新しいお仕事は期間限定妻になりました[本編完結]

キャロル

文字の大きさ
12 / 31

12 兄にバレた

しおりを挟む
~ルーカス~

ルーカスは皇帝陛下の話を聞いて、その内容に処理が追いつかず、脳内が大渋滞していた。

母が皇女でレティアも皇女?……皇帝陛下が伯父で……皇族と親戚……公爵クラウス様とも親戚?になるよな……??ふと、疑問に思った。

「陛下、あの…」

「陛下ではなく伯父と呼べ!我らはルーカスの叔父ぞ!身内ではないか!」
た、確かに伯父だし親戚だが、皇帝陛下だぞ!いきなり皇族と、身内って……しかも伯父と呼べと言われて………呼ぶしかない…のか…。

「……お、伯父上、レティアはグランハム公爵の妻、公爵家に籍を置いてますが、母のように結婚していてもラグランの皇女となるのでしょうか?」

「いや、レティアは公爵家から籍を抜いてもらう。ルーカスはレティアの婚姻に至る経緯を知っておるか?」
経緯?なぜそんな事を?

「ええ、先触れのなく突然、公爵が我が家を尋ねて来られ、その日にレティアに結婚を申し込んで来ましたが、初対面でしかも社交デビューさせてない相手をなぜと疑問を感じ最初はお断りしたのですが、レティアが公爵と2人で話したいと申しまして、話をさせたら、気が合ったから、結婚すると言い出してレティアはそのまま5ヶ月後に結婚しましたが……」

「実はレティアの結婚は契約結婚、白い結婚だ。」

「はっ?契約結婚?どういう事ですか?」

「当時レティアは公爵の様子から瞬時に通常の結婚申し込みではない事に気づき、それを逆手に契約の話を持ちかけた。公爵は自分のプライベートに干渉しないお飾り妻を求めていた。レティアは完璧なお飾り妻を演じる代わりに伯爵家の後ろ盾を求め、雇用契約書を作り2年更新制とし、お互い合意の上白い結婚をした。」

「はっ?なんて馬鹿な事を………なぜそんな…私のせいか……私が不甲斐ないばかりにレティアにそんな事させてしまったのか…。」
ダントン領の混乱を立て直す事で手いっぱいになり気づけなかったのか……両親の死を理由にはできないが…私の力になりたかったのだろうが、なんて馬鹿な事を、

「幸いと言っていいのか白い結婚だった故、婚姻無効の手続きが取れる。レティアの醜聞に成らぬように此度の婚姻は、ラグラン皇国皇帝陛下からの依頼により王命にて皇女を守る為の措置であり本当の婚姻関係ではないと周知させて、離籍後、正式にラグランの皇女として皇族に籍を移す。既に国王には親書にて伝えてある。とはいえ正式に神殿に届けを出してあるので白い結婚である婚姻無効の手続きは公爵とレティア双方のサインが必要になる。
お前達は正式に我の甥と姪であると公式に発表される、さすれば伯爵家の後ろ盾は我れとなる、レティアはこれ以上くだらん奴クラウスと婚姻を継続する必要はなくなる。このまま皇国に留まり愛する者と出会い幸せになってもらいたい。公爵のような女に不誠実は奴は要らん!誠実でレティア唯1人を大切にする者と添い遂げて欲しい。」

確かにそうだな、これ以上レティアに犠牲になって欲しくない。よく考えれば気づけたのに、父のような一途な人と巡り逢いたいと言っていたレティアが数多くの浮名を流すクラウス様を選ぶだなんてあり得ないことに、手紙を鵜呑みにして幸せなんだと勘違いしてたなんて自分が情けない。

「ルーカス、婚姻無効の手続きの話はお前からしてやれ!我よりも兄から話たほうがよかろう。レティアから承諾を得たら、その後は我に任せてもらう、お前も伯爵領の仕事もあり大変であろうが、頼むぞ!」

「はい、明日にでも話します。こういう事は早い方がいいですから、教えてくださってありがとうございます。きっと私は気づけませんでしたから。」
恋愛結婚で結ばれた両親を見て育ったレティアがまさか、こんな結婚をしてしまうだなんて、させてしまったのか……。

「ルーカス、気に病むな我もビビアンの事を知ったのは最近で、葬儀にも参列出来ずすまない。知っておればレティアにこんな事させずにすんだやもしれぬ、ビビアンの死を知った後、お前達の事が気になり調べたらレティアが結婚していてその相手は仕事は優秀だが女関係が良くない、調べたら伯父に腰の落ち着かなさを咎められ、結婚をせっつかれ、それから逃れる為に僅か17の少女レティアと契約結婚などと事してくれた。そんな奴から一刻もはやくレティアを解放してやらねばならぬ。ルーカス頼んだぞ!」



レティアを伯父皇帝に任せて私は部屋に戻り、1年以上もレティアの時間を奪ってしまったのかと、自責の念に駆られながら、1人ベットで静かに目を閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...