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番外編 皇太子マクミランの受難
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「はぁ~、」
皇太子の執務室に大きな溜息が漏れる。
大きな溜息に止まった手元一向に進まない政務に堪り兼ねて補佐官であるマイロが尋ねる。
「殿下、先ほどから、溜息ばかりで手が止まっておりますよ、これを終わらせなければ明日のヴィオラ王女とのお忍びデートができなくなりますよ。宜しいんんですか?」
マクミランはマイロの問いかけに体をピクリとさせノロノロと顔を上げた。
「わかっている、これを終わらせなければ、明日のヴィーとの時間を母上に取られてしまう。わかってるんだが……何故こうもことごとく邪魔が入るんだ!学園では変な女に絡まれるせいで、不本意ながらルーク姉弟に頼るはめになりヴィーと2人になる事が出来ないし城内ではほぼ母上にヴィーを独占されている。今ごろは恋人になり正式な婚約者として堂々ヴィーの隣にいるはずだったんだ!それが、….1年たって…恋人どころか優しい親戚のお兄さんだよ!」
相当鬱憤が溜まっていたのだろう、一度漏れた口は堰を切ったように溢れ出す。
「私が何年もヴィーを想っている事は周知の事実だろ?それに皇家の男は例外なく一途な事も?その証拠に私には誰も婚約者にと令嬢を勧める家は居ないだろ?私はヴィー以外と結婚するつもりはないむしろ出来ないなら独身でもいいとすら思っている」
「え?いや殿下、それでは…お世継ぎが…」
「世継ぎ?それは妹が将来産んだ子を養子に貰えばいい、…いや、それより私がヴィーと結婚できるように協力してくれればいいじゃないか!」
「まぁ、それは…確かにそうですが…それより、殿下はヴィオラ王女に気持ちを伝えたんですか?」
「…それが、好きだということを表現している、周りには伝わっているから男どもの牽制はできている本人には……?…伝わって…いると…いやいないような…気がする…」
「まさか!そこからですか?」
「そこからとはどういうことだ?」
「……殿下…女性に愛をこうならまずご自分の気持ちを言葉で伝えるべきでは?まずはそこからではないですか?態度で伝わるなんて思ってましたか?態度で示すのは言葉で愛をはっきり伝えた後でなら有効ですが、このままでは永遠に優しいお兄さんでしょうね、そして、誰かに横からかっ攫われますよ」
マクミランは思考が停止したかのように一点を見つめて動かなくなった。
「……ヴィーを他の男に?…そんなの…ダメだ……そうだ、言葉…気持ちを…言葉にしていない…好きすぎて言葉にしていない事に気がついていなかった…」
「普通の御令嬢なら、明らかな殿下の溺愛っぷりに気がつきますが、ヴィオラ王女は…お母上のレティア王妃に似て…鈍い…コホン……大分おっとりしていますから、…遠回しではなく直接的な言葉で告げることをお勧めいたします。」
「そ、そうか、そうだなわかった、……頑張るよ…」
「わかって頂けてよかったです。それではこれから遅れた分みっちり働いてもらいますよ!明日のデートのためです。」
ドン!と書類の山をマクミランの机に乗せて意地の悪い笑みを向けたマイロに引き攣りながらもその日遅くまで政務に励むマクミランだった。
__その日の夜__
「マイロ、どうだった?」
「はい、皇妃様、あまりの憔悴ぶりに堪り兼ねてお節介と思いましたがマクミラン様に少し助言させていただきました。」
「ふふ、そう、ありがとう、手間をかけたね。あの子もルベルに似て一途だが、父親程の押しの強さはまだない、まぁ、私が小さい頃から言い聞かせたからだが…そのせいで愛を言葉を伝える事の大切さに気がついてないようだった…ヴィオラはレティア様に似て恐ろしく色恋には鈍感なようだから、あえてマクミランを抑える必要はなかったみたいね…何事も優秀な息子が恋に翻弄される姿は面白かったけど、少々かわいそうに思っていたところだったのよ。」
「確かに、そうですね、政務もあのお歳で立派にこなしていらっしゃいますからこの辺でご褒美あげませんと、…ただ、学園での報告を聞いていらっしゃると思いますが、件の男爵令嬢の動きが気になります。」
「ええ、そうね、何者であろうと私の可愛いヴィオラに害なすのであれば容赦はしない、徹底的に調べなさい!結果によっては……xxxxよ、よろしくね!
「御意」
皇妃となっても変わらぬレティアへの忠心その大切な者に害なす愚者には躊躇なく冷酷になれるアンナはその持ち前のハイスペックな能力を皇妃となり遺憾なく発揮している。
ルベルと共に短い皇太子妃期間に暗部を鍛え上げ、今では暗部の全権を任せられている、その総括であるマイロは隠れ蓑として表向きはマクミランの補佐官をしている。
マイロが暗部の総括である事はマクミランはまだ知らない…その暗部を育てたのが母である事も…。
大概の事に寛容であるアンナだがただ一点触れてはいけないことがある、彼女の琴線に触れる…すなわちレティアの家族に害なす者にはどこまでも冷酷になれる、例えそれが自身の身内であっても……。
皇太子の執務室に大きな溜息が漏れる。
大きな溜息に止まった手元一向に進まない政務に堪り兼ねて補佐官であるマイロが尋ねる。
「殿下、先ほどから、溜息ばかりで手が止まっておりますよ、これを終わらせなければ明日のヴィオラ王女とのお忍びデートができなくなりますよ。宜しいんんですか?」
マクミランはマイロの問いかけに体をピクリとさせノロノロと顔を上げた。
「わかっている、これを終わらせなければ、明日のヴィーとの時間を母上に取られてしまう。わかってるんだが……何故こうもことごとく邪魔が入るんだ!学園では変な女に絡まれるせいで、不本意ながらルーク姉弟に頼るはめになりヴィーと2人になる事が出来ないし城内ではほぼ母上にヴィーを独占されている。今ごろは恋人になり正式な婚約者として堂々ヴィーの隣にいるはずだったんだ!それが、….1年たって…恋人どころか優しい親戚のお兄さんだよ!」
相当鬱憤が溜まっていたのだろう、一度漏れた口は堰を切ったように溢れ出す。
「私が何年もヴィーを想っている事は周知の事実だろ?それに皇家の男は例外なく一途な事も?その証拠に私には誰も婚約者にと令嬢を勧める家は居ないだろ?私はヴィー以外と結婚するつもりはないむしろ出来ないなら独身でもいいとすら思っている」
「え?いや殿下、それでは…お世継ぎが…」
「世継ぎ?それは妹が将来産んだ子を養子に貰えばいい、…いや、それより私がヴィーと結婚できるように協力してくれればいいじゃないか!」
「まぁ、それは…確かにそうですが…それより、殿下はヴィオラ王女に気持ちを伝えたんですか?」
「…それが、好きだということを表現している、周りには伝わっているから男どもの牽制はできている本人には……?…伝わって…いると…いやいないような…気がする…」
「まさか!そこからですか?」
「そこからとはどういうことだ?」
「……殿下…女性に愛をこうならまずご自分の気持ちを言葉で伝えるべきでは?まずはそこからではないですか?態度で伝わるなんて思ってましたか?態度で示すのは言葉で愛をはっきり伝えた後でなら有効ですが、このままでは永遠に優しいお兄さんでしょうね、そして、誰かに横からかっ攫われますよ」
マクミランは思考が停止したかのように一点を見つめて動かなくなった。
「……ヴィーを他の男に?…そんなの…ダメだ……そうだ、言葉…気持ちを…言葉にしていない…好きすぎて言葉にしていない事に気がついていなかった…」
「普通の御令嬢なら、明らかな殿下の溺愛っぷりに気がつきますが、ヴィオラ王女は…お母上のレティア王妃に似て…鈍い…コホン……大分おっとりしていますから、…遠回しではなく直接的な言葉で告げることをお勧めいたします。」
「そ、そうか、そうだなわかった、……頑張るよ…」
「わかって頂けてよかったです。それではこれから遅れた分みっちり働いてもらいますよ!明日のデートのためです。」
ドン!と書類の山をマクミランの机に乗せて意地の悪い笑みを向けたマイロに引き攣りながらもその日遅くまで政務に励むマクミランだった。
__その日の夜__
「マイロ、どうだった?」
「はい、皇妃様、あまりの憔悴ぶりに堪り兼ねてお節介と思いましたがマクミラン様に少し助言させていただきました。」
「ふふ、そう、ありがとう、手間をかけたね。あの子もルベルに似て一途だが、父親程の押しの強さはまだない、まぁ、私が小さい頃から言い聞かせたからだが…そのせいで愛を言葉を伝える事の大切さに気がついてないようだった…ヴィオラはレティア様に似て恐ろしく色恋には鈍感なようだから、あえてマクミランを抑える必要はなかったみたいね…何事も優秀な息子が恋に翻弄される姿は面白かったけど、少々かわいそうに思っていたところだったのよ。」
「確かに、そうですね、政務もあのお歳で立派にこなしていらっしゃいますからこの辺でご褒美あげませんと、…ただ、学園での報告を聞いていらっしゃると思いますが、件の男爵令嬢の動きが気になります。」
「ええ、そうね、何者であろうと私の可愛いヴィオラに害なすのであれば容赦はしない、徹底的に調べなさい!結果によっては……xxxxよ、よろしくね!
「御意」
皇妃となっても変わらぬレティアへの忠心その大切な者に害なす愚者には躊躇なく冷酷になれるアンナはその持ち前のハイスペックな能力を皇妃となり遺憾なく発揮している。
ルベルと共に短い皇太子妃期間に暗部を鍛え上げ、今では暗部の全権を任せられている、その総括であるマイロは隠れ蓑として表向きはマクミランの補佐官をしている。
マイロが暗部の総括である事はマクミランはまだ知らない…その暗部を育てたのが母である事も…。
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