新しいお仕事は期間限定妻になりました[本編完結]

キャロル

文字の大きさ
26 / 31

番外編 皇太子マクミランの受難

しおりを挟む
私はラグラン皇国皇太子マクミラン=ラグラン 16歳

長年恋焦がれ、待ち望んでいた、レンフルー王国王女ヴィオラとやっと、やっと、一緒に学園に通えることになった。
皇城に滞在しているので朝夕と食事を共にしたり、書庫で一緒に勉強したりと時間が許す限りヴィーと過ごしていた。

今日から学園に通う事になり学年が違う為登下校と昼食を共にすることしか出来ないが、この登校は2人きり馬車での登校になるはず……だった。

「ヴィオラ様、マクミラン様おはようございます。」

なぜ、お前がここにいる?そんな意味込めてギロリと睨んだが、…こいつ!

「ルーク?おはよう、どうしたの?」

「今日から学園に登校すると宰相に聞きまして、クラスが同じですので、一緒に登校しようと思いましてお迎えにあがりました.」

「は?」

マジで何言ってんだ?コイツルークは…くそ!宰相の嫌がらせか?俺がどんなにこの日を楽しみにしていたか知ってるくせに!

「え?あ、ありがとう、でもルークの家からだとここによったら遠回りになるんじゃかった?」

「そうだよ!ルーク、待つなら学園の入り口ででも待ってればいいだろ?学園までは私が一緒だから大丈夫だ、今日は…きてしまったから、しょうがない一緒に乗れよ!でも明日からは学園で待ってろよ!」

「マクミラン様、それはできませんよ、婚約者でも無い男女が密室に2人っきりは良くありません。と言うわけで、姉も一緒です。」

「な、んだ、と?ローズだと!お前……」

「まぁ、ローズ様お久しぶりです。ご一緒できるなんて嬉しいです。学年は違いますけどよろしくお願いします。」

「ヴィオラちゃん!益々可愛くなっちゃって~困ったことあったらなんでも言ってね~私が守ってあげるからね!」

「はい!ありがとうございます。」

くそ!女ということを利用して気安く俺のヴィーに抱きつきやがって!こいつは…ルーク以上に厄介だ、幼い頃ヴィーに会い気に入って側に居たいと駄々を捏ねて、侍女目指したが男まさりすぎて侍女には向かず、ならばと側で守る専属騎士になるなんて言って本当に騎士になりやがった奴だ!見た目だけは綺麗だから、青薔薇の騎士様なんて呼ばれて女子にえらく人気があるし強さも相当だ。

今では学生でこいつに勝てるやつは俺しかいない程強い、去年の大会ではコイツに勝つのにかなり苦戦した。

「「気にしないでください、さぁ行きましょう!」」

そう言ってヴィーの手を取ろうとしたから、スッと間に割り込んで先にヴィーの手を取って馬車に乗った。



学園についた。

ヴィーの手を取って馬車をおり、そのまま手を離すことなく教室まで案内した。

「マクミラン様の教室は反対側ですから、ルークがヴィオラ様をお連れしますから、その手を離してはいかかですか?」

「そうよ、マクミラン様、私たちのクラスは逆よここはルークに任せたらいいのに、余裕ないわね~」クス

……この、…姉弟で邪魔する気だな……この手は離さん!

「マック?教室は逆なのですか?良いのですか?あれ?ローズ様も?」

「あ、いいのいいの、気にしないで~」

マジでコイツら遠慮ないな、しょうがないこのメンツで囲んだらヴィオの虫除けにもなるかもしれないからよしとするか、
教室に向かう最中でもヴィオに見惚れる男どもが騒ついてるしからしっかり牽制しとかないとな。

きゃ!

突然、俺たちの前で転んだ女がいた。

「イッターい!ひどいですぅ私を押すなんてぇ、マクミランさま~この人が私を押したんですぅ、痛くて歩けません、保健室に連れて行ってください、」

?ヴィーを指差して何言ってんだこの女は、それに初めてあったのに気安く名前呼びだと!

「マック?お知り合いですか?お助けしなくて良いのですか?」

「知り合いでもなんでもない、初めて見るよ。さぁ行こう」

「マクミランさま~、マクミランさまってば~」

「私はお前の事は知らないし名前で呼ぶことを許可していない気安く呼ぶな!」

「あ!マクミランさま、その女に騙されてるんですね、私がその悪役令嬢から解放してあげます。大丈夫です。」

なんだ、話が全く通じない!気持ち悪い!悪役令嬢ってなんだ?全く意味がわからない、こんな頭のおかしい奴が学園に通ってるなんて、後で調べておかないと、せっかくのヴィーとの学園ライフが邪魔される。

「お前、それ以上は口を開くな殿下に対して失礼だぞ!姉上この令嬢を警備に連れて行ってください、だいぶ頭がおかしいようです。これ以上のヴィオラ様を貶めるような妄想虚言は我慢なりません」

「そうね、だいぶイカれてるようね、ほら、さっさと立ちなさい、どこも痛くないでしょ、わざとだって事はバレてるんだから、」

そう言ってローズが腕を掴むとギャーギャー痛いだの、バグだのリセットだのと攻略イベントが、などと意味不明なこと言って騒ぎだし、騒ぎに気付いた警備が駆け寄って、連れて行った。

「あの御令嬢大丈夫かしら?言ってることの意味はよくわからなかったけど、どこかお悪いのかしら?……」

「ヴィー……気にしなくていいと思うよ、それよりお昼になったら迎えに来るから教室で待っててね。いいね。」

「ええ、わかったわ、待ってる。」

繋いでいた手を持ち上げ手の甲にキスをして別れた。ほんのり赤くなったヴィーを見て少しは意識してくれたんだと浮き足だてしまった。


この日から俺とヴィーとの薔薇色の学園生活に、ことごとく水を刺し邪魔をされる。

意味もなくヴィーに絡んでは警備に連れて行かれ、頭のおかしい男爵令嬢に頭を痛める事になったのはいうまでもない。

ただ、被害者であるヴィーがあまりにおっとりすぎて被害を受けていることに気がついていなかったのがせめてもの救いである。

ヴィーとの愛を育み卒業と同時に結婚するという計画を立てていたマクミランの恋は波乱のスタートとなったようです。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...