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2章
周りから見ると明らかだけど本人だけ気付いてないアレ。
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※若干の無理矢理描写があります。
********************************************
レオンの指先が、俺の頬にかかって、髪をすいて右の耳にかける。そのまま耳に触れたかと思えば、カフスのあたりを執拗に擽るから思わず身をよじったのだが、レオンはそれが気に障ったらしい。
「なぜ今になって魔法具をつけ始めた」
「え、と。あの、み、ミザイアが」
「……あの男か」
盛大な舌打ちが聞こえたかと思えば、次いで耳に生暖かいぬるりとした感触がして、情けない声が漏れる。とっさに耳を隠そうと腕を動かせば、容易くとらえられて両腕とも身動きが取れなくなる。
「ゃ、れ、おん」
耳にダイレクトに響く水音が、思考を乱していくのがわかるけど、俺に出来ることと言ったら目の前の男に平謝りすることくらいで、しかもなんだか何か言えば悪化している気さえする。
「ごめ、なさ、れお、まって」
いつの間にか頭上にひとまとめにされていた腕を抑える力が強まって、空いた手が服の裾から肌を撫でる感触がして、いよいよ俺の思考が止まって。
――廊下の方から、聞き覚えのある話し声がした。
「は、ぇ、ちょ、っと、待て待て待て」
「何故だ」
「なぜだ!? 人が! 来てんだよ!!」
「はっ」
鼻で笑ったレオンが、全力で押し返そうとする俺を片手で容易くいなし、ならば脚でと思う俺を先回りして抑え込む。いや力つよ。
いよいよ扉を開けて入ってきた奴らの人影が、ベッドのカーテン越しに見えて、そちらに気をとられた俺の顎をレオンがつかむ。
「は」
レオンのそれと、俺の口がゼロ距離になるかと思われた瞬間、開いたカーテンの向こうから何かがとんできて、目の前のレオンが消えた。
ケガを増やして保健室から戻ってきたレオンを見て、ユフィルに会いに行った生徒は白目を剥いたという。
「シアさまは、危機感が足りないと思います」
「す、すみません……?」
「一応聞くんだけどさ、お前、自分の容姿についてはどう思ってんだよ」
「絶世の美少年ですね」
「ユフィルは自己評価が高いのか低いのかよくわからないところがありますよね」
レオンがぶっとばされて怪我を増やしたのちに保健室から追い出された後、俺は3対1の圧迫面接を受けていた。なぜ抵抗しなかったんですか? いやいや、したけど力強くて~などという問答をしつつ、アレクが消毒液で俺の耳を拭いているのを放置する。
「今のアレをコイツと二人きりにしたらまずいことぐらいわかるだろうが。何してんだよセンセイ」
「元凶が何か喚いているようですが、私としては教師としてすべき仲介をしたまでですので……」
なぜか途中からいつものように罵り合いだしたカランド先生とミザイアは放っておくとして、問題は隣のアレクだ。まるで母親から言い聞かせられている気分になりながら、ごめんなさいを繰り返すマシンと化す俺である。
「今後は、レオンに会うようなことがあれば必ず俺を連れて行ってください。ミザイアはダメです」
「え? ミザイア、今は一応俺の護衛なのに?」
「ダメです」
「そ、そっか」
「俺がずっと傍についていますから、勝手に動き回らないでくださいね」
「お、おう……?」
「教室も一緒だったらよかったんですけど……。授業終わりは俺が迎えに来るまで待っててください」
「まあ、学年違うからね、俺たち。授業はしょうがない……、え?毎回来るの?」
「当然です」
当然かなぁ。正義感の強いアレクに心配をかけたのは悪手だったとしか言いようがないが、それにしたって過保護が過ぎる。
ミザイアとは……まあ、好意的に見てケンカップルのように見えなくも……ない、かも、しれない。の段階なので、出来る限り一緒に居る時間を作ってやりたい俺である。
アレクが四六時中一緒に居てくれるならミザイアも呼べばいいか。
そう軽く考えていた俺はきっと、明らかに燃え盛りそうな案件を前に一人だけ優雅にコーヒーを啜っていた後輩と、同じ目をしていたに違いなかった。
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レオンの指先が、俺の頬にかかって、髪をすいて右の耳にかける。そのまま耳に触れたかと思えば、カフスのあたりを執拗に擽るから思わず身をよじったのだが、レオンはそれが気に障ったらしい。
「なぜ今になって魔法具をつけ始めた」
「え、と。あの、み、ミザイアが」
「……あの男か」
盛大な舌打ちが聞こえたかと思えば、次いで耳に生暖かいぬるりとした感触がして、情けない声が漏れる。とっさに耳を隠そうと腕を動かせば、容易くとらえられて両腕とも身動きが取れなくなる。
「ゃ、れ、おん」
耳にダイレクトに響く水音が、思考を乱していくのがわかるけど、俺に出来ることと言ったら目の前の男に平謝りすることくらいで、しかもなんだか何か言えば悪化している気さえする。
「ごめ、なさ、れお、まって」
いつの間にか頭上にひとまとめにされていた腕を抑える力が強まって、空いた手が服の裾から肌を撫でる感触がして、いよいよ俺の思考が止まって。
――廊下の方から、聞き覚えのある話し声がした。
「は、ぇ、ちょ、っと、待て待て待て」
「何故だ」
「なぜだ!? 人が! 来てんだよ!!」
「はっ」
鼻で笑ったレオンが、全力で押し返そうとする俺を片手で容易くいなし、ならば脚でと思う俺を先回りして抑え込む。いや力つよ。
いよいよ扉を開けて入ってきた奴らの人影が、ベッドのカーテン越しに見えて、そちらに気をとられた俺の顎をレオンがつかむ。
「は」
レオンのそれと、俺の口がゼロ距離になるかと思われた瞬間、開いたカーテンの向こうから何かがとんできて、目の前のレオンが消えた。
ケガを増やして保健室から戻ってきたレオンを見て、ユフィルに会いに行った生徒は白目を剥いたという。
「シアさまは、危機感が足りないと思います」
「す、すみません……?」
「一応聞くんだけどさ、お前、自分の容姿についてはどう思ってんだよ」
「絶世の美少年ですね」
「ユフィルは自己評価が高いのか低いのかよくわからないところがありますよね」
レオンがぶっとばされて怪我を増やしたのちに保健室から追い出された後、俺は3対1の圧迫面接を受けていた。なぜ抵抗しなかったんですか? いやいや、したけど力強くて~などという問答をしつつ、アレクが消毒液で俺の耳を拭いているのを放置する。
「今のアレをコイツと二人きりにしたらまずいことぐらいわかるだろうが。何してんだよセンセイ」
「元凶が何か喚いているようですが、私としては教師としてすべき仲介をしたまでですので……」
なぜか途中からいつものように罵り合いだしたカランド先生とミザイアは放っておくとして、問題は隣のアレクだ。まるで母親から言い聞かせられている気分になりながら、ごめんなさいを繰り返すマシンと化す俺である。
「今後は、レオンに会うようなことがあれば必ず俺を連れて行ってください。ミザイアはダメです」
「え? ミザイア、今は一応俺の護衛なのに?」
「ダメです」
「そ、そっか」
「俺がずっと傍についていますから、勝手に動き回らないでくださいね」
「お、おう……?」
「教室も一緒だったらよかったんですけど……。授業終わりは俺が迎えに来るまで待っててください」
「まあ、学年違うからね、俺たち。授業はしょうがない……、え?毎回来るの?」
「当然です」
当然かなぁ。正義感の強いアレクに心配をかけたのは悪手だったとしか言いようがないが、それにしたって過保護が過ぎる。
ミザイアとは……まあ、好意的に見てケンカップルのように見えなくも……ない、かも、しれない。の段階なので、出来る限り一緒に居る時間を作ってやりたい俺である。
アレクが四六時中一緒に居てくれるならミザイアも呼べばいいか。
そう軽く考えていた俺はきっと、明らかに燃え盛りそうな案件を前に一人だけ優雅にコーヒーを啜っていた後輩と、同じ目をしていたに違いなかった。
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