初めての物語【B面】~First Story~

秋 夕紀

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第6章 初めてのためらい

1 キスの先

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 まだ暑い日が続いている9月、2学期が始まった。夏休み中も部活で通った坂道だが、今日から学校が始まると思うと暑さが身体にこたえる。愛海は真斗の存在があって、開放的な夏を今年は思う存分ぞんぶん楽しめた。
 始業式が終わって、茜が近付いて来た。愛海が真斗の家に行った事を知っていて、そこでキスをしたかを追及してきた。真斗と二人だけの秘密の約束のはずが、うっかりと話してしまった。茜は驚きもせずに、
「よかったね、一歩踏み出せて!これからもっと相手の事を知りたくなるよ。この前も言ったけど、心で感じて行動する事が大事だよ。」と言った。茜と倉橋とは、夏休み以来うまく行っていないと、愛海は茜に聞いた。

 その日、愛海と真斗は帰り道のいつもの公園に立ち寄った。まだ日が差していて、暑さも衰えていなかった。ベンチに二人で腰掛け、茜の事を当たり障りのない範囲で愛海は話した。彼は茜の事を知っているようだった。愛海が「キスした事がばれた」と言った時は、困ったような顔をして見てきたので、その場ですぐに謝った。彼に暑いから木陰に行こうと誘われて、そこでキスをした。初めてのキスから1週間が経っていた。

 二人は、会った時に予定を確かめて、次の約束をした。学校の帰りに会った時は必ず公園に寄り、それぞれに起こった出来事を報告し合い、その後は唇を交わし合った。二人の行為は徐々にエスカレートしていったのも、当然の成り行きだった。ある時、キスに没頭していると、彼が舌を遠慮がちに彼女の口に差し込んできた。そして、口の中で何かを探しているように舌を動かした。愛海はキスにも段階がある事を、その時に知った。知識の乏しい彼女は、びっくりしてそのまま舌の感触を確かめていた。
~愛海~彼の舌が唇を割って入ってきた。これがディープキス?私はどうすれば
   いいのだろう。私の舌を探しているみたい。

 また、キスだけでなく、次第に彼の手や指が不可解な動きをするようになっていった。彼女の肩に置かれた手が背中に廻り、何かを探るような指の動きもあった。あるいは、右手がブラジャーのラインを確かめたかと思うと、左手は腰の辺りでかろうじて止まっていた事があった。夏のセーラー服は薄手で、その下はすぐにブラジャーなので、真斗はしっかりとそのラインをとらえていた。
~真斗~やっとここまでたどり着いた。愛海は気が付いているのかな。

 そうかと思うと、愛海が気の付かないくらいの優しさで、胸のふくららみをそっとでたり、手を置いたりした。愛海は彼の行為に気が付いていたが、知らん顔をしていた。そして、躊躇ためらいながらも、彼の欲求に応じていた。
~愛海~胸に触っている。でも触り方が痴漢みたいで気持ち悪い。真斗、
   もっと触ってもいいよ。私、逃げたりしないから。

 真斗は思い切って、キスをしながらセーラー服の上から彼女の胸をてのひらおおい、軽くんでみた。愛海は拒まなかった。
~真斗~愛海のおっぱいに触っている。小さい膨らみだけど、掌に感じる。
   じかに触れてみたい。
 
 真斗は気を良くして、彼女のセーラー服の裾から右手を差し込んだ。愛海はびくっとしたが、拒否する様子はなかった。真斗はブラジャーの上から、彼女の胸を確かめた。さらに進んで直に触ろうと、ブラジャーの中に手を差し込もうとした所で、彼女の手によって止められた。
~愛海~初めて男の子に触られた。小さい胸だと真斗は思ったかな。でも、
   触られて揉まれると、気持ちいいのか何なのか、下腹がムズムズした。
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