事にして未来のお気楽スローライフを送る事を夢に早々眠りについた。
その一方で眠れぬ夜を過ごすことになる男が……いた。
____簡単人物紹介____
マリアンヌ王女 (ダイヤ王国)
金髪紫の瞳の超絶美少女
魔道士、趣味料理、魔道具作り、
メイ
マリアンヌの専属侍女
ミルクティ色のふわふわの髪、茶色の瞳
戦闘力、魔力共にハイレベル
ロイ
マリアンヌの従者、メイの兄
茶色の髪茶色の瞳、甘いマスクの毒舌従者
ランバート
獣人国宰相、兎獣人
頭脳明晰、容姿端麗、腹黒人たらし
レイン
獣人国国王、狼獣人
容姿端麗、俺様系、プライドが高いヘタレ
ギスラン
獣人国最強騎士、獅子獣人
容姿端麗、赤い髪、切長な赤茶の瞳
フラン(**者)
マリアンヌの兄、今はまだ王太子
黒髪 紫の瞳
魔道士、魔力チート
キャロル(**者)
マリアンヌの母
金髪 青い瞳
魔道士、魔力はマリアンヌ以上
マリアンヌの家族には秘密が……。
今私は父の代理で来た兄と共にバージンロードを歩いていた。
マリアンヌは純白のドレスに身を包み幸せいっぱいでの気持ちで愛する新郎の元に向かいバージンロードを歩く事を子供の頃夢見ていた。
王族の姫として生まれたからには国のためにどこかに嫁がなければいけない日が来ると覚悟していたがそれでも恋をして…愛される事を夢見ていた、叶わない夢だけどそれでも……、ならせめてパートナーとして共に尊重し敬愛できる関係になれればと歩み寄る努力をしようと思っていたのだが、……。
しかし、現実はどうだ、1ヶ月前にこの国に来てから一方的な拒絶の手紙を送りつけてきた顔も声も知らない男の元に形だけの婚姻をする為のに遥々国を越えこの国にやって来た。
マリアンヌはこの夢も希望もない結婚、そして政略とはいえ他国の王女に対する国王の態度に同じ王族として心底ガッカリしていた。
(愛する人との結婚愛の誓い…私には…到底叶わぬ夢…詮夢は夢なのね、いつか私を心から愛してくれる方が現れてくれるかしら?)
ベール越しに新郎であるこの国の国王、狼の獣人であるレインを初めて見た。
銀色の髪を後ろに撫で付けた切長な目、瞳の色はブルーグレー長身のレインより頭1つ分小さいマリアンヌは式の最中だと言う事を忘れレインの髪色を見て獣化した姿を思い浮かべていた。
(ああ、大きなもモフモフ姿だったらよかったのになぁ、あ!でもモフモフさせてはもらえないか…大きなワンコ飼いたいな~後でランバートに聞いてみようっと)
モフモフ動物好きなマリアンヌはレイン本人より獣化した姿を思い浮かべ妄想に耽っていたため神父の言葉を全く聞いていなかった。
「おい!返事を、しろ!」
いつの間にか誓いの言葉は終わって返事をするだけだったようだ、マリアンヌは慌てて返事をした。
「あ、はい。___誓います?」
「「………、」」
「で、では指輪の交換を」
神父の言葉に国王であるレインはマリアンヌの左手薬指に指輪を嵌めようとしてぴたりと動きを止めた。
「おい、今つけている指輪を外せ!なんでそんなものつけてるんだ、全く!」
イライラとした口調でレインに指摘され、マリアンヌはそう言えばこの国に来る前に母に渡された指輪をつけたままだったのだ、昨日ランバートに指輪の交換があるから外すように言われていたのをすっかり忘れていた。
「すみません、すぐ外します。」
指輪を外し一時的に台座に置いた。
「………、!」
なぜか差し出した手に指輪が嵌められることなくレインが持ったままだった。
「あの、外しましたのでお願いします。」
「そんな……まさか……うそだろ」
(?まさか…震えてる?緊張してるとか?…いやないない…さっきまで不機嫌オーラ全開で横柄な態度だったし)
レインは震えながらマリアンヌの指にはめた。
今度はマリアンヌがなぜか震えているレインの指に指輪をはめる。
「では、誓いのキスを」
レインはゆっくりベールをあげるとマリアンヌの大きな宝石のように輝く紫色の瞳と目があった。
ゴクリとレインは息を飲む、そしてマリアンヌに顔を近づけていた。
(え?フリよね?近すぎるんじゃない?ちょっと…!どうしちゃったの?)
唇がつきそうになったところでスッとマリアンヌが身を引いた。
出席者からはキスをしたように見えているからなんの問題もないが、マリアンヌにしてみたら大問題だ!
神父が式の終わりを告げ、新郎新婦の退場である。先ほど兄と歩いたバージンロードを今度はレインと外に向かい歩く…必死に笑みを浮かべるマリアンヌ、先ほどのレインの行動に文句の1つでも言ってやりたいが、この後すぐ離宮でのお気軽生活が待っている、ここは我慢しようと思った。
「あ!指輪、台座に置いたままだったわ、どうしよう。」
「指輪?ああ、あれか、後で届けさせよう、ところであれは普通の指輪ではないだろ?どういう指輪だ!…あの指輪を外した途端に…。」
語尾が口ごもり聞き取れなかったけどなんで指輪なんか気にしてるのかしら?
「え?普通の指輪ですが、ここに来る前に母にもらったのです。いずれ離縁するでしょうから、それまで外さないようにと、…今日は…やむを得ず外しましたが、…後でランバートに渡しておいてください。」
「ランバートに?なぜだ?」
「私はこのまま離宮に向かいますので、今晩からロイとメイとの3人で離宮での生活が始まりますが、ランバートも離宮に引っ越して来るそうなので、お願いしますね。では失礼します。」
「…は?ランバートが?聞いてないぞ!どう言うことだ?…え!、あ!、ちょっとまって…く…レ」
マリアンヌはレインをおいて足速に控え室に戻り、ドレスを脱いで簡素なワンピースに着替えロイとメイと共に離宮に向かった。
本城から離宮は馬車で1時間ほど離れた場所にあり高い塀に囲まれてはいるが広大な広さがあり自然が多く湖まである。
この離宮を下見に来たときに一目で気に入って準備した場所だ。
城から離宮への移動はランバートの強い希望によりランバートの私室と離宮の裏門をゲートで繋いだので一瞬で移動できるようにしてあった。
そんなことをして警部や防犯面で問題ないかと尋ねるとランバートにとってメイとすぐ会えない方が問題になるので構わないらしい。
ゲートには通過するものを登録できるのでどちらにしても私達4人しか通れないし、知らない者にはこのゲートはただの絵にしか見えないので問題ないだろう。どうせ使うのはランバートだけだろうしマリアンヌは公務で城に登城するのは年に1、2回だろうから気にしないことにした。
マリアンヌはしばらく自堕落な生活を送ってから、離縁後の生活のために得意な魔法で魔道具を作りを仕事にして未来のお気楽スローライフを送る事を夢に早々眠りについた。
その一方で眠れぬ夜を過ごすことになる男が……いた。
____簡単人物紹介____
マリアンヌ王女 (ダイヤ王国)
金髪紫の瞳の超絶美少女
魔道士、趣味料理、魔道具作り、
メイ
マリアンヌの専属侍女
ミルクティ色のふわふわの髪、茶色の瞳
戦闘力、魔力共にハイレベル
ロイ
マリアンヌの従者、メイの兄
茶色の髪茶色の瞳、甘いマスクの毒舌従者
ランバート
獣人国宰相、兎獣人
頭脳明晰、容姿端麗、腹黒人たらし
レイン
獣人国国王、狼獣人
容姿端麗、俺様系、プライドが高いヘタレ
ギスラン
獣人国最強騎士、獅子獣人
容姿端麗、赤い髪、切長な赤茶の瞳
フラン(**者)
マリアンヌの兄、今はまだ王太子
黒髪 紫の瞳
魔道士、魔力チート
キャロル(**者)
マリアンヌの母
金髪 青い瞳
魔道士、魔力はマリアンヌ以上
マリアンヌの家族には秘密が……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
364
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる